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「お客様は神様」の本当の意味とは?誤解と現場での接客のあり方

hanapapa
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「お客様は神様」――誰もが一度は耳にしたことがある有名な言葉です。
しかし、その本来の意味を正しく理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。

接客の現場では、この言葉に助けられることもあれば、誤解されてプレッシャーやカスタマーハラスメントの根拠とされてしまうこともあります。

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?
お客様が「客だから偉い」という立場を利用して、過度な要求や不当な言動をすることを指します。
具体的には、店員に対する暴言や土下座の強要、過剰なクレーム対応を迫ることなどが挙げられます。

企業や行政も「カスハラ対策」に取り組む時代となっており、接客業の現場では「毅然と対応すること」や「従業員を守る仕組みづくり」が重要とされています。企業や行政もカスハラ対策を重要視しており、現場で働く私たち一人ひとりにとっても身近な課題です。

はなぱぱ
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あなたの職場でも似たような経験はありませんか?理不尽なクレームで困った経験、きっと1度はありますよね?

だからこそ、今改めて「お客様は神様」という言葉の原点を振り返り、
現代の接客や店舗経営にどう生かすべきかを考える必要があるのです。

今回は、この言葉の本来の意味や時代とともに生まれた誤解、
そして私自身が現場で感じていることを整理してみました。

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本来の意味は「舞台人の心構え」

この言葉を最初に使ったのは歌手の三波春夫さんです。
1961年(昭和36年)頃、地方公演や対談で「お客様は神様だと思います」と語ったことが始まりでした。

💡 三波春夫さんとは?
昭和を代表する国民的歌手。演歌や浪曲を中心に活躍し、紅白歌合戦にも数多く出演しました。
代表曲に「チャンチキおけさ」などがあり、力強い歌声と誠実な舞台姿勢で広く愛された人物です。

この「お客様は神様」という言葉も、実は「舞台に立つときに最高の敬意と緊張感を持つ」という心構えから生まれたものでした。
つまり「お客様を神様のように崇めろ」ではなく、歌手としての自己規律やプロ意識の表現だったのです。

三波さんの意図は決して「お客様を神のように崇めよ」というものではありません。
彼が込めた意味は、舞台に立つときに神聖な気持ちでお客様と向き合い、自分を律するという「舞台人としての心構え」を表すものでした。

つまり「お客様は神様」という言葉は、観客に絶対服従を求める合言葉ではなく、自分の姿勢を正すための比喩だったのです。

はなぱぱ
はなぱぱ

本来の意味を知ったものの、「お客様を神のように崇めよ」の認識が強すぎてあまりピンとこないですね。この背景を知るだけでも“神様=絶対服従”の誤解が解けますね。

誤解され、独り歩きした言葉

怒ったらあかん!

「お客様は神様です」という言葉は、本来の意味を外れて独り歩きし、接客業界では「過剰な顧客主義」を正当化する根拠として使われる場面も増えてしまいました。

特に顕著なのが カスタマーハラスメント(カスハラ) です。
コンビニの現場でも、次のようなケースが日常的に起こり得ます。

  • レジ待ちが少し長いだけで「早くしろ!」と大声で怒鳴られる
  • 年齢確認でボタンを押してもらうだけで「俺を疑ってるのか」とクレームになる
  • 温めミスや在庫切れなどの小さなトラブルに対して「責任者を出せ」「土下座しろ」と過剰な要求をされる
  • SNSに投稿すると脅され、不当に値引きや返金を迫られる

こうした理不尽な行為が「お客様は神様」という誤解を盾に正当化されてきたのです。

そのため近年では、店舗側が「お客様は神様ではありません」と明示するケースも増えています。
さらに厚生労働省もカスハラ対策のガイドラインを発表し、従業員と顧客は対等であるという考え方が社会的にも広がりを見せています。

はなぱぱ
はなぱぱ

日本は弱者を守る仕組みが優先されがちなので、その影響でお客様側が立場を利用し、カスハラが生まれやすいのかなと感じます。

はなぱぱ
はなぱぱ

でも、現場が泣き寝入りする必要はありません。対応マニュアルを整えて、スタッフ一人に負担を集中させないことが大切です。

はなぱぱ
はなぱぱ

自分で対処できないときは責任者にバトンタッチ。「責任者からご連絡します」と伝えれば、現場を守りつつ解決へ進めますよね。

私自身の考え方

私は「お客様は神様」という言葉を、
絶対服従の合言葉ではなく、意識を高める比喩だと考えています。

商売は需要と供給の関係で成り立っています。
お客様が求めるからこそ、私たちの提供する価値が意味を持ちます。

その意味では「神様というには大げさ」ですが、
それくらいの気持ちで敬意を持って接客に臨むのは大切なことです。

一方で「俺は神だから崇めろ」という主張には賛同できません。
しかしだからといって、こちらが雑に扱っていい理由にはなりません。

販売者として不条理に感じる場面もありますが、
「買っていただいている」という感謝と敬意の気持ちは絶対に忘れてはいけないと思います。

はなぱぱ
はなぱぱ

最近では『お客様は神様ではありません』と明記しているお店もありますが、
それはそれで少し違う話だと思うんです。
この表現をそのまま受け止めて、『対等だから敬意を払わなくてもいい』と考えるスタッフが出てきてもおかしくありません。
あくまで“対等”とは、互いを尊重する関係であるべきで、敬意を欠いて良い理由にはならないのです。

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まとめ

「お客様は神様」という言葉は、三波春夫さんが舞台に立つときの心構えから生まれました。
時代の流れの中で誤解され、接客現場では過剰に使われてきましたが、本来大事なのは「お客様への敬意」と「プロとしての姿勢」です。

ただし「対等」という言葉を「お客様を軽んじてもよい」という意味に取り違えてはいけません。
商売はあくまで需要と供給のバランスの上に成り立つもの。お客様が求めるからこそ、私たちの提供する価値が活きてくるのです。

つまり、「お客様は神様」という言葉に振り回されるのではなく、需要と供給の関係を正しく理解し、感謝と敬意をもって誠実に応えること――これが接客の基本です。

経営者や店舗スタッフとして、この姿勢を守り続けることが、長期的な信頼関係やリピーター獲得へとつながっていきます。

ABOUT ME
はなぱぱ
はなぱぱ
経営者
はじめまして、はなぱぱです。 コンビニ経営に携わって13年。 店舗での経験や経営者としての苦労、従業員教育の工夫などをまとめています。 経営者や店舗責任者はもちろん、従業員の方にもわかりやすく役立つ情報を発信していきます。
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