【店舗経営】固定費・変動費だけじゃない?見落としがちな“その他のコスト”とは
――「ちゃんと売上はあるのに、なぜかお金が残らない…」 そんな感覚、店舗を経営していると感じたことはありませんか?
多くのオーナーが注目するのは、家賃・人件費・仕入れなどの固定費・変動費。 しかし、実際にはそのどちらにも含まれない“見えにくいコスト”が、 気づかぬうちに利益を削っていることがあります。
たとえば――
- 税理士や会計ソフトの利用料
- 労務・保険などの事業主負担
- 定期清掃・メンテナンス・広告の外注費
こうした費用は毎月は小さく見えても、年間で計算すると大きな金額に。 「えっ、こんなに使っていたの?」というケースも少なくありません。
この記事では、
店舗経営で意外と見落とされがちな“第三のコスト”を整理し、 利益を守るために押さえておくべきポイントを解説します。

利益は「見えるお金」より「見えないお金」で変わります。
一度棚卸ししてみるだけで、経営の精度は大きく上がりますよ。
では実際に、どんな「その他のコスト」が発生しているのでしょうか? 意外と見落とされやすい6つの項目を、現場目線で整理していきます。

見落とされがちな「その他の経費」6つのコスト
店舗経営では、家賃・人件費・仕入れなどの「固定費」「変動費」ばかりに目が行きがちですが、 実際にはそれ以外にも“静かに利益を削るコスト”がいくつも存在します。
ここでは、見落とされやすい6つの項目を整理して紹介します。
① 税理士・会計ソフトなどの会計関連費用
決算や確定申告を税理士に依頼している場合、 顧問料・年次処理費・クラウド会計ソフトの利用料も立派な経営コストです。
特に、インボイス制度や消費税対応のために外部サポートを依頼すると、 月1〜2万円でも年間では10万〜20万円規模になることもあります。
② 労働保険料・社会保険料(事業主負担分)
スタッフを雇用している場合、雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金など、 会社が負担する保険料が発生します。
給与明細には見えにくい部分ですが、年間で計算するとかなりの金額になります。 特にスタッフ数が多い店舗では、「働く人数」=「社会保険負担の重さ」になる点を意識しましょう。

“人を増やす”は“社会保険も増やす”。
採用戦略は、固定費戦略でもあります。
③ 消費税の納税(課税事業者の場合)
年間売上が1,000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。 消費税は預り金のように見えますが、実際に納税するタイミングでは資金繰りに影響することも。
特に、繁忙期で売上が伸びた翌年は納税額が跳ね上がる傾向があります。 税金が「予想外の出費」とならないよう、毎月の資金管理でストックしておきましょう。
④ 保険料(火災・店舗賠償責任など)
店舗経営には、リスクに備えるための保険料も欠かせません。 火災保険・PL保険(製造物責任)・店舗賠償責任保険など、 「万が一」に備える出費も立派な経営コストです。
ただし、補償内容が重複しているケースも多く、 定期的に契約を見直すことでコスト削減につながる場合があります。

“安心の保険”が“過剰な保険”になっていませんか?
安心を買いつつ、内容を整理することが経営者のリスク管理です。
⑤ 清掃・設備・管理系の委託費
エアコン清掃やグリストラップ回収、冷蔵庫の定期点検など、 設備関連のメンテナンス費用も「突発的出費」として登場します。
突発的に見えても、実際には毎年発生するケースが多く、 “年間スケジュール費用”として管理しておくことで、資金繰りが安定します。
⑥ 広告・販促に関する外注費・印刷費
チラシ作成、SNS広告運用、LINE配信のサポートなど、 売上アップのためのプロモーション投資も“その他のコスト”に含まれます。
「広告=売上につながる」と考えがちですが、 実際は成果が出るまでに時間がかかることもあり、“投資バランス”の見極めが大切です。

広告は“費用”ではなく“投資”。
だからこそ、目的と成果を数字で見直すことが大切です。

まとめ:経費は「見えるもの」だけじゃない
近年、物価上昇に伴い、店舗経営に関わるあらゆるコストが上昇しています。 「家賃や仕入れは把握しているのに、なぜか利益が残らない…」という場合、 今回紹介した“見えにくいコスト”が原因かもしれません。
税理士費用・保険料・労務費用・メンテナンス・広告費など、 これらをすべて「トータルで見える化」することが、 経営の安定と利益確保の第一歩になります。
月次の支払いを「固定費」として洗い出し、 “定期化していない出費”も含めて一覧化することで、 無駄な支出を抑えながら“利益を守る”経営が実現します。

経営は「売上を増やす」より、「お金を漏らさない」ことから。
見えない出費を減らすだけで、利益は静かに増えていきます。
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