【実例試算】24時間営業の人件費はいくらかかる?東京都×2名体制で現実的に検証
――「24時間営業って、やっぱり人件費が一番きついですよね。」
これは、私が経営相談を受ける中で最も多く聞かれる言葉のひとつです。 実際、24時間体制の店舗を維持するには、想像以上の人件費がかかります。
特に東京のように最低賃金が全国でも高い地域では、 「2名体制で1日回すだけで、どれくらいコストがかかるのか?」 感覚ではなく、数字で把握しておくことが非常に重要です。
なぜなら、人件費=経営を左右する“最大の固定費”だからです。 収益を伸ばすためにも、まずはこの現実をしっかり見ておく必要があります。
今回は、東京都の最低賃金(2025年時点)をもとに、 24時間営業を常時2名体制で運営した場合の人件費を シフト別に現実的に試算してみます。

経営の悩みの多くは「数字」に原因があります。
今日はその中でも“人件費”を一緒に掘り下げていきましょう。
それでは、実際に東京都の最低賃金をもとに、 1日のシフト構成から人件費を具体的に計算してみましょう。
前提条件
- 東京都の最低賃金(2025年時点):1,163円/時
- 深夜割増(22:00〜翌5:00):25%増 → 1,454円/時
- シフトは1日を5区分に分け、常時2名体制
- 1か月=30日で試算

10月以降63円アップしましたね。数字置き換えて対応お願いします。人任せ笑

シフト構成:1日を5区分にした現実的な2名体制
24時間営業を2名体制で回す場合、まず重要なのが「1日をどう分割するか」です。 無理のないシフト構成を組むことで、過労や人件費の偏りを防ぐことができます。
| シフト | 時間帯 | 通常時間 | 深夜時間 | 合計(2名分) |
|---|---|---|---|---|
| A | 5:00〜9:00 | 4時間 | 0時間 | 8時間 |
| B | 9:00〜13:00 | 4時間 | 0時間 | 8時間 |
| C | 13:00〜18:00 | 5時間 | 0時間 | 10時間 |
| D | 18:00〜23:00 | 3時間 | 1時間(22:00〜23:00) | 10時間 |
| E | 23:00〜翌5:00 | 0時間 | 6時間 | 12時間 |
この構成で1日を回すと、合計労働時間は以下のようになります。
- 通常時間:35時間/日
- 深夜時間:13時間/日
- 合計:48時間/日(2名体制)

月間の労働時間と人件費を試算
次に、1ヶ月(30日)運営した場合の労働時間と人件費を算出してみましょう。
- 通常時間:35時間 × 30日 = 1,050時間
- 深夜時間:13時間 × 30日 = 390時間
東京都の最低賃金(2025年時点)は1,163円/時、深夜は25%増の1,454円/時です。 これをもとに計算すると以下のようになります。
人件費の試算(最低賃金ベース)
- 通常時間:1,163円 × 1,050時間 = 1,221,150円
- 深夜時間:1,454円 × 390時間 = 567,060円
合計人件費:1,788,210円/月(=約178.8万円)

現場で起きる「実際の人件費」はもう少し高い
この試算はあくまで理論上の“最低ライン”です。 実際の店舗運営では、以下のような追加コストが発生します。
- 採用時給:1,200〜1,300円台が一般的(地域・時間帯による)
- 社会保険・交通費・残業手当・教育費などの付帯コスト
- 欠勤・急な代打によるシフト調整の追加人件費
つまり、実際の人件費は月180万〜220万円が現実的な水準です。 この数字を見て驚く方も多いですが、ここを正確に把握してこそ次の一手が打てます。

「うちの人件費、いつの間にか増えてる…」
そんな時は、まず“1日48時間”の内訳を見直すところから。

まとめ:人件費から目を背けず、現実と向き合う
24時間営業を続ける以上、人件費は避けて通れません。 けれど、数字を知ることは「諦める」ことではなく、「経営判断を明確にする」ことでもあります。
大切なのは、「いつ」「どの時間帯に」「何人必要か」を整理して、 無理のないシフト設計を行うこと。 これにより、収益と人件費のバランスを最適化することができます。
私自身、売上が伸びない時期に人件費を見直したことで、 店の利益が安定した経験があります。 固定費と向き合うのは苦しいですが、数字に向き合う勇気が経営を強くする。 その実感を、この記事を通して少しでも伝えられたらと思います。

経営の悩みは“感覚”では解決できない。
数字と向き合えば、答えは必ず見えてきます。
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