【収益改善のヒント】2025年度 最低賃金引き上げで24時間営業の人件費はどう変わる?
こんにちは、はなパパです。
今回は、2025年度に発表された最低賃金の引き上げを受けて、東京都で24時間営業を行っているコンビニ店舗における人件費の変化について、シミュレーションをしてみたいと思います。
2025年度の最低賃金:全国平均+東京都
- 全国加重平均:1,118円(+63円/+約6.0%)
- 東京都の最低賃金(2024年度):1,163円 → 2025年度想定:1,226円
東京都では、例年通り全国平均よりやや高めの水準で調整されることが見込まれます。今回は目安として1,226円で試算します。
2025年度の東京都最低賃金:1,226円(+63円)
昨年の1,163円から+63円(+約5.4%)の引き上げとなり、これは全国平均(+63円/1,118円)と同水準ですが、東京都にとっては年間コスト増に直結します。
前提条件:24時間営業・2名体制のシフト構成
今回の試算では、以下のような運営モデルを想定します:
- 24時間営業を2名体制で運営
- 通常時間(5:00〜22:00)=1,226円
- 深夜時間(22:00〜翌5:00)=1,226円 × 1.25 = 1,532円(25%増)
- 1ヶ月あたりの労働時間:
┗ 通常時間:35時間 × 30日 = 1,050時間
┗ 深夜時間:13時間 × 30日 = 390時間 - 対象者は全時間を最低賃金ベースで勤務
2024年度 → 2025年度の人件費比較
区分 | 2024年度(1,163円) | 2025年度(1,226円) | 差額 |
---|---|---|---|
通常時間(1,050時間) | 1,163円 × 1,050h = 1,221,150円 | 1,226円 × 1,050h = 1,287,300円 | +66,150円 |
深夜時間(390時間)※25%増し | 1,163円 × 1.25 × 390h = 567,187円 | 1,226円 × 1.25 × 390h = 598,725円 | +31,538円 |
合計(月間) | 1,788,337円 | 1,886,025円 | +97,688円 |
年間(×12ヶ月) | 約2,145万円 | 約2,263万円 | +1,172,256円 |
月約10万円・年120万円の人件費アップ
これまでと同じシフト体制で営業を続けた場合、月間で約97,000円、年間で約117万円の人件費が増える試算になります。
これは想像以上に大きな数字です。
粗利率の低いこの業界において、この増額分を売上だけで吸収するのは簡単ではありません。
2030年までに月間人件費はどう変わる?
こちらは、2025年から2030年まで、毎年最低賃金が+63円ずつ上昇した場合の「月間人件費の推移(東京都・2名体制・24時間営業)」を表とグラフで可視化したものです。
通常勤務(1,050時間)+深夜勤務(390時間×1.25)という前提のもと、最低賃金の上昇に伴う人件費を積算しています。
年度 | 最低賃金(円) | 月間人件費(円) |
---|---|---|
2025 | 1,226 | 1,884,975 |
2026 | 1,289 | 1,981,838 |
2027 | 1,352 | 2,078,700 |
2028 | 1,415 | 2,175,562 |
2029 | 1,478 | 2,272,425 |
✅ この表から見えてくること:
・2025年時点では、月間人件費は約188万円
・2030年には、約227万円に達する見込み
→ わずか5年で月37万円〜40万円の人件費アップ
年換算すると、およそ450万円超の増加。 これは売上だけで吸収するのは難しい水準であり、深夜営業の見直し・シフト最適化・業務効率化など、複合的な対策が求められます。
「数字で未来を予測する」ことで、経営判断のスピードと精度が大きく変わってきます。
今こそ「シフトと営業体制の見直し」を
このような状況を受けて、店舗として検討すべき具体的な対策は以下のようなものがあります:
- 深夜帯の時短営業(例:午前1時〜5時閉店)←これに関しては本部側が許可しないと思われます。
- 時間帯ごとの人員配置最適化(深夜帯1名制など)←法律上あまりよくない。機会があれば…
- 発注や品出しの自動化・業務圧縮 ←各所AIが導入され始めてます
- 客単価を上げる施策(レジ前販売、声かけ、セット販売)
すぐにすべてを変えるのは難しくても、数字で「変えないリスク」を可視化することが第一歩です。
まとめ:コスト上昇の時代に必要な「見直し」と「行動」
労務コストが年々上がるのは、もう止められない流れです。
「仕方ない」と受け入れるのではなく、数字を見える化して、打てる対策を早めに打つ。
この姿勢が、1年後、3年後の店舗の安定経営につながると私は考えています。
あなたの店舗でも、今回の引き上げを機に、人件費とシフト構成を一度見直してみてください。
ではまた、現場で会いましょう!