【現場エピソード】ハロウィン商戦で学んだ大容量菓子と店内演出の効果
――“イベント1日”が売上を変える。現場で見えたチャンスと工夫
10月31日、ハロウィン。
いまや日本でも定番イベントとなり、コンビニや小売店にとって年間屈指の販売チャンスとなりました。
この日、私の店舗でも大容量菓子や飲料の動きが一気に変化。
仮装や装飾を施した売場づくり、親子連れのまとめ買い、
そして当日のオペレーションまで――。
1日を通して“現場が動く瞬間”を肌で感じた特別な日でした。
この記事では、実際のハロウィン商戦を振り返りながら、
- 売上の柱となった大容量菓子の傾向
- 売場演出・装飾による購買心理の変化
- 当日のオペレーションで意識すべきポイントを整理し、季節イベントを「売上と信頼の両立」に変えるヒントをまとめます。

私もハロウィンを意識するようになったのは、渋谷で仮装した人たちが大勢集まってニュースになっていた頃からですかね。あのあたりから一気に“ハロウィン=イベント”っていう印象が強くなりました。
売上の柱は大容量菓子

――「配る需要」をとらえた瞬間、売場が動いた
ハロウィン商戦で最も顕著に売上を伸ばしたのは、大容量タイプの菓子類でした。
普段なら単品で購入されるチョコやキャンディも、
この時期だけは「配る」「分ける」「シェアする」目的でまとめ買いされます。
特に 子ども会・地域イベント・家族行事 など、
“みんなで楽しむ”シーンに対応できるサイズ感の商品が圧倒的に動きました。
実際に売れた商品カテゴリー
- チョコ・キャンディ・ラムネなどの小分け菓子(大袋タイプ)
- 個包装スナック(カルビー・湖池屋などのシェアパック系)
- 配布用ミニ菓子(駄菓子アソート)
- 限定パッケージのチョコレートギフト
👉 特に「中身よりも“数の多さ”で選ばれる」傾向が強く、
普段は動きの鈍い袋菓子が一気に売場の主役に変わるのがハロウィン期の特徴です。
売場づくりで意識したポイント
- 通路側・入口横に“まとめ買い”を意識した陳列を展開
- POPで「配る用」「お配りセットにどうぞ」など用途を明確に訴求
- 家族連れがカゴを持ちやすいよう近くに配置。
これにより、「手に取る→買い足す→もう1袋」という自然な流れが生まれ、
普段よりも平均購入単価が約15%アップしました。

ハロウィン用のパッケージ商品って、つい手に取りたくなるんですよね。見た目もかわいいし、売場を明るくしてくれるから装飾としても価値があります。季節を感じられるこういう商品は、お客様にも喜ばれますね。

店内装飾と雰囲気づくり

――“視覚と空気”が購買意欲を動かす
ハロウィン商戦では、装飾と雰囲気づくりが売場の主役になります。
お客様は「必要だから買う」だけでなく、
“気分が上がるから買う”という感情で動くからです。
スタッフも“演出の一部”になる
装飾だけでなく、スタッフの関わり方も雰囲気づくりの要です。
- カチューシャや帽子などの簡単な仮装アイテムを取り入れる
- 「ハッピーハロウィン!」など、笑顔で声かけを実施
- BGMにハロウィンソングを流して五感で季節感を演出
たとえ派手な演出でなくても、
スタッフが楽しそうに働く姿がそのまま「空気の演出」になります。
結果的にお客様も自然と笑顔になり、店全体に“楽しさの連鎖”が生まれるのです。
現場での成果と気づき
- 装飾を強化した週は、お菓子カテゴリー全体の売上が前週比+12%
- 特に親子連れの滞在時間が伸び、「見て楽しい」「買って楽しい」空気が購買を後押し
- POPに「お配り用」「おうちハロウィンに!」などのメッセージを加えることで、用途買いが増加
見た目の華やかさではなく、「誰のために」「どんな気持ちを演出するか」。
その意図があるだけで、装飾は“販売促進の仕掛け”に変わります。

スタッフから「ハロウィンの日、仮装してもいいですか?」なんて提案をもらえたときは嬉しかったですね。こちらから言い出すのは少し気が引けるので、本人たちからそういう前向きな声をもらえるのは本当に助かります。

当日のオペレーションの工夫

――ピークを制するのは「準備」と「空気づくり」
ハロウィン当日は、通常営業とは明らかに違う“特殊日”です。
夕方以降の来店ピークに向けて、補充・導線・チーム連携の3つを徹底できるかが鍵となります。
現場で感じたのは、
「当日になってから頑張る」では遅い、ということ。
事前の準備がすべての成果を左右します。
当日の雰囲気は「接客でつくる」
ハロウィン当日は、お客様の気分が高揚しています。
この「楽しむ空気」にスタッフが寄り添えるかどうかで、店の印象が大きく変わります。
現場では、スタッフ全員で次のような取り組みを行いました。
- 「ハッピーハロウィン!」の声かけを全員で統一
- 仮装帽子やリボンなど、簡単なワンポイント衣装を着用
- 子どもにはお菓子を1つプレゼント(※安全・在庫管理を徹底)
お客様が笑顔を見せてくれると、店内の空気が自然と温まり、
スタッフの士気も上がっていくのを感じました。

当日こうなるだろう、ああなるだろうといくら想定していても、やっぱり予期せぬことが起きるのがイベント当日ですよね。だからこそ、事前準備をできるだけしておくことが大事。当日はその準備力でうまく回せますよ。

学び:雰囲気とシェア需要を掴むことが大切

――売上を超えて「お客様との関係」を深める日
ハロウィン商戦を振り返ると、売上の数字以上に印象に残ったのは、
「お客様とスタッフが同じ空気を共有していた」という感覚でした。
大容量菓子のまとめ買いが動いたのも、
店内の装飾や声かけに温かみがあったからこそ。
お客様は“お得だから買う”のではなく、
“楽しい気分を持ち帰りたいから買う”という心理で動いていたのです。
シェア需要を掴む視点
もうひとつの重要な学びは、「シェア需要」の強さです。
ハロウィンは「自分のために買う日」ではなく、「誰かと楽しむ日」。
そのため、配る・分ける・一緒に食べるという購買目的が増えます。
「一人の購入=複数人への体験提供」
つまり、“1客=N人の満足”を生み出せるのが、イベント商戦の醍醐味です。
この構図を意識すれば、
- シェアしやすい商品を入口に置く
- ファミリー層がまとめ買いしやすいカゴ導線を作る
など、日常販売にも応用できるヒントが見えてきます。
イベント対応は「売上+信頼」につながる
ハロウィン当日を通して感じたのは、
イベント対応とは単に“売上を取る日”ではなく、
“お客様との信頼を深めるきっかけ”だということです。
お客様にとって、
「季節に合わせて必要なものをちゃんと揃えてくれる店」
「行くたびに楽しい工夫がある店」
という印象は、長期的な来店動機につながります。
売上はその日で終わる。
でも、信頼はイベントをきっかけに積み上がっていく。
この意識を持つことで、
イベント販促は“単発の仕掛け”から“継続的な関係づくり”へと変わります。
経営視点でのまとめ
| 観点 | 学び |
|---|---|
| 売上 | 大容量菓子の「配る需要」を掴むことで構成比アップ |
| 現場運営 | 雰囲気づくりとスタッフ一体感が販売効率を高める |
| 経営戦略 | イベント販促=信頼構築のチャンス。長期的な顧客関係の基盤になる |
「イベントの日にどれだけ売るか」ではなく、
「イベントをきっかけに、どれだけ信頼を積み上げるか」。
この視点を持つことが、季節商戦を“持続的な成長戦略”に変える第一歩です。

イベントなどの取り組みは、やるかやらないか店側の判断に委ねられますが、主体的に挑戦することで得られるものは大きいと思います。確かに在庫リスクなどの不安はありますが、その分、スタッフの成長や気持ちの変化、お客様の反応など、プラスの効果もたくさんあるんですよね。
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