【現場エピソード】年越しそば・お餅販売で学んだ在庫管理と習慣需要
12月はコンビニにとって年間最大の商戦期。年越しそばやお餅は絶対に品切れが許されない商品です。現場で学んだ在庫管理の工夫と、年末年始に続く「習慣需要」について紹介します。
12月は一年の中でも最も売上が上がる月です。 そのため、売場にしっかりと商品を揃えておかないと、せっかくの最大のチャンスを取りこぼしてしまいます。 特に年越しそばとお餅は、この時期の主役ともいえる商品。 ここでは私が現場で経験した「在庫管理の重要性」と「年末年始の習慣需要」についてお話しします。

12月は一年で最も売上が伸びる月。だからこそ商品不足は致命的です。売場づくりでは機会損失を出さないことが何より重要なんです。
12月ってそんなに売れるんだ!でもそばやお餅がなかったらガッカリするのはわかる気がするなぁ。


そばを食べるだけで『1年の区切り』を体感できるのが面白いところです。お客様にとっては買う理由が伝統的に保証されている商品でもあるので、販売現場では由来や意味をうまく伝える工夫が信頼づくりにもつながります。
えっ!そばって長生きできるようにとか悪いことを切るって意味があったの?ただ毎年食べてただけだったけど、理由を知ると大事に感じるね。

在庫管理と売場づくりの工夫

年末は最重要商品として在庫を厚めに確保することが基本ですが、それに加えて 地域ごとの食文化や人気具材を意識した売り場づくり が大切です。
例えば――
- 関東 では「海老天ぷら」「かまぼこ」などを添えるスタイルが人気
- 関西 では昆布だしを使ったあっさりしたつゆと「油揚げ」「三つ葉」などが定番
- 北海道や京都 では「ニシンそば」がよく食べられ、子孫繁栄や豊漁の縁起物としても喜ばれる
このように、そば自体は同じでも「地域の嗜好」「縁起の良い具材」が売れ筋を大きく左右します。
したがって在庫管理では、単に「麺の確保」だけでなく、具材やトッピングの在庫を意識的に厚めに準備することがポイントです。
売場演出としても「地域色」や「縁起物」の意味を伝えるポップを添えることで、購買動機を後押しできます。

在庫を厚めに確保して、年明け分も見込んで仕入れるのが鉄則です。
習慣需要のサイクルを理解する

面白いのは、人間には習慣の力があるということ。 年末に「年越しそばの準備をする」と決めて買っても、その商品を事前に食べてしまう人が意外と多い。 結果として「やっぱりもう一度買おう」と、再び年末に来店してくれます。 このサイクルを繰り返す人たちは、年明けの1月に入ってもそばやお餅を食べる習慣を続けることが多いのです。
つまり、12月末だけでなく1月にも売上が続くのが、年越しそばやお餅の特徴です。 私はこれを知ってから、年末の発注量をあえて増やすようにしました。 結果、思った以上に在庫が動き、廃棄も出ずに売り切れることが多かったです。

お客様は年末に買って終わりじゃありません。大晦日に食べきったら、年始にもう一度買いに来る。これが習慣需要の強みなんです。
そうか!1回で終わらないんだね。たしかにお正月もお餅とかたくさん食べるもん!

学び:年越し商戦は「習慣」を味方につける

年越しそばやお餅の販売で学んだのは、これは単なるイベント商品ではなく 「習慣」によって支えられた継続需要 だということです。
「どうせ12月だけ」と限定的に考えて在庫を絞ってしまうと、せっかくの大きな売上チャンスを逃してしまいます。
むしろ、年末にしっかりと仕入れを行い、1月も一定量を確保し続けることで、お客様の毎年・毎月の習慣に自店を組み込むことができる のです。
例えば「大晦日はそば」「正月はお餅」といった定番行事に対応し続けることで、お客様は「ここに行けば必ず手に入る」という安心感を抱き、自然と信頼が積み重なっていきます。
つまり、習慣に寄り添った商品戦略は、売上の一時的な増加にとどまらず、店舗の長期的な信頼とリピーター獲得につながる ――年越し商戦はその好例だと感じました。



