サイゼリヤが値上げせずに価格を維持できる理由|外食産業の企業努力に学ぶ
外食産業が値上げラッシュの中、サイゼリヤは価格を据え置きながら品質や接客を維持しています。その背景にある企業努力を分析し、経営視点から学びをまとめました。
久しぶりに訪れたサイゼリヤでの驚き
先日、家族でサイゼリヤを訪れました。私は10数年ぶりの利用でしたが、驚いたのは価格・量・味がほとんど変わっていなかったことです。 この物価高の時代に、なぜ価格を維持できるのか――経営者の視点で調べてみました。

効率化によるコスト削減
サイゼリヤでは、セルフレジや配膳ロボットの導入により人件費を抑えています。 ただし、1〜2名分の人件費削減だけで価格を維持できるわけではありません。 重要なのは店舗全体での効率化の積み重ねです。
物流改革
自社工場・物流網を活用することで、食材を安定的かつ低コストで供給しています。 店舗ごとの仕入れ負担を減らし、規模のメリットを最大化しています。
オペレーション改善
セルフサービス方式やメニュー設計により、オペレーションをシンプル化。 少人数でも店舗運営を回せる体制を整えています。

海外展開による収益源の多様化
サイゼリヤは国内だけでなく、アジアを中心に積極的に海外出店を進めています。 特に中国や東南アジアの都市部では、日本以上に「安くて安心できる外食」として人気を獲得し、店舗数を拡大しています。
この海外事業からの収益は、国内の価格維持を支える大きな柱になっています。 例えば、国内では人件費や光熱費の高騰により値上げ圧力が強まっていますが、海外で得られた利益を全体の経営に還元することで、 国内価格を据え置きながらも一定の利益を確保する仕組みを作り出しています。
また、海外展開にはリスク分散の意味もあります。 一国の経済や消費環境に依存せず、複数の市場で利益を確保できる体制は、長期的な経営安定につながります。 これは他の外食産業と比較しても、サイゼリヤの大きな強みといえるでしょう。
「国内では価格を守り、海外で成長を図る」―― この両輪の経営戦略が、物価高の中でも低価格を維持し続ける背景にあるのです。

企業努力の凄さと課題
接客や味の品質も落とさず、全席満席で営業している姿を目の当たりにし、企業努力の賜物だと実感しました。 一方で、労働環境の改善が企業成長にどう結びつくかという疑問も残ります。 ただ、それでも「値上げをせずに品質を維持する」という姿勢は他業界にも大きな学びになると思います。
まとめ:小売・飲食業に共通する学び
多くの企業が値上げを余儀なくされる中で、サイゼリヤは物流改革・効率化・海外展開など多方面の努力で価格を維持しています。 これはまさに顧客目線を第一にした経営であり、小売や飲食業を営む私たちにとっても学ぶべき姿勢です。



