Amazonや楽天などネット通販が当たり前になる時代。コンビニが生き残るために必要なのは「人にしか出せない価値=接客力」。24時間営業という強みと合わせ、店舗の未来を考えました。
コンビニに求められる役割
まず前提として、コンビニは「特化型の商品提供」ではなく、広く浅く最低限の商品提供が求められていると思います。 食品をまとめて買うならスーパー、日用品ならホームセンター、タバコはタバコ屋、パンはパン屋といったように、それぞれの専門店には勝てません。 私たちの役割は、その日・そのタイミングで必要なものが最低限揃っていることにあるのです。
品揃えの幅と限界
スーパーの売場を見れば、例えば醤油だけでも種類は豊富。 減塩、容量違い、小分け、価格帯や品質の差など、多様な選択肢があります。 しかし、コンビニの狭い売場でこれを再現することは不可能です。 せいぜい1~2種類に絞らざるを得ません。 重要なのは、「種類を増やすこと」ではなく、最低限の1本が必ずあることです。 お客様がスーパーで買い忘れた醤油をコンビニで補える、そうした利便性が活用価値だと考えます。

発注精度とAIの活用
このために欠かせないのが品切れを防ぐ発注精度です。 人件費高騰のなかで発注に十分な人員を割くのは難しいですが、AIの発展により精度の高い発注が可能になってきています。 とはいえ、突発的な需要や天候変化までは完全に対応できません。 やはり現場の肌感覚を持った人間の対応が不可欠だと感じます。
24時間営業という強み
コンビニの最大の強みは24時間営業です。 夜間に利用するお客様は「スーパーが閉まっているから」「早く済ませたいから」といった理由が多く、ここで信頼を得られるかどうかが重要です。 夜間でも商品提供の速さ・確実さ・信頼感を積み重ねることが、他業態にない価値になります。

ネット通販との違いと接客力の必要性
利便性だけを求めるなら、Amazonや楽天といったネット通販を利用する人は今後ますます増えていくでしょう。 クリックひとつで翌日には商品が届く便利さは、店舗販売の強みを奪いつつあります。 これからの時代、「ただ便利だから来てもらえる」という前提は崩れていくと思います。
そんな中でコンビニという事業が生き残るためには、人にしか出せない価値を打ち出していく必要があります。 それが接客力です。 単に商品を売るのではなく、お客様にとって「安心感」「気遣い」「ちょっとした会話」が買い物体験の一部となるような場を提供すること。 これがネット通販にはできない価値だと考えます。
例えば、「あの人がいるから今日はあの店に行こう」という動機付け。 これは価格や品揃えだけでは生まれません。 従業員一人ひとりの表情、声掛け、対応の積み重ねによって初めて生まれるものです。 そして一度ファンになったお客様は、少々高くても、多少不便でも、その店を選び続けてくれます。
つまり、これからの時代にコンビニが残っていくためには、従業員一人ひとりが“店舗の顔”としてお客様をファン化していく力が欠かせないのです。 これは大手チェーンでも小規模チェーンでも同じであり、むしろ地域密着型の店舗ほど強みとして発揮できる部分だと思います。
利便性の時代から、「体験価値の時代」へ。 接客を通じた小さな体験の積み重ねこそが、コンビニの未来を支えると私は考えています。

安心感と信頼の積み重ね
大手チェーンはその名前だけで安心感や信頼感があります。 一方、小規模チェーンや地域店では、日々の接客・品揃え・信頼の積み重ねが命綱です。 地域住民をファン化できるかどうかが存続を左右すると思います。
まとめ
変化の時代におけるコンビニの価値は、「最低限必要なものがいつでも揃う利便性」+「従業員の接客による信頼感」です。 ネット通販では代替できない「人とのつながり」を磨き、24時間営業の強みを活かすこと。 それが一人のお客様をファンにし、店舗を存続させる力につながるのではないでしょうか。