年賀状やお盆など、かつての行事需要は減少傾向にあります。その中でコンビニができることは何か。母の日・父の日を例に、現場で感じた変化と小売業としての役割をまとめました。
イベント需要の変化
正月やクリスマスは今でも「トップクラスに認知度が高いイベント」です。 一方で、バレンタインデーやお盆はまだ一定の需要がありますが、母の日や父の日、節分(恵方巻)、年賀状といった催事は昔ほど盛り上がらなくなっています。
例えば年賀状は、この10年で利用者が半分ほどに減少。 メールやLINEなどの普及により「わざわざ出さない」人が増えています。 お盆も同様で、墓参りの習慣自体が薄れつつあります。 背景には「墓の管理サービス」の普及があり、現地に行かなくても常に清掃・整備された状態が維持されるようになったことも大きな要因です。
小売業での影響
行事需要が減少するということは、当然ながら小売業全体の売上にも影響します。 スーパーやデパートでも催事コーナーの規模を縮小したり、展開期間を短縮するケースが目立つようになりました。
その結果、顧客の行動も変化しています。 「母の日だからデパートへ行こう」という計画的な行動よりも、 「そういえば今日母の日だった!」と当日に気づき、慌てて準備するケースが増えています。
コンビニの強み:気づいたときに買える
そこで強みを発揮するのが、コンビニの24時間365日営業です。 スーパーやデパートが閉まっている早朝や深夜でも「ちょっとした贈り物」を買えることは、大きなメリットです。
具体的には、
- 小さなカーネーションやミニブーケ
- 菓子折りやスイーツギフト
- コーヒーや紅茶のギフトパック
こうした商品を揃えておけば、 「今日母の日だから実家に帰ろう」 「夜のうちに出発して手土産を用意したい」 というニーズに応えることができます。
大量販売ではなく「信頼感」の積み重ね
母の日・父の日におけるコンビニの取り組みは、決して大きな売上を生むものではありません。 実際、売上に直結しにくいことや、売場スペースの無駄につながるリスクもあるため、「あえて手を出さない」という選択肢も十分に理解できます。
しかし私としては、それでも「かゆいところに手が届く店」でありたいと思います。 こうした小さな積み重ねが「この店はいつも頼りになる」と評価され、結果的にロイヤルカスタマーを生み出すチャンスになるのではないかと考えています。
まとめ
正月やクリスマスのように「盛り上がるイベント」もあれば、年賀状やお盆のように「縮小する行事」もあります。 その中でコンビニが果たすべき役割は、「気づいたときにすぐ対応できる安心感」を提供することです。
母の日や父の日のちょっとしたギフト、深夜や早朝でも買える便利さは、お客様にとって大きな安心材料です。 こうした取り組みが、長期的にはロイヤルカスタマー獲得につながると信じています。