発注教育の段階モデル|短時間スタッフでも「売れる発注」ができるようになる育成術
コンビニ経営において、最も難易度が高い業務のひとつが「発注」です。
特に短時間スタッフに発注を任せる、あるいは教えるとなると、一気にハードルが上がります。
理由は、発注が「経験・勘・数字感覚・売場理解」が複合的に求められる高度な作業だからです。
しかし、現場ではベテランの感覚に頼りきりになりやすく、属人化してしまうケースも少なくありません。
そこで重要になるのが、スタッフの理解度に合わせた『段階的な発注教育』です。 いきなり完璧を求めるのではなく、ステップごとに“できる領域”を増やしていくことで、 短時間スタッフでも発注の基礎から応用まで習得できるようになります。

発注は「数を入れる作業」ではなく、
“売上と粗利を最大化する判断業務”なんです。
だからこそ、段階教育が効果を発揮します。
本記事では、コンビニ現場で実際に機能する「発注教育の段階モデル」をわかりやすく整理し、 スタッフの育成に悩む店長・オーナーのために、すぐ使える形でまとめました。
発注教育の結論|「段階式で育てる」が最も効率的

発注教育が難しい理由は、発注が単なる「数を入れる作業」ではなく、
売上・粗利・在庫・廃棄のすべてに直結する高度な判断業務だからです。
にもかかわらず、現場ではベテランの基準をそのまま新人に求めてしまい、「なかなか育たない」「任せられない」という課題がよく起きます。
そこで大切なのが、段階的に“できること”を増やしていく教育モデルです。 一気に教え込むのではなく、理解に合わせてステップを積み上げていく方が、 短時間スタッフでも確実に育つことがわかっています。
なぜ「段階式」が最適なのか?
短時間スタッフは、まだ売場全体の流れや数字感覚が不十分な状態です。にもかかわらず、いきなり高度な発注判断を求めると、理解が追いつかず混乱します。
逆に、「できる範囲を少しずつ広げる」形で教えると、次のような効果が生まれます。
- 成功体験を積みやすく、習得意欲が上がる
- 発注への苦手意識がなくなる
- 属人化せず、複数人が発注できるチームになる
- 教える側も“どこまで任せていいか”明確になる
どんな段階で育てていくのか?(4つのSTEP概要)
発注教育の最適な流れは、以下の4ステップに整理できます。
- STEP1:個数を見る、発注する(基礎)
在庫と必要数の関係を理解し、欠品・廃棄を減らす感覚を養う。 - STEP2:売上を理解する、売上高で発注する(初級)
売価×数量=売上 の仕組みを掴み、「同じ個数でも売上は変わる」を体験する。 - STEP3:売れ筋・曜日・イベントの把握(中級)
状況に応じて発注を調整する“応用力”を育てる。 - STEP4:天候・気温・地域特性を読む(上級)
店長・副店長に近いレベルでの先回り判断を身につける。
これらのステップは、現場のスタッフが自然に成長できるように作られた流れであり、 発注を属人化させない仕組みとして最適です。

発注を“一部の人だけができる仕事”にしてしまうと、店が回らなくなります。
段階式に教えれば、誰でもちゃんとできるようになるんですよ。
まず店長が押さえるべき「発注教育の基本方針」
発注教育を成功させるために、教える側が事前に理解しておくべき方針があります。
- いきなり全員をSTEP4に育てようとしない(時間が足りない)
- まずは“できるスタッフ”を増やすことを目指す
- 完璧を求めず、基準から大きく外れなければOKとする
- 成功体験を積ませ、「やってみよう」と思える雰囲気を作る
この方針を持つだけで、発注教育は驚くほどスムーズになります。

STEP1|まずは「個数管理」から覚えてもらう

発注教育の最初のステップとして最適なのが、「個数を見る力」を身につけてもらうことです。
いきなり売上予測や売れ筋分析を教えるのではなく、まずは“数の基礎感覚”を育てるほうが圧倒的に習得スピードが早くなります。
なぜ最初は「個数管理」が最も効果的なのか?
理由はとてもシンプルで、個数管理は数字の意味が視覚的に理解しやすいからです。
例えば:
- 売れた数=在庫が減った量なので「変化」が分かりやすい
- 不足・余剰が目に見えるため改善点に気づきやすい
- 「今日は弁当が50個売れた」など、数量単位の目標を立てやすい
数字が“動く理由”が視覚的に理解できるため、発注初心者にとって最適な導入ステップになります。
個数管理で教えるべき内容(具体例つき)
この段階で教えるべきは、難しい分析ではなく「数のギャップを見る」という習慣です。
例えば、弁当のケースでは:
- 平均販売数(例:平日50個 / 土曜日55個 / 日曜60個)
- 朝の在庫(例:朝30個)
- 必要数との差分(例:50個売りたい → 必要20個)
この計算だけで、発注の基礎はほぼ押さえられます。

難しく考えなくて大丈夫です。
まずは “必要数 − 在庫 = 発注数” の感覚だけ掴んでもらえればOK。
初期段階でスタッフに持たせたい「到達目標」
STEP1の目的は、発注を完璧にすることではなく、“基準から大きく外れない発注ができる”状態を作ることです。
到達目標は次の3点です:
- 欠品が極端に出ない(売れるのに並んでいない状態を減らす)
- 廃棄が大幅に増えない(ムダな発注をしない)
- 前日比較ができるようになる(昨日と今日の差を説明できる)
この3つができれば、発注初心者としては十分合格ラインです。
STEP1でつまずかせないための店長のコツ
個数管理は習得しやすい一方、教え方を誤ると「数字が苦手」という意識を強めてしまいます。 店長・教育者として意識してほしいポイントはこちらです。
- いきなり売れ筋分析をさせない(混乱します)
- まずは1カテゴリに絞る(弁当だけ、など)
- 一緒に発注画面を見る時間を必ず作る
- 正解を求めず「次回へつながる気づき」を重視する
特に“正解を求めすぎる教育”は逆効果。 まずは発注を「気軽にできる」「怖くない」状態にしてあげることが最優先です。

発注は、慣れてくるとどんどん楽しくなります。
最初の段階では“数字に触れる時間”をたくさん作ってあげてください。
STEP1まとめ
STEP1は、発注教育の土台となる非常に重要なステージです。 個数管理を通して「数字を見る力」「基準を知る力」を養うことで、次のステップへスムーズに進めます。
- 個数を見る力 → 発注の入り口
- 成功体験が得られる → 意欲が湧く
- 売場の基本理解が深まる → 応用ステップに繋がる

STEP2|売上管理(売価 × 数量)を意識させる

STEP1で「個数を見る力」が育ってきたら、次の段階では「売上の仕組み」を教えていきます。
ここで初めて、発注が“ただ数を入れる作業ではない”ことを実感してもらえるようになります。
キーワードは、売価 × 数量 = 売上。
同じ20個でも、どの商品を何個売るかで売上が大きく変わることを体感してもらうことがポイントです。
STEP2で身につけてほしい「売上の感覚」
この段階で目指すのは、難しい利益計算ではなく、
「売価が違えば、同じ個数でも売上が変わる」という感覚を持ってもらうことです。
例えば、こんなイメージです:
- 498円のお弁当を20個売る → 約1万円
- 698円のお弁当を20個売る → 約1万4千円
どちらも20個ですが、売上は約4,000円も違います。 この“差”を理解できると、発注の精度は一気に変わってきます。
教える順番のコツ(いきなり難しくしない)
売上の話をするとき、最初から難しい話をするとスタッフはついてきづらくなります。
そこで、次の順番で少しずつステップアップさせるのがおすすめです。
- 「昨日の売上」と「今日の売上」を一緒に見る
- 個数はほぼ同じなのに、売上が違う日を探す
- 高単価商品が売れた日をピックアップする
- 「どの商品が売れたから売上が伸びたのか」を一緒に確認する
この流れで教えると、スタッフ自身が
「あ、高い商品が売れると売上が変わるんだ」と気づいてくれます。

こちらから全部説明するより、
“本人に気づいてもらう”形で進めると、定着がグッと良くなりますよ。
具体例で伝える「売価 × 数量」の違い
スタッフにイメージしてもらいやすいよう、具体例を使って説明するのが効果的です。
例えば、弁当コーナーで次のように共有します:
- A弁当:498円 平均販売個数 30個
- B弁当:698円 平均販売個数 20個
このときの売上は、
- A弁当 → 498円 × 30個 = 14,940円
- B弁当 → 698円 × 20個 = 13,960円
「個数が多いA弁当のほうが売上は少し高いけれど、 B弁当がもう5個売れたら一気に逆転するよね」といった会話をすると、 “どの弁当をどれくらい発注するかで売上が変わる”ことが自然と伝わります。
STEP2の到達目標(ここまでできれば十分)
STEP2のゴールは、“売上の変化を数字で説明できるようになること”です。
完璧な分析を求める必要はありません。
目標としては、この3点が押さえられていれば十分です:
- 昨日と今日の売上差を「個数」と「売価」で説明できる
- 「高い商品が売れた日は売上が伸びる」という感覚を持てる
- 発注時に「どの商品に何個入れるか」を意識できる
このレベルに達していれば、すでに発注の“初級者”から“中級者”への入口に立っています。
STEP2でつまずかせないための注意点
売上の話になると、どうしても数字が増えるため、数字が苦手なスタッフは抵抗を感じがちです。
そこで、店長としては次の点に気をつけてあげるとスムーズです。
- 「完璧にわからなくていい」と最初に伝えておく
- 細かい単価の違いではなく、ざっくりした金額感で伝える
- 難しい部門は後回しにして、まずは弁当など分かりやすい部門から
- 「今日はこっちの商品が売れたから伸びたね」と一緒に振り返る習慣をつくる

売上の話をするときは、“授業”ではなく“会話”で進めるイメージが大事です。
一緒に画面を見ながら「今日はこうだったね」と話すだけでも、理解はどんどん深まります。
STEP2まとめ
STEP2では、発注を「数合わせ」から一歩進めて、「売上を作る仕事」として捉えてもらう段階です。
- 売価 × 数量 = 売上 の感覚を身につける
- 高単価商品の動きに注目できるようにする
- 昨日との差分を説明できるようになる
ここまで理解できれば、次のステップである「売れ筋・曜日・イベントを踏まえた発注」へスムーズに進めます。

STEP3|売れ筋理解・曜日偏差・イベント反映のステージ

STEP1・STEP2を終えたスタッフは、すでに「数を見る力」と「売上の基本構造」を理解しています。
ここからは、より現場で役に立つ実践力——つまり「状況に応じて発注を変える力」を育てる段階に入ります。
発注の中で最も差がつくのは、このSTEP3と言っても過言ではありません。 売れ筋・曜日・天候・イベントなど、状況に合わせて発注が調整できるようになると、 スタッフは“ただ数を入れる人”から“売場を読む人材”へ進化します。
まず覚えてもらうべき「売れ筋(TOP商品)」の見方
STEP3の土台となるのは、カテゴリーの売れ筋=TOP商品を把握することです。 売れ筋がわかれば、発注の「基準値」が一気に安定します。
例えば弁当なら:
- 1位:直火炒めチャーハン
- 2位:特製幕の内
- 3位:大盛りペペロンチーノ
TOP3がわかるだけでも、発注量の大枠がつかめます。 また、TOP商品は販売が安定しやすいので、在庫0=売り逃しに直結します。
曜日別の売れ方の違いを理解する(曜日偏差)
発注精度を上げるうえで欠かせないのが、“曜日ごとの売上の癖”です。 同じ商品でも、曜日によって売れ方は全く違います。
よくある例としては:
- 月曜 → 全体的に弱い(生活リズムが戻る日)
- 金曜 → お弁当・スイーツが強い
- 土曜 → 家族需要で菓子・パンが伸びる
- 日曜 → 惣菜が弱く、パンが強いなど店舗ごとの特徴が出やすい
曜日偏差が理解できると、スタッフが自分で調整できる幅が一気に広がります。

曜日による売れ方の違いは、店によって本当に特徴が出ます。
“自店の癖”を覚えるだけで発注が一気に上手くなりますよ。
イベント・給料日・地域行事の読み方
STEP3で特に重要なのが、「イベントによる需要変化」を発注に反映させることです。 イベントのある日は、通常の売れ方とは別の動きをします。
代表的なものは:
- 給料日(25日〜月末) → 弁当・惣菜・スイーツが強くなる
- 連休前 → 菓子・パン・冷凍食品が伸びる
- 地域の運動会・イベント → 飲料・菓子・おにぎりが急増
「なぜ今日は売れたのか?」「なぜ今日は弱かったのか?」 この理由が結びつくようになると、発注に“説明力”が身につきます。
STEP3の到達目標(ここまで来れば“即戦力”)
STEP3をクリアできるスタッフは、すでに発注担当として即戦力レベルです。 発注を「調整できる」レベルに達しているからです。
到達すべきポイントは次の通り:
- 売れ筋商品(TOP商品)を把握している
- 曜日別の売れ方を理解している
- イベントや天候によって数字が変わることを説明できる
- 発注数の“理由”を自分で説明できる
このレベルなら、店長が不在の日でも発注を安心して任せられます。

STEP3に到達したスタッフが1人でもいると、店の発注精度は驚くほど安定します。
“判断できるスタッフ”は本当に心強い存在です。
STEP3をスムーズに育てるための店長の指導ポイント
STEP3は“急に難しく感じる段階”でもあるため、店長としては次のような教え方が有効です。
- まずTOP3だけ覚えてもらう(全部覚えなくてOK)
- 今日と昨日の違いを毎日2分で共有する
- イベントカレンダーを休憩室に貼っておく
- 「なぜ売れたのか?」を一緒に考える時間を作る
STEP3は“答えを教える”のではなく、 「考える力」を一緒に育てるステージです。

STEP4|天候・気温・地域特性を踏まえた“先回り判断”

STEP3まで来ると、スタッフは「売れ筋」「曜日」「イベント」を踏まえて 発注を調整できるようになっています。
ここから先のSTEP4は、いわば店長クラスの発注思考です。
キーワードは“先回り”。
天候・気温・地域特性など、外部要因を踏まえて、
「これからどう動くか」を読んで発注する段階に入ります。
天候で変わる商品動向を押さえる
天候は、発注に大きな影響を与える外部要因です。 特にコンビニ・小売では、雨・雪・強風などでお客様の行動パターンが大きく変わります。
たとえば、こんな変化があります:
- 雨の日:来店客数が落ちる/まとめ買いが増える/ホットスナックが強くなる
- 晴れの日:飲料・アイス・軽食系が動きやすい
- 台風前:パン・カップ麺・水・保存食の需要が増える
天候予報を見ながら、 「明日は雨だから、弁当は少し絞ろう」「台風前だから保存系を厚めに入れよう」といった 事前の調整ができるかどうかがSTEP4のポイントです。
気温の変化で“欲しくなる商品”が変わる
気温の変化は、「お客様の気分」に直結します。 特に、季節の変わり目は売れ筋の切り替わりポイントです。
よくあるパターンとして:
- 最高気温が25℃を切る → ホット飲料・スープが動き出す
- 最低気温が一桁になる → 中華まん・おでんの本格シーズン
- 急に暖かくなる → 冷たい飲料・アイスの動きが復活
ここで大事なのは、
「売れたから発注を増やす」のではなく、
「明日・明後日の気温を見て、先に売場を変えておく」ことです。

“売れてから増やす”だと一歩遅いんですよね。
気温の予報を見ながら、先に売場を動かせるようになると、数字の伸び方が変わります。
地域特性・客層による違いを読み取る
同じチェーンの店舗でも、立地・客層・地域特性によって売れ方はまったく違います。
STEP4まで来たスタッフには、この「自店の特徴」を意識してもらう段階に入ります。
具体的には:
- オフィス街 → 平日昼の弁当比率が高い/スイーツは15時前後が山
- 住宅街 → 夕方の総菜・パンが強い/土日の家族需要が大きい
- 学校が近い → 菓子・飲料・軽食が常に強い
- 高齢者が多い地域 → 和菓子・惣菜・PB商品が堅調
「うちの店はどのパターンに近いか?」を一緒に考えるだけでも、 発注の“軸”が一本通るようになります。
STEP4の到達目標(店長クラスの発注思考)
STEP4は、すべてのスタッフに必ず求める必要はありません。 ただし、1店舗に1〜2名でもこのレベルのスタッフがいると、店の安定感がまったく違ってきます。
このステップでの到達目標は:
- 天候・気温・イベントを見て、自分から発注調整の提案ができる
- 「なぜその数を入れたか」を論理的に説明できる
- 自店の客層・地域特性に合った発注を意識できる
ここまで育ったスタッフは、もはや「任せられる存在」と言えます。

このレベルのスタッフが一人いるだけで、発注の不安はかなり減ります。
店長一人で抱え込まず、「一緒に考えてくれる人」を育てるイメージが大切ですね。
STEP4まで育てるうえでの店長の役割
STEP4は、単に知識を渡すだけでは到達できません。 「一緒に考える時間」をどれだけ作れるかが鍵になります。
店長に意識してほしいポイント:
- 天気予報・イベントカレンダーをスタッフと共有する
- 発注を一緒にやる時間を、あえて設ける
- 「失敗を責めない」スタンスでチャレンジを促す
- 良い発注ができた日は、きちんと褒める・言語化してあげる
STEP4は“正解を教える段階”ではなく、“考え方を渡す段階”です。
ここまで来ると、店長自身も新しい気づきを得られる場面が多くなります。

店長が押さえるべき発注教育の基本方針

発注教育を成功させるためには、スタッフに何を教えるかも大事ですが、 それ以上に重要なのが「店長がどんな方針で育てるか」です。
同じ内容を教えても、
- 伸びるスタッフが育つ店
- いつまで経っても任せられない店
の差が生まれる理由は、実は“教育方針”にあります。
ここでは、現場で確実に成果が出る「店長の発注育成方針」をまとめました。
①「いきなり完璧」は求めない
発注教育が失敗する一番の理由が、店長が初期段階から完璧を求めてしまうことです。
発注は、売上・天候・曜日・客層・イベントなど様々な要因が絡み合う高度な判断業務です。 最初から完璧にできるスタッフはいません。
だからこそ、店長がまず意識すべきなのは、
「ズレてもいいから、とにかく発注経験を積ませる」
「多少ズレてもOK」 「完璧じゃなくていい」 と伝えるだけで、スタッフは一気に発注に挑戦しやすくなります。

発注は経験を積まないと絶対に上手くなりません。
だから最初からミスを怖がらせないことが大事なんです。
②「できる範囲」を明確に切り分ける
発注を任せるときは、最初から全カテゴリを任せるのではなく、 担当範囲を明確に決めることが重要です。
例えば:
- まずは「弁当」だけ担当してもらう
- 慣れてきたら「惣菜」「サラダ」を追加
- 最終的に袋麺や飲料など広げていく
範囲を絞ることで、スタッフは迷わず発注に集中でき、 店長側も「どこまで任せていいか」が明確になります。
③「成功体験」を積ませる仕組みを作る
発注教育で何より大事なのが、成功体験を積ませることです。 成功体験があると、スタッフは自然と「もっと学びたい」と前向きになります。
成功体験の作り方の例:
- 売れ筋商品だけ先に発注を任せる
- 数量に迷ったら店長がそっとフォローする
- 予測が当たった日は大げさなくらい褒める
- 翌日の売れ行きを一緒に確認する
発注が上手くできた日をスタッフが実感できると、 そこから一気に成長スピードが上がります。

小さな成功でもいいんです。
「今日の発注よかったよ!」の一言だけで成長意欲は180度変わります。
④「毎日2分の振り返り」を習慣化する
発注教育で最も効果的なのが、“日々の振り返り”です。 とはいえ長時間の指導は不要で、2分で十分です。
振り返りの例:
- 昨日より売れた? 売れなかった?
- なぜその違いが出たと思う?
- 次回は何を変えたらもっと良くなる?
この「理由を考える習慣」こそ、発注において最も強い武器になります。
⑤発注を「店長だけの仕事」にしない体制づくり
発注を店長しかできない状態は、店にとって大きなリスクです。 シフトの穴・病欠・急な予定などで店長が不在になると、その日の売場が崩れてしまうからです。
だからこそ、
という考え方が非常に重要です。
複数人が発注できる店は、安定感が段違いですし、 店長自身も「休めない」「任せられない」という状態から解放されていきます。

発注は“店の根幹”。
店長が全部背負うより、みんなで支えたほうが強い店になりますよ。
店長の基本方針まとめ
発注教育の成否は、店長のスタンス次第で大きく変わります。
難しいことをいきなり求めず、段階に合わせて成長を促す環境づくりが最重要ポイントです。
- 完璧を求めない
- 担当範囲を明確にする
- 成功体験を積ませる
- 毎日2分の振り返りで思考を育てる
- 発注を“チーム運営”として考える

まとめ|発注教育は“仕組み化”がゴール

発注教育は、短期間で一気に覚えられるものではありません。
しかし、段階的にステップを積ませていくことで、誰でも確実に習得できるようになります。
この記事で紹介したように、発注教育の本質は、 「個人の能力に頼らず、誰でも再現できる仕組みをつくること」です。
発注教育の“4ステップ”をおさらい
本記事で解説した発注教育の全体像は以下の通りです:
- STEP1:個数管理
数字の基礎感覚を養い、欠品・廃棄を減らす。 - STEP2:売価 × 数量(売上)の理解
“発注は売上をつくる業務”だと認識する。 - STEP3:売れ筋・曜日・イベントの反映
状況に応じて発注を調整できる“応用力”を育てる。 - STEP4:天候・気温・地域特性による先回り判断
店長クラスの思考で“未来を読んだ発注”ができるようになる。
発注教育のゴールは「店長の負担が減る店づくり」
発注が属人化している店は、店長が休めず、常に不安を抱えやすい状態になります。
しかし、スタッフが段階的に発注を覚えてくれると、店長の負担は劇的に減ります。
つまり、発注教育の目的は——
これによって、店舗運営が安定し、長期的な売上成長にもつながります。

発注ができるスタッフが一人増えるだけで、店の安定感って本当に変わるんですよ。
「任せられる人を育てる」——これが店長にとって最大の投資です。
明日からできる“小さな一歩”
いきなりすべてのSTEPを教える必要はありません。 まずは、明日からできる小さなアクションを取り入れてみてください。
- スタッフに「この商品、昨日いくつ売れたと思う?」と聞いてみる
- 売れ筋TOP3の商品だけ共有する
- 天気予報をスタッフと一緒に確認する
- 「今日の発注、良かったよ」のフィードバックを必ず言う
この“小さな一歩”が積み重なることで、店全体の発注レベルは必ず伸びていきます。
最後に(はなパパメッセージ)
発注は、売場作りの中でもっとも奥深く、もっとも成長が実感しやすい仕事です。 スタッフが発注に参加できるようになると、店全体の雰囲気がよくなり、自然と売上もついてきます。

発注を教えるって、最初は難しそうに見えますが、
ステップを分けて進めれば誰でも必ずできるようになります。
店づくりに悩んだら、またいつでも声をかけてくださいね。
発注の仕組み化は、強い店舗をつくる大切な土台です。
この記事が、あなたのお店の育成と現場改善のヒントになれば幸いです。
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