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【保存版】店舗経営者が絶対に知っておくべき保険と共済制度の使い分け

hanapapa
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――“入っておけば安心”が、実は一番危ない。

店舗を経営していると、
「この保険は絶対必要です」「今ならお得ですよ」といった保険セールスの話を耳にすることが多いと思います。
しかし、いざ契約してみると――
「結局どの保険が本当に必要なのか分からない」というのが、多くの経営者の本音ではないでしょうか。

保険は“入ること”よりも、“何のために入るか”が重要です。
無駄な契約を減らし、いざという時に確実に守ってくれる制度を選ぶためには、
「法定保険」→「公的制度」→「民間保険」という順で整理することがポイントになります。

この記事では、

  • 経営者が必ず入るべき「法定保険」
  • 低コストで活用できる「公的共済制度」
  • 必要に応じて検討すべき「民間保険」

の3ステップで、“店舗経営に本当に必要な備え”を分かりやすく解説します。

はなぱぱ
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セールスが来たから加入を検討するのではなく、自分の事業に必要な制度はなにかを考え、調べ行動に移しましょう!

1. 必ず加入すべき「法定保険」

必ず加入

――“知らなかった”では済まされない、経営者の義務と責任

まず大前提として、事業を営む以上は法律で加入が義務付けられている保険があります。
これは「任意」ではなく、「やる・やらないの選択肢がないもの」。
加入を怠ると、万が一のときに補償が受けられないばかりか、行政指導や罰則の対象にもなり得ます。

店舗経営者が押さえるべき3つの法定保険

保険名概要主な補償内容
労災保険業務中・通勤中の事故やケガを補償医療費・休業補償・遺族給付などを国が負担
雇用保険従業員の失業や育児休業に備える制度失業給付・育休給付・教育訓練給付など
社会保険(健康保険+厚生年金)一定規模以上の事業所は加入義務あり医療費補助・出産手当・年金受給など

「うちは小規模だから関係ない」は誤解

個人事業主や小規模店舗でも、
パート・アルバイトを1人でも雇えば、法定保険の対象になるケースがあります。

特に労災保険は「従業員1人でも加入義務あり」。
万が一の事故に備えずに営業を続けることは、
“経営リスクの放置”と同じことです。

「スタッフを守ることが、事業を守ること」
保険加入は“コスト”ではなく、“リスク回避の投資”と考えましょう。

はなぱぱ
はなぱぱ

“知らなかった”では済まされないので、開業時や事業を立ち上げるときには、しっかり経費として計算に入れておきたいですね。

経営者自身も守るための加入形態を確認

経営者本人(個人事業主・法人役員)は、
通常の労災や雇用保険の対象外になるため、
「特別加入制度」などを利用して自らを守る必要があります。

  • 労災保険特別加入:自営業者・家族従業員でも加入可能
  • 中小企業主特別加入制度:現場作業を行う経営者を対象
  • 任意適用の社会保険:役員報酬がある場合は加入対象になることも

店を守る前に、“自分を守る制度”を整える。
それが長く続く経営の基本です。

はなぱぱ
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私の場合、この後に出てくる小規模企業共済やNISA・iDeCoといった制度は、労災保険の特別加入など“守るための仕組み”としてではなく、“資金を増やす手段”として活用しています。万が一に備えるのではなく、どんな状況にも対応できるお金を育てておく、という考え方ですね。

2. 事業を守るために優先すべき保険

店内での焚き火はご遠慮ください。

――「万が一」が起きたとき、あなたの店を守ってくれるのは“準備”だけ

法定保険で人と組織を守る基盤を整えたら、
次に考えるべきは、「事業そのものをどう守るか」です。

火災や事故、商品の破損・賠償など、
ひとたびトラブルが発生すれば、数百万円〜数千万円の損害につながるケースも少なくありません。
経営を安定させるためには、「入っておけば安心」ではなく、
“営業を続けるために欠かせない保険”を優先的に整える必要があります。

はなぱぱ
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駐車場などで、ブレーキとアクセルを踏み間違えて店舗に車が突っ込んだ、大雨により店が浸水して商品全損なんてことよくあります。冷ケースがストップしてしまうなど、小さなこともあわせれば、年間で相当の回数おこります。

店舗経営で優先度が高い3つの保険

保険名補償範囲経営者が押さえるべきポイント
火災・店舗総合保険店舗・設備・商品を火災・水漏れ・風災などから守る設備や冷凍機器なども対象。自然災害リスクが増える近年は必須。
施設賠償責任保険店内での事故(転倒・滑倒・商品落下など)への賠償補償「お客様がケガをした」「商品で衣服が汚れた」などの補償をカバー。
生産物賠償責任保険(PL保険)販売商品による健康被害・事故対応加工食品・惣菜・飲料などを扱う店舗では加入必須。法的リスクを軽減。

補償が「費用」ではなく「再起の資金」になる

これらの保険は、「入っておけば安心」ではなく、
“倒れたあとに立ち上がるための資金”を確保する意味があります。

火災・事故・賠償トラブルの後に、
「営業再開できるかどうか」を決めるのは“補償の有無”。

特に個人店舗では、突発的な損害がそのまま経営終了の引き金になることもあります。
一方で、保険により復旧資金を確保していれば、
「一時的な損害」で終わらせることができます。

はなぱぱ
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事業だけじゃなく、家庭でも火災保険に入りますよね。実はこの火災保険、意外と万能なんです。いろんな場面で適用される条件があるので、一度チェックしてみると新しい発見があるかもしれませんよ。

🔹 フランチャイズ・本部契約店舗の注意点

フランチャイズ加盟店や本部管理型店舗の場合、
一部の保険(火災・PL保険など)は本部一括契約に含まれているケースもあります。

ただし、

  • 加入範囲(対象店舗・設備)
  • 自己負担金(免責金額)
  • 対人・対物補償の上限

などが限定的なことも多く、
「本部任せにせず、自店の補償範囲を確認する」ことが経営者の責任です。

はなぱぱ
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現場を見ていると、「火災保険だけで十分」と思っている経営者も少なくありません。
しかし、実際にリスクが起きるのは火災よりも“賠償トラブル”の方が多い
特にお客様がケガをしたとき、補償対応が遅れると信頼を失うこともあります。私が経験した事例も下のリンクでどうぞ。

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3. 公的制度を最大限活用する

まずは国の制度に守ってもらう

――“保険に入る前に知っておくべき”経営者のセーフティネット

民間保険の前に、まず活用すべきは国や中小機構が提供する公的制度です。
これらは、掛金の一部が税制優遇の対象になったり、
無担保・無保証で資金を借りられたりと、
コストを抑えつつ経営者を支える仕組みになっています。

特に、店舗経営者や中小企業主にとって、
“もしものときに経営を立て直す資金”を確保するうえで非常に頼りになる制度です。

代表的な公的制度とその特徴

制度名概要メリット
小規模企業共済経営者の退職金制度。月1,000〜7万円を積み立て、廃業・引退時に共済金を受け取れる掛金全額が所得控除(節税効果大)+廃業・退職時の資金確保に役立つ
経営セーフティ共済(倒産防止共済)取引先が倒産した際に、無担保・無保証で資金を借りられる制度最高8,000万円まで貸付可能/掛金も損金扱いで節税+資金繰り対策になる
中小企業退職金共済(中退共)従業員の退職金制度を国がサポート福利厚生の一環として信頼性向上。初期掛金は国の助成対象になる場合あり
経営者保証ガイドライン個人保証に依存せずに融資を受けられる仕組み経営者の生活リスクを軽減。事業再生・再チャレンジがしやすくなる

公的制度の魅力:コスト効率が高い

これらの制度は、民間保険よりも掛金に対する効果が圧倒的に高いのが特徴です。

  • 掛金が全額または一部損金・所得控除の対象
  • 共済金を受け取りながら税負担を軽減できる
  • 退職金や倒産リスクに備えつつ、実質的な節税効果が得られる

「備えながら節税できる」――
経営者にとって最も効率的なリスク対策が、この公的制度なのです

加入優先順位の考え方

1️⃣ まずは法定保険で“最低限”を守る
2️⃣ 次に公的制度で“長期の安心”を確保する
3️⃣ その上で民間保険で“個別リスク”を補う

この順番を守るだけで、
保険コストを抑えながら無駄のない経営防衛ラインを作ることができます。

はなぱぱ
はなぱぱ

公的なこういった制度は、税の繰り延べになる部分もありますから、加入する前にどんな仕組みなのかをしっかり確認しておくことが大切ですね。

税理士ハナ
税理士ハナ

呼びましたか?

はなぱぱ
はなぱぱ

いえ。呼んでません。

税理士ハナ
税理士ハナ

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4. 民間の法人保険はどう考える?

公的制度にできないことを民間企業にできるとでも?

――「勧められたから入る」ではなく、「必要だから選ぶ」

民間保険会社は経営者向けに、
「事業継続」「退職金準備」「節税」などを目的とした
さまざまな法人保険を提案してきます。

たしかに、うまく活用すれば資金対策や節税にもつながります。
しかしその一方で、仕組みが複雑で保険料が高いものも多く、
“内容を理解せずに加入して後悔する”ケースも少なくありません。

経営者が検討すべき主な法人保険と特徴

保険の種類主な目的注意点・ポイント
役員退職金保険(養老・長期定期など)経営者・幹部の退職金や老後資金の積立解約返戻率や保険期間を必ず確認。長期契約前提で資金拘束に注意。
D&O保険(役員賠償責任保険)経営判断ミスなどによる訴訟リスクに備える株式会社など法人形態では加入価値あり。個人商店では不要な場合も。
キーマン保険(経営者・主要スタッフ向け)経営の中枢メンバーに万一があった場合の資金補填スタッフ依存度が高い業態では有効。規模に応じて保険金額を調整。

「必要性」を判断する3つのチェックポイント

1️⃣ 公的制度や共済で代替できないリスクか?
 → すでに共済制度や助成制度でカバーできる内容なら、重複の可能性あり。

2️⃣ 加入目的が“節税”だけになっていないか?
 → 節税効果は一時的。将来的な解約返戻時の課税も考慮する。

3️⃣ 経営のフェーズに合っているか?
 → 開業初期はキャッシュ重視、中期以降は“事業承継・退職金対策”へシフト。

保険は「安心」ではなく、「判断」から生まれる。
加入するかどうかよりも、“なぜ入るか”を明確にすることが重要です。

注意点:法人保険は「万能」ではない

  • 節税効果を強調する商品は、税制改正の影響で制度変更リスクがある
  • 解約返戻率は年数によって大きく変動。途中解約で元本割れするケースも
  • 契約時は「返戻率」「保険期間」「受取人」を必ず確認

「保険で会社を守る」ではなく、
「保険を使ってリスクを管理する」意識が大切です。

はなぱぱ
はなぱぱ

民間保険の多くは“節税効果があります”なんて言葉でセールスしてきますが、実際の節税効果なんて雀の涙ほどなんですよ。まずは正しい知識を身につけることから始めましょう。

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まとめ:店舗経営者が選ぶべき保険の優先順位

己を磨け!

――“安心のための加入”から、“経営のための備え”へ

保険は「万が一のリスクに備えるためのもの」。
けれど、経営者にとっては単なる“安心材料”ではなく、
「事業を続けるための経営戦略」の一部です。

数多くの保険商品があるなかで、
「どれを選べばいいのか分からない」という声は少なくありません。
そこで大切なのは、順序を間違えないこと。

店舗経営者が考えるべき保険の優先順位

優先順位カテゴリ内容・目的ポイント
第1位法定保険(義務)労災・雇用・社会保険など。従業員・事業主双方を守る最低限の義務未加入リスクは最も高い。人を雇った時点で即対応必須。
第2位公的制度(共済)小規模企業共済・セーフティ共済など、節税と備えを両立できる制度掛金が損金扱い。経営安定+資金繰り対策に最適。
第3位民間保険(任意)火災・賠償・退職金・キーマンなど、店舗固有のリスク補償加入目的を明確に。「必要だから入る」が基本。

判断の軸:「必要な保険」は“業態とステージ”で変わる

経営ステージ主なリスク優先すべき保険
開業期設備投資・事故リスク法定保険+火災・賠償保険
安定期資金繰り・退職金・人材定着共済制度+キーマン保険
成長期事業承継・組織拡大役員退職金保険・D&O保険など

✔️ 重要なのは「今の経営課題に合った保険」を選ぶこと。
未来のための備えも、タイミングを誤ると“資金の重荷”になりかねません。

実践チェックリスト:今すぐ見直したい5項目

チェック項目状況対応メモ
従業員がいるが、労災・雇用保険が未加入早急に労基署・ハローワークで手続き
自身の退職・廃業後の資金備えがない小規模企業共済の加入を検討
火災・賠償保険の補償範囲を把握していない保険証券を見直し・必要に応じて代理店に確認
保険料が高いまま更新している同条件で複数社見積もりを比較
“なぜ入っているか分からない保険”がある加入目的を再定義。不要なら解約も検討
はなぱぱ
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保険は、売上を直接生まない“地味な経費”に見えます。
ですが、何かあった時に経営を守れるかどうかは、この地味な部分の差で決まります。

「保険=守り」ではなく、「継続のための仕組み」
そう考えれば、迷いなく“入る・見直す・選ぶ”判断ができると思います。

最後に:保険は“人を守る経営”の象徴

店舗経営とは、日々の積み重ねの中で多くの判断を下す仕事です。
その中で「備える」という行動は、
お客様・スタッフ・自分自身を大切にする経営姿勢そのもの。

保険を整えることは、“安心を提供する店”を作ること。
それが、経営者にとって最も確実な信頼投資です。

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経営者
はじめまして、はなぱぱです。 コンビニ経営に携わって13年。 店舗での経験や経営者としての苦労、従業員教育の工夫などをまとめています。 経営者や店舗責任者はもちろん、従業員の方にもわかりやすく役立つ情報を発信していきます。
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