【現場エピソード】発注強制ってほんとにあるの?本部とオーナーの間で揺れる現場の話
こんにちは、はなパパです。
今日は、ちょっと気になるテーマについて書いてみます。
以前、ニュースなどで「発注強制」が問題になったことを覚えている方もいるかもしれません。
「えっ、そんなこと本当にあるの?」と思う方も多いと思いますが、実際にありました。
報道されるまでは、正直、現場ではそれが“普通”のように行われていた時代もありました。
報道後は厳しくなったけど、今も“名残”はある
この発注強制が社会的に問題視されてからは、本部サイドの動きも変わりました。
それ以降は明らかに“強制”と見られるような指示や圧力はなくなった印象です。
とはいえ、現場にいる感覚としては、完全になくなったわけではなく、“名残”のようなものが今でも残っていると感じています。
発注強制問題は、実際にニュースでも報道された
「本当にそんなことあるの?」と思う方もいるかもしれませんが、発注強制の問題は実際に社会問題として報道されたことがあります。
たとえば、2019年には以下のような報道が大きな話題となりました。
「セブン―イレブン、本部がオーナーに“恵方巻”の大量発注を強要か?」
(出典:朝日新聞デジタル 2019年2月)
オーナーが本部からの販売目標を“実質的にノルマ”と受け取り、
大量の恵方巻を発注せざるを得なかったという証言が取り上げられ、
“食品ロス”や“圧力的な商慣行”として大きく批判された。
この報道を受けて、コンビニ本部側も「発注は加盟店判断である」という姿勢を明確に打ち出し、強制と受け取られないような運営指導に切り替える流れが進んできました。
それでも現場にいると、「本部の顔を立てるために発注せざるを得ない雰囲気」や、「空気で察して動く文化」が残っているのも事実です。
だからこそ、こうした背景を知ったうえで、現場としてどう対応するか、どこまで受け入れてどこから調整するかが大事になってくると感じています。
契約書を盾に、本部が“態度を変える”こともある
発注強制のような、わかりやすく問題になる行為はだいぶ減りましたが、その代わりに“見えにくい圧力”が残っていると感じることがあります。
たとえば、本部から提案された販促や商品の発注をこちらの判断で見送った場合、
そのあとで、サポートや補助の対応が微妙に“後回し”にされたり、トーンが変わるようなことが、実際に今でもあるんです。
表立って「発注しなかったからこうします」とは言われませんが、契約書の文言を持ち出されたり、店舗へのフォローが薄くなることで、実質的に“見せしめ”的な圧力がかかるような場面も見かけます。
もちろん、本部もビジネスとして動いている以上、全てを感情抜きで公平にというのは難しいのかもしれません。
それでも、契約や数字を持ち出して圧力をかけるような対応は、信頼関係を崩すだけだと思うんです。
現場としては、こうした動きに敏感になりすぎる必要はないですが、「本部の方針に従うかどうか」ではなく、「お客様と現場にとって本当にいい判断か?」という軸を持って判断することが大切だと私は考えています。
本部とオーナー、それぞれの立場がある
この問題の根本には、本部とオーナーとの間にある考え方の違いがあると思います。
- 本部側:売りたいプロモーション商品を多く導入してもらいたい
- オーナー側:実際に売れるかどうかがわからず不安
どちらの立場も理解できるんです。
私自身、基本的には本部の意向に沿って導入する方針を取っていますが、やっぱり現物を見たこともない新商品を大量に仕入れるとなると、不安がまったく無いわけではありません。
本部とオーナーでは、利益の出る仕組みがまったく違う
発注や販促に関する考え方の違いが生まれる背景には、本部とオーナーで「収益構造」が根本的に違うという点が挙げられます。
たとえば、本部は商品の仕入れ値と納入価格の差(いわゆる粗利)をベースに利益を出しています。
つまり、「売れたかどうか」より「出荷されたかどうか」が重要な構造になっているわけです。
一方、オーナー側はというと、そこからロイヤリティや人件費、光熱費、廃棄ロスなどを差し引いた残りが利益になります。
つまり、「仕入れて売れ残ったら赤字になる」のがオーナー側の実態であり、本部と同じ目線で発注判断をするのは難しいのが現実です。
この構造の違いがあるからこそ、本部は「とにかく仕入れをしてほしい」、オーナーは「本当に売れるかを見極めたい」というズレが生まれやすいのです。
この点については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
▶ 【解説】本部とオーナーの“利益構造の違い”を理解していますか?
「売れるかどうか」は正直わからない
たとえばおにぎりひとつをとっても、人の好みは本当にバラバラです。
私だったら、つい「ツナマヨ」や「肉系」など、ボリュームのあるおにぎりを選んでしまいます。
でも、実際には「ゆかり」や「昆布」のような、あっさり系を選ぶお客様も多い。
このように、何が売れるかは単純に“自分の好み”では判断できないんですよね。
本部の意向を受け入れつつ、現場での調整がカギ
だから私は、本部の提案を受け入れつつ、自分の意思もきちんと持って売場を広げていくというスタイルを取っています。
商品数を増やせばそれだけリスクもありますが、実際に売ってみて「意外と好調だったな」と思うケースもあります。
逆に、「これは売れると思ってたけど全然動かなかった」というパターンも当然あります。
でも、そうやって売場で学び、調整していくことで、「売れるかどうか」の勘や根拠がだんだん身についてくるんだと思います。
まとめ:対立じゃなく“調整”が大切
本部と現場にはそれぞれの立場や責任があります。
だからこそ、「従う・従わない」ではなく、情報と現場感覚をもとにした“調整”が必要です。
すべて言われた通りにするだけでは店は育たないし、逆にすべて拒否していても新しいチャンスを逃してしまいます。
信頼関係を築きながら、現場主導でうまく回していく。それが、今の店舗経営には求められていると私は思っています。
ではまた、現場で会いましょう!