中小企業経営者が入るべき保険と制度|本当に必要なものを見極める
こんにちは!はなぱぱです!
経営をしていると、さまざまな保険のセールスが舞い込みます。「これは絶対に必要です」と言われると不安になりますが、実際に本当に入るべき保険は限られています。
店舗経営者にとって大切なのは、まず必須の法定保険を押さえ、次に公的制度(共済など)をうまく活用し、その上で必要に応じて民間保険を補完的に検討することです。
本記事では、経営者が絶対に知っておくべき保険と共済制度の優先順位と使い分けを、わかりやすく整理しました。
1. 必ず加入すべき「法定保険」
まず大前提として、事業を行う以上は法的に加入が義務づけられている保険があります。これは「当たり前のもの」として最優先です。
- 労災保険:業務中や通勤途上の労災リスクをカバー
- 雇用保険:従業員の失業や育児休業に備える
- 社会保険(健康保険・厚生年金):一定規模以上の事業者は加入義務あり
これらは従業員を守るだけでなく、事業継続の信頼性を確保する上でも不可欠です。
ここで挙げた保険は、経営者の意思や選択に関わらず法律で加入が義務づけられているものです。
「やりたい・やりたくない」の問題ではなく、事業を行う以上は必ず加入しなければならない必須の保険となります。
2. 事業を守るために優先すべき保険
次に、事業活動を継続するために必ず備えておきたい保険です。
- 火災・店舗総合保険:店舗や什器、商品在庫を守る
- 施設賠償責任保険:お客様が店内でケガをした場合の補償
- 生産物賠償責任保険(PL保険):販売商品による食中毒や事故対応
これらは「万が一」が起きたときに店舗経営を続けられるかどうかを左右します。営業上のリスクに直結するため、優先度は極めて高いといえます。
これらの保険については、フランチャイズ契約などの場合、本部で一括して加入しているケースや、契約条件としてほぼ必ず加入が義務づけられているケースも少なくありません。店舗運営に直結するリスクをカバーするため、実質的に経営者が必ず備えるべき保険といえます。
3. 公的制度を最大限活用する
民間保険の前に、まず利用すべきなのが国や中小機構が提供している制度です。これらはコスト面でも制度面でも手厚く、経営者を支える仕組みになっています。
- 小規模企業共済:経営者の退職金制度。掛金は全額所得控除となり、廃業や引退時の大きな備えに。
- 経営セーフティ共済(倒産防止共済):取引先が倒産したとき、無担保・無保証で資金を借りられる。
- 中小企業退職金共済(中退共):従業員の退職金を国がサポートする仕組み。
- 経営者保証ガイドライン:個人保証に依存しない融資を促し、経営者の生活リスクを軽減。
これらの制度は「掛金が損金算入できる」「国の助成がある」など、民間保険よりもコスト効率が良いのが特徴です。まずはこちらを優先的に利用することをおすすめします。
ここで挙げた小規模企業共済や経営セーフティ共済などは、法定加入のように「絶対必須」というものではありません。
しかし、加入しておくことで自分自身を守り、家族を守り、さらに従業員を守る仕組みをつくることができます。
特に税制上の優遇措置や、いざという時の資金繰りに役立つ点からも非常にメリットが大きく、経営者にとって心強いセーフティネットになります。
4. 民間の法人保険はどう考える?
昨今、多くの保険会社が経営者向け保険を展開しています。
- 役員退職金対策(長期定期・養老保険など)
- D&O保険(役員賠償責任保険)
- キーマン保険(経営者・主要スタッフの不在リスクに対応)
しかし、すべての事業にとって必須というわけではありません。まずは「店舗や従業員を守る保険」+「公的制度」で基盤を固め、その上で必要性を感じる分だけ民間保険を検討するのが現実的です。
公的制度はコスト面でも優遇が大きく、掛金が損金算入できるなど税制メリットがはっきりしているのが特徴です。
一方、民間保険は保障の幅が広いものの、その分保険料負担も大きくなりがちです。
したがって、まずは法定保険+公的制度で基盤を固めることを優先し、その上で必要性に応じて民間保険を補完的に検討するのが合理的な流れといえます。
まとめ
経営者にとって保険は「安心料」ですが、すべてを民間保険で賄う必要はありません。むしろ優先順位を明確にすることが大切です。
- 必須:労災・雇用保険など法定保険、火災・賠償系の店舗保険
- 優先:国や中小機構の制度(小規模企業共済・経営セーフティ共済など)
- 必要に応じて:民間の経営者向け保険(退職金対策・役員賠償・キーマン保険など)
保険のセールスは数多くありますが、まずは最低限のリスクに確実に備えることが経営安定の第一歩です。
おすすめの中小機構制度ベスト3
制度名 | 概要 | メリット |
---|---|---|
小規模企業共済 | 経営者の退職金制度。月1,000円〜7万円を積み立て、廃業・退職時に共済金を受け取れる。 | 掛金全額が所得控除(節税効果大) 退職・廃業時の生活資金を確保 事業資金の貸付制度あり |
経営セーフティ共済(倒産防止共済) | 取引先が倒産した場合に、無担保・無保証で資金を借りられる制度。 | 最高800万円まで積立可能 掛金は損金算入でき節税に有利 40か月以上で全額解約返戻あり |
中小企業退職金共済(中退共) | 従業員のための国の退職金制度。事業主が掛金を拠出し、退職時に従業員へ支給。 | 新規加入時は掛金助成あり 福利厚生として従業員定着に有効 掛金は損金算入可能 |
まずはこれら「国のセーフティネット」を活用し、土台を固めることが経営者にとって最優先です。その上で、必要に応じて民間保険を検討していくのが賢い順番といえるでしょう。
では、また現場出会いましょう!