サンリオとディズニーで感じた「客層と購買行動の違い」現場に活かせる観察力とは?
										前回の記事では、ディズニーランドとサンリオピューロランドを訪れ、
「価格と価値の違い」から学べる店舗経営のヒントをお伝えしました。
今回はその続編として、現場でさらに強く感じたテーマ――
「客層と購買行動の違い」について掘り下げます。
同じテーマパークでも、訪れる人の層やお金の使い方が違えば、
売場の空気も、商品構成も、スタッフの動き方もまったく変わります。
その違いを肌で感じながら、
「誰が来ているのか」「どんな気持ちでお金を使っているのか」
を意識することの大切さを改めて実感しました。
現場経営でも、お客様の“層”を正しく見る力は、売上を左右する大切な要素です。

“何を売るか”よりも、“誰に売るか”。
お客様の姿を知ることが、現場改善の第一歩になります。

ディズニーはカップル比率が高い?その影響とは

若年層カップルが多い理由と消費傾向
ディズニーランドを訪れてまず感じたのは、若いカップルの多さです。
家族連れもいますが、どこを歩いても、手をつなぎながら楽しむ男女の姿が目立ちます。
若い世代にとって、ディズニーは「特別な一日を共有する場所」。
その分、“体験にお金を使う意識”が高い層が集まっています。

“モノ消費”から“コト消費”へ。
特別な日や体験には惜しまずお金を使う若者の姿勢は、
店舗運営でも“体験価値を売る”ヒントになります。
会計に見る“シェア感覚”の変化
一方で、近年の若いカップルを見ていると、
「男性が支払う」という従来の価値観よりも、“シェアする支払い”が当たり前になってきています。
お互いに独立した関係性を保ちながら、
「一緒に楽しむ体験」にはお金をかける――そんな消費スタイルが主流です。
これは、店舗経営においても重要な示唆を与えてくれます。
お客様が「誰かと一緒に体験をシェアしたい」と思える商品・空間を設計することが、
購買単価を自然に上げるポイントになるのです。
ディズニーに見る“抑制された消費”
ディズニーの園内では、「好きなものを全部買う」というよりも、
“厳選して買う”傾向が見られます。
たとえば、
- 記念になるものを1つだけ選ぶ
 - ペアで使えるグッズを購入する
 - 「お揃い」や「共有」を意識した買い方
 
これは、“満足感を保ちながら支出を抑える”上手な購買行動です。
こうした消費心理を理解することで、
現場でも「買いやすい・選びやすい・満足できる」導線設計ができるようになります。

ディズニーの“買い方”には無駄がなく、満足がある。
お客様が“買って良かった”と思える体験をつくるのが、
現場のデザイン力です。

サンリオは女性同士が多く、気遣いのない消費が目立つ

女性同士の“気兼ねない空気”が購買を後押しする
サンリオピューロランドでは、ディズニーとは対照的に、女性同士の来場客が非常に多い印象でした。
具体的には――
- 母娘で訪れる親子ペア
 - 学生グループの女子同士
 - 推しキャラを楽しむ大人の女性ファン
 
このような関係性では、誰かに気を使ったり、割り勘を意識したりする必要がありません。
そのため、“好きなものを好きなだけ買う”という行動が自然に生まれます。
実際、サンリオのグッズショップでは、キャラクターグッズを両手いっぱいに抱える姿が多く見られました。
「自分のため」「推しのため」にお金を使う――そこに、気持ちの良い消費があるのです。

“誰に気を使うか”が減ると、“どれだけ使うか”が増える。
お客様が気持ちよくお金を使える環境を整えることが、店舗の役割です。
女性層の購買行動は“空間づくり”に直結する
女性客の多い空間では、“居心地の良さ”が購買率を左右すると感じました。
明るさ・清潔さ・香り・BGM・色づかいなど、五感で伝わる印象がとても重要です。
サンリオでは、どこを見ても“かわいい”“楽しい”が散りばめられ、
自然と「写真を撮りたい」「持ち帰りたい」という気持ちにさせる仕掛けがあります。
このように、“空間そのものが販促ツール”になっているのです。
“推し文化”がもたらす経済効果
サンリオのもう一つの特徴は、“推し活”文化が根づいていること。
好きなキャラクターを応援するために、同じグッズを複数購入したり、
友人へのプレゼントとして買い足したりする姿も多く見られます。
これは、単なる消費行動ではなく、「共感で広がる購買行動」です。
好きなものを共有し合う文化が、売上を安定させているのです。
店舗経営でも、こうした「共感消費」を意識することが重要です。
「これ、かわいいですよね」「人気なんですよ」など、
共感を交えた一言が、購買率を大きく高める力を持っています。

“共感される売場”は、“売り込まない売場”。
お客様と一緒に“推す”姿勢が、信頼を生む接客になります。

売場動線の設計が“買い忘れ”を防ぐ

“出口前”で思い出させるディズニーの設計
ディズニーランドに行くと、出口付近には必ず
キャラクターグッズやお土産ショップが設けられています。
これは偶然ではなく、「体験の余韻を購買に変える」ための導線設計です。
楽しい時間を過ごした直後に、「何か形として残したい」という心理が働く。
そのタイミングで商品が目に入ることで、自然に購買が生まれます。
つまり、“感情のピーク”を逃さない設計ができているのです。

“買ってください”ではなく、“つい欲しくなる”場所に置く。
ディズニーの売場は、心理の流れを読んだ“動線の勝利”ですね。
サンリオに感じた「出口のもったいなさ」
一方で、サンリオピューロランドでは、
出口付近のグッズ売場がやや分かりにくい位置にありました。
そのため、楽しかった余韻のまま出口へ向かい、
気づいたら「何も買わずに出ていた」という体験でした。
小さな違いに見えて、これは大きな差。
ディズニーが「買うきっかけ」をデザインしているのに対し、
サンリオは「満足の余韻」を優先している印象でした。
どちらが良い・悪いではありませんが、
この違いから見えるのは、“購買導線の意識”が売上を左右するという事実です。
コンビニでも応用できる「購買導線」
この発想は、コンビニや小売店の現場でもすぐに活かせます。
たとえば――
- レジ前にお菓子・ホットドリンクなど“ついで買い”商品を置く
 - 出口前に季節商品やキャンペーンコーナーを設ける
 - 導線上にPOPを配置し、「気づき」を演出する
 
お客様の動線上に“買う理由”を散りばめておくことで、
無理な販促をせずに購買を促進できます。

“売る場所”ではなく、“思い出す場所”に商品を置く。
売場づくりは、お客様の“気持ちの流れ”を読むことから始まります。

まとめ:客層の理解は、売上づくりの土台になる

“誰が来ているか”で見える景色が変わる
ディズニーには、体験を共有したい若いカップル。
サンリオには、自分の「好き」を楽しむ女性ファン。
同じテーマパークでも、“誰が来ているか”によって空気も購買行動もまったく違うことを、
現場で強く感じました。
この違いは、店舗経営にもそのまま当てはまります。
どんなお客様が、どんな気持ちで来店しているのか――
それを理解するだけで、売場づくりも接客も、声かけのトーンまで変わっていきます。

“お客様の姿”を知ることが、経営の第一歩。
“誰に売っているか”を意識するだけで、現場の景色は変わります。
客層の違いを“戦略”に変える
ディズニーの「共有体験型」とサンリオの「共感消費型」。
この2つの購買行動の違いから学べるのは、“客層に合わせて戦略を変える重要性”です。
- 若年層カップルには「一緒に使える・共有できる」商品訴求
 - 女性グループには「かわいい・共感できる」演出
 - 家族連れには「安心・便利・快適」な導線設計
 
お客様の“来店目的”を意識して商品やレイアウトを調整することで、
売場が“自分ごと化”され、購買意欲が自然に高まります。
“観察力”が現場の強みを生む
今回の体験で改めて感じたのは、「観察力」こそ経営者の武器だということ。
数字やマニュアルだけでは見えてこない、
お客様のちょっとした表情や動き、買い方の癖にこそヒントがあります。
サンリオとディズニーの違いも、
“観察して気づいた現場感”がなければ見逃していたかもしれません。
現場をよく見ること、そして“お客様の変化を感じ取る力”が、
長く選ばれる店舗づくりの土台になります。

“観察力”は、最高のマーケティング。
数字よりも先に、“お客様の空気”を読むことから始めましょう。
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