副業の人が定着しにくい理由|店のシフトと「すきま時間」のズレ
「副業の人は、なかなか定着しない」
現場に立っていると、そう感じている方も多いのではないでしょうか。
実際、
- 募集を出しても応募が少ない
- 入ってもシフトが合わない
- 結果として長く続かない
こうしたケースは、決して珍しくありません。
そのため、
副業の人は使いづらい
責任感が薄いのではないか
そんな印象を持たれてしまうこともあります。
ただ、現場で実際に見ていると、
副業の人が定着しにくい理由は、
やる気や人柄の問題ではないと感じています。
原因はもっとシンプルで、構造的です。
それは、
店が用意している「決まったシフト」と、
副業の人が使える「すきま時間」が、
最初から噛み合っていない
というズレにあります。
この記事では、
- なぜ副業の人はシフトに当てはまりにくいのか
- 曜日・時間が固定されやすい理由
- それでも定着につなげるために、現場でできる考え方
を、コンビニ・店舗経営の現場目線で整理していきます。
「副業の人が続かない」と感じている方にとって、
見方が少し変わるきっかけになれば幸いです。
店には「決まったシフト枠」がある

多くの店は、時間帯ごとにシフトが固定されている
多くの店舗では、
ある程度「決まったシフト枠」が存在します。
たとえば、
- 5時〜9時
- 9時〜13時
- 13時〜17時
といったように、
時間帯ごとに人員を配置する形です。
夜勤であれば、
- 22時〜6時
など、
最初から時間が固定されているケースも多いでしょう。
これは、
業務の流れや作業量、人件費を考えれば、
とても合理的な仕組みです。
「枠」があることで、シフトは安定する
シフト枠が決まっていることで、
- 管理がしやすい
- 引き継ぎがスムーズ
- 教育もしやすい
といったメリットがあります。
店舗運営の視点で見れば、
シフトを枠で管理するのは、
ごく自然な判断です。
ただし、この前提が「副業の人」を弾いてしまう
問題は、この「決まったシフト枠」を前提にしたまま、
副業の人を募集してしまうことです。
募集を見た副業の人は、
- この時間帯には入れない
- フルでは働けない
- 途中までなら可能
といった理由で、
最初から条件に当てはまらないことが多くなります。
結果として、
応募が少ない
応募があっても話が進まない
という状況が生まれます。

募集が悪いわけではなく、
「前提」が合っていないだけのことが多いです。
店側の常識が、相手の非常識になることもある
店側から見ると、
「この時間に入れないなら難しい」
という判断は、正論です。
ただ、副業の人から見ると、
「その時間に入れないから無理」
となり、
そもそも選択肢に入らなくなります。
この時点で、
お互いが悪いわけではありません。
単純に、
前提にしている時間の考え方が違うだけです。

副業の人は「決まった時間」で働けない

副業には、必ず「本業」がある
副業で働く人には、
当然ですが、必ず本業があります。
そのため、働ける時間は、
- 本業が終わった後
- 翌日に影響が出ない範囲
- 体調を崩さない時間帯
といった制約の中で決まります。
たとえば夜勤の場合でも、
- 22時〜6時は難しい
- 22時〜4時なら可能
という人は、決して少なくありません。
これは「やる気がない」からではなく、
翌日の本業や生活を守るための判断です。
「全部入れない」=「働けない」ではない
店側の感覚では、
「最後まで入れないなら厳しい」
と感じることもあるでしょう。
しかし副業の人からすれば、
「途中までなら働ける」
「限られた時間なら出られる」
という感覚です。
この認識のズレが、
- 面接で話が噛み合わない
- 採用してもすぐに合わなくなる
といった結果につながります。
体力と生活リズムの調整も必要になる
副業の人は、
本業と副業の両立を前提にしています。
そのため、
- 睡眠時間を確保したい
- 体調を崩さない範囲で働きたい
- 無理は長く続かない
という意識が強くなります。
これはむしろ、
長く働くための現実的な判断とも言えます。
無理な時間帯で働き続ければ、
どこかで必ず限界が来ます。
結果として、
続かない
辞めざるを得ない
という形になるのです。

副業の人が時間を絞るのは、
長く続けたいという意思の裏返しでもあります。
「全部は無理」でも「部分的には戦力」になる
副業の人は、
- 決まった枠には入りにくい
- 時間は限られている
という特徴があります。
ただし見方を変えれば、
- 特定の時間だけ強い
- ピンポイントで助けてくれる
存在でもあります。
ここをどう捉えるかで、
副業の人が
- 定着しない人材
- 使えるタイミングが違う人材
のどちらになるかが分かれます。

曜日が固定されやすいのも、副業の特徴

副業の人は「空いている曜日」が決まっている
副業の人が働ける曜日は、
あらかじめ決まっていることがほとんどです。
なぜなら、
- 本業の勤務日が固定されている
- 休日があらかじめ決まっている
- 生活リズムを崩したくない
といった事情があるからです。
その結果、
土日だけなら出られる
毎週水曜は確実に空いている
といった、
曜日固定の希望が出やすくなります。
店側から見ると「融通が利かない」と感じやすい
店舗側の視点で見ると、
- 曜日ごとの調整がしづらい
- 急な変更に対応してもらえない
- シフトの自由度が下がる
と感じることもあるでしょう。
そのため、
副業の人は使いづらい
という印象につながりがちです。
ただ、ここにも誤解があります。
「固定=不便」ではなく「固定=安定」でもある
曜日が固定されているということは、
- 毎週同じ曜日に来てくれる
- 予定が読みやすい
- 急なドタキャンが少ない
という見方もできます。
不定期で入れる人よりも、
安定して戦力になるケースも少なくありません。
副業の人は「すきま時間を最大限使える店」を選ぶ
副業の人は、
- 限られた時間で
- 効率よく働けて
- 無理なく続けられる
店を、無意識のうちに選んでいます。
そのため、
- 曜日固定を受け入れてくれる
- 短時間でも意味がある
- 融通が利きそう
こうした店が、
候補として残りやすくなります。
逆に言えば、
決まった曜日しか入れないなら無理
というスタンスの店は、
最初から選択肢に入らなくなります。

副業の人が来ない店は、
「選ばれていない」だけのことも多いです。
定着しないのではなく、噛み合っていないだけ
曜日固定の副業の人が続かないのは、
能力や姿勢の問題ではありません。
単純に、
店のシフト構造と、
その人の生活リズムが合っていない
それだけのことです。
ここを理解できると、
副業の人を見る目が、少し変わってきます。

副業の人は「稼げる時期」を重視している

副業の人にとって重要なのは「常に入れるか」ではない
副業の人を見ていると、
常に安定して働きたいというよりも、
- 入れる時期にしっかり入れるか
- 稼げるタイミングを逃さないか
を重視していると感じます。
これは、学生アルバイトとも共通する感覚です。
副業の人にとっては、
- 大型連休
- 繁忙期
- 人手が足りない時期
が、
「活躍できるタイミング」になります。
「出られるなら、たくさん入っていいよ」という姿勢
この時期に、
「出られるなら、たくさん入っていいよ」
という姿勢を見せると、
副業の人の反応は大きく変わります。
副業の人からすれば、
- 稼げるチャンスがある
- この店には意味がある
- ここを選ぶ理由がある
と感じやすくなるからです。
普段と繁忙期のメリハリが、定着につながる
副業の人にとって理想なのは、
- 普段は無理をしなくていい
- 繁忙期はしっかり稼げる
というメリハリです。
これがあると、
- 「ここに居場所がある」
- 「役に立てるタイミングがある」
と感じやすくなります。
結果として、
続けよう
辞める必要はない
という判断につながります。

副業の人は「常勤戦力」ではなく、
「波がある戦力」と考えた方がうまくいきます。
逆に、最初から選択肢に入らなくなるケース
一方で、
- 普段も入れない
- 繁忙期も入れない
- 時間も曜日も融通が利かない
こうした条件が並ぶと、
副業の人は最初から応募を避けます。
「合わない」と判断するのが早いのも、
副業の人の特徴です。
定着しないのではなく、
選ばれていないだけ。
そういうケースも、実は少なくありません。

シフト外の人を受け入れるのは、正直大変

管理する側の負担が増えるのは事実
ここまで読むと、
「副業の人を受け入れた方がいいのは分かるけど、現実は大変」
そう感じる方も多いと思います。
実際、その通りです。
副業の人を受け入れるということは、
- シフトが細切れになる
- 調整の手間が増える
- 管理が複雑になる
という側面があります。
「決まった枠」で回す方が、
店長やマネージャーの負担は、間違いなく少なくなります。
「一律管理」が通用しない相手でもある
副業の人は、
- 急な残業ができない
- 時間延長に応じられない
- 本業優先の判断をする
こうした特徴があります。
そのため、
「みんな同じ条件で」
という管理方法は、どうしても合いません。
この点が、
使いづらい
戦力にならない
という評価につながりやすいのも事実です。

副業の人を受け入れるのは、
「楽な選択」ではありません。
それでも完全に切り捨てていい存在か
ただ、ここで一度考えてみてほしいのです。
本当に、副業の人は
「いない方がいい存在」でしょうか。
常勤スタッフだけで、
すべての時間帯・すべての繁忙期を
安定して回せる店は、そう多くありません。

それでも副業の人は「非常時の戦力」になる

人が足りないときに、助けてくれる存在
副業の人は、
- 普段は出番が少ない
- シフトの中心ではない
かもしれません。
しかし、
- 急な欠員が出たとき
- 繁忙期で人が足りないとき
- 常勤スタッフが疲弊しているとき
こうした場面では、
確実に「助けになる存在」になります。
「全部できない人」ではなく「ここだけ強い人」
副業の人は、
- フルでは働けない
- 曜日や時間に制約がある
という弱点があります。
ただし裏を返せば、
- 特定の時間帯だけは確実
- 特定の曜日は安定している
という強みでもあります。
「全部任せられない=使えない」ではありません。
使いどころが違うだけです。
受け入れるかどうかは、店の戦略次第
もちろん、
- 副業の人を一切受け入れない
- 常勤中心で回す
という選択も、間違いではありません。
大切なのは、
自分の店は、どこを重視するのか
を理解した上で、選んでいるかどうかです。
副業の人が続かない店の多くは、
受け入れるつもりがないのに、
募集だけは出しているケースも少なくありません。
それでは、噛み合わないのは当然です。

まとめ|副業の人が定着しないのは「ズレ」が原因

副業の人が定着しにくい理由は、
能力や意識の問題ではありません。
多くの場合、
- 店のシフト構造
- 副業の人の生活リズム
この2つが、
最初から噛み合っていないだけです。
「決まった枠に入れない」
「曜日が固定される」
「時間が短い」
これらは欠点ではなく、
副業という働き方の特徴です。
その特徴を理解した上で、
- どこで使うのか
- どこまで期待するのか
を決めていけば、
副業の人は十分に戦力になります。
定着しないのではなく、
最初からズレた前提で見ていただけ。
もし副業の人材に悩んでいるなら、
「管理の仕方」ではなく、
「前提の置き方」を一度見直してみてください。
現場は、少しだけ楽になるかもしれません。
人気記事

