コンビニの24時間営業は本当に必要か?現場目線でメリット・デメリットを解説
「コンビニは24時間営業が当たり前」
多くの人が、そう思っているのではないでしょうか。
深夜でも明かりがついていて、
いつでも買い物ができる――
それがコンビニの強みであり、存在価値だと思われてきました。
ですが最近、
年末年始に営業時間を短縮するコンビニや、
24時間営業を見直す店舗が少しずつ増えています。
「サービス低下では?」
「コンビニなのに閉めるの?」
そんな声が出るのも無理はありません。
しかし、現場に立つ側から見ると、
24時間営業は“続けること自体が目的”になってしまっているケースもあります。
深夜の来店数、
人手不足、
人件費と売上のバランス、
オーナーやスタッフの負担――。
これらを無視して
「開いているのが当たり前だから」
という理由だけで営業を続けるのは、本当に正しいのでしょうか。
この記事では、
コンビニの24時間営業は本当に必要なのかについて、
年末年始の運営を含めた現場目線で、
メリット・デメリット、そして今後のあり方を整理していきます。
「利用する側」と「運営する側」、
その両方を知った上で考えてもらえる内容になればと思います。
コンビニの24時間営業は「当たり前」だったのか?

今でこそ、
「コンビニ=24時間営業」というイメージが定着していますが、
最初からそれが“当たり前”だったわけではありません。
少し視点を変えて、
なぜコンビニは24時間営業になっていったのかを振り返ってみましょう。
なぜコンビニは24時間営業になったのか
コンビニが24時間営業を本格的に広げていった背景には、
いくつかの時代的な要因があります。
まず大きいのが、
深夜でも一定の需要があった時代背景です。
- 夜勤・交代制勤務の増加
- 車社会による深夜利用
- 若年層の夜型生活
こうした流れの中で、
「いつでも開いている店」は確かに便利で、
コンビニの存在価値を一気に高めました。
また、本部側にとっても
24時間営業はブランド戦略として分かりやすい強みでした。
「困ったときはコンビニが開いている」
この安心感は、他の小売業にはない武器だったのです。
24時間営業=サービス向上、は本当か?
では、
24時間営業は今もなお、
純粋に“サービス向上”と言い切れる状態なのでしょうか。
現場で運営していると、
ここに少し違和感を覚える場面が増えてきました。
例えば深夜帯。
確かに来店はありますが、
昼間と比べれば客数は大きく落ちます。
それでも、
- 照明は点け続ける
- 冷蔵・冷凍設備はフル稼働
- 最低限の人員は必ず必要
売上が少ない時間帯でも、
コストはほとんど下がりません。
「開いていること」そのものが価値だった時代から、
「開いている理由を説明しなければならない時代」へ、
少しずつ移り変わっていると感じます。
特に人手不足が深刻化した今、
24時間営業は
サービス向上どころか、現場を消耗させる要因になっているケースも少なくありません。
だからこそ最近、
年末年始を中心に
「無理をしない営業形態」を選ぶ店舗が増えているのです。

現場から見た24時間営業のメリット

ここまで、
24時間営業の厳しい側面を中心に触れてきましたが、
もちろん良い面があるからこそ、今も続いているのも事実です。
現場に立つ立場として、
「それでも24時間営業が意味を持つ場面」は確実に存在します。
深夜に開いていることで助かるケースは確かにある
深夜帯の来店数は多くありません。
しかし、“ゼロではない”のがポイントです。
- 夜勤明けで食事を買いに来る人
- 急な用事で必要なものができた人
- 終電を逃して立ち寄る人
こうしたお客さんにとって、
深夜に開いているコンビニは、
他に代えがたい存在です。
特に地方や住宅街では、
「この時間に開いている店がここしかない」
という状況も珍しくありません。
その意味では、
24時間営業は今でも
一定の需要を確実に支えていると言えます。
災害時・緊急時に果たす役割
24時間営業の価値が、
特に実感されるのが災害時や緊急時です。
- 停電や断水が起きたとき
- 交通が乱れた深夜
- 急な体調不良やトラブル
そんな場面で、
明かりが点いているコンビニは
地域の人にとって大きな安心材料になります。
現場でも、
「開いていて助かった」
「やっててよかった」
と声をかけられることは少なくありません。
こうした役割は、
数字だけでは測れない価値です。
地域にとっての「安心感」という見えない価値
24時間営業のメリットは、
必ずしも売上や利益だけではありません。
- 夜道が明るい
- 人の気配がある
- 防犯面での安心感
これらも、
地域にとっては立派な価値です。
特に高齢者や一人暮らしの方にとって、
「近くに夜も開いている場所がある」
という事実そのものが、
安心につながっているケースもあります。
つまり24時間営業は、
単なる商売ではなく、
生活インフラの一部として機能してきた面があるのです。

正直きつい…24時間営業のデメリット

24時間営業には確かに価値があります。
ですが、現場に立つ立場として言わせてもらうと、
「理想」と「現実」の差が一番大きいのも、この営業形態です。
とくにここ数年、その負担ははっきりと表に出てきました。
深夜帯の売上と人件費は本当に見合っているのか
深夜の売上は、
昼間や夕方と比べると明らかに少なくなります。
にもかかわらず、
- 店内照明はフル点灯
- 冷蔵・冷凍ケースは止められない
- 防犯・安全のため最低限の人員は必須
つまり、
売上は下がるのに、コストはほとんど下がらないのです。
人件費が上昇している今、
このバランスは年々厳しくなっています。
「深夜でも少しは売れるから」
という理由だけで続けられるほど、
現場は余裕のある状態ではありません。
人手不足が深夜営業を直撃している
24時間営業の最大の課題は、
やはり人手不足です。
深夜シフトは、
- 働ける人が限られる
- 生活リズムが崩れやすい
- 定着しにくい
といった理由から、
人が集まりにくい時間帯です。
結果として、
- オーナーや店長が深夜に入る
- 無理なシフトが続く
- 休めない状態が常態化する
こうした負担が積み重なり、
「続けること自体がリスク」になっているケースもあります。
年末年始に「閉める判断」が増えている理由
最近、
年末年始に営業時間を短縮したり、
一部時間帯を閉めるコンビニが増えています。
これは決して
「手を抜いている」わけではありません。
- 無理をしない
- スタッフを守る
- 店を長く続ける
そのための現実的な判断です。
特に年末年始は、
- 人が集まりにくい
- トラブル対応が増える
- 心身の負担が大きい
こうした条件が重なります。
「1年に一度くらいは、
無理をしない選択をしてもいいのではないか」
現場では、
そんな考え方が広がってきています。

24時間営業は本当に必要か?現場の結論

ここまで、
24時間営業のメリットとデメリットを見てきました。
その上で、
現場に立つ立場としての結論を言うなら――
「すべてのコンビニに、24時間営業は必要ではない」
というのが正直なところです。
立地や客層によって必要性は大きく違う
24時間営業の必要性は、
店舗ごとに大きく異なります。
例えば、
- 駅前・繁華街・幹線道路沿い
- 深夜でも人の動きがあるエリア
こうした場所では、
今でも深夜需要が一定数あり、
24時間営業が機能しているケースがあります。
一方で、
- 住宅街
- 深夜は人通りがほとんどない地域
では、
「開けている意味が薄い時間帯」
が存在するのも事実です。
すべての店舗を
同じ基準で24時間営業にすること自体が、
現実に合わなくなってきていると感じます。
「開いていること」より「続けられること」
コンビニは、
一時的に頑張ればいい商売ではありません。
- 毎日
- 何年も
- 地域に根付いて
続けていくことが前提です。
そのためには、
無理な営業形態を続けて
現場が疲弊してしまっては本末転倒です。
24時間営業を続けた結果、
- 人が辞める
- オーナーが限界を迎える
- 店舗運営が不安定になる
こうなってしまっては、
最終的に困るのはお客さんです。
だからこそ、
「開いている時間を減らす」=「サービス低下」
と単純に捉えるのではなく、
「持続可能な運営かどうか」
という視点が必要だと思います。
これからは「営業時間を選ぶ時代」
これからのコンビニ経営では、
営業時間も含めて
店舗ごとに選択する時代に入っています。
- 深夜を短縮する
- 年末年始だけ閉める
- 人員が確保できる時間帯に集中する
こうした柔軟な運営は、
決して後ろ向きな判断ではありません。
むしろ、
- スタッフを守る
- 店を守る
- 地域との関係を守る
ための、
前向きな経営判断だと考えています。

これからのコンビニに求められる考え方

コンビニを取り巻く環境は、
ここ数年で大きく変わりました。
人手不足、
人件費の上昇、
働き方への意識の変化――。
こうした状況の中で、
「昔からそうだったから」
という理由だけで、
24時間営業を続けるのは難しくなっています。
利便性よりも「持続可能性」を重視する時代へ
これからのコンビニに求められるのは、
無理なく続けられる運営です。
- スタッフが安心して働ける
- オーナーが倒れない
- 長く地域に残れる
そのために、
営業時間を見直すことは
決して後退ではありません。
むしろ、
現場を守るための選択肢の一つだと考えています。
現場が壊れたら、サービスは続かない
どれだけ便利なサービスも、
それを支える現場が疲弊してしまえば、
長くは続きません。
24時間営業を続けることで、
- 人が辞め
- 運営が不安定になり
- 店そのものが続かなくなる
こうなってしまっては、
本末転倒です。
「開いている時間」よりも、
「安定して続けられること」。
これが、
これからのコンビニにとって
最も大切な価値になっていくはずです。
利用する側にも知ってほしい“裏側”
コンビニを利用する立場から見ると、
営業時間が短くなることに
不便さを感じる場面もあるかもしれません。
ですがその背景には、
- 現場の人手不足
- 働く人の負担
- 店を守るための判断
といった事情があります。
少しだけでも、
そうした裏側を知ってもらえると、
コンビニとの向き合い方も
変わってくるのではないでしょうか。

まとめ

コンビニの24時間営業は、
これまで確かに
多くの人の生活を支えてきました。
しかし今、
すべての店舗が
同じ形で24時間営業を続ける時代ではなくなっています。
- 立地や客層に合った営業時間
- 無理をしない経営判断
- 現場を守る選択
こうした積み重ねが、
結果的に
より良いサービスにつながると考えています。
コンビニは、
これからも地域に必要な存在です。
だからこそ、
「開いていること」だけにとらわれず、
長く続けられる形を
一緒に考えていく時期に来ているのではないでしょうか。
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