【経営の基本】本部直営とFCオーナー運営の違いとは?現場で見えるメリット・デメリットを解説
同じ「コンビニ」でも、運営の形は大きく2つに分かれます。
ひとつは、本部が社員店長を雇って運営する「直営店」。
もうひとつは、オーナーが自らリスクを負って切り盛りする「フランチャイズ店(FC店)」です。
どちらも同じ看板を掲げ、同じマニュアルのもとで営業しています。
しかし、現場の雰囲気・スタッフの意識・数字の動き方は、驚くほど違います。
では、いったい何が違いを生むのか。
その差は「運営形態」だけでなく、人の意識と責任の持ち方にあるのです。
今回は、現場で実感する
「本部直営」と「FCオーナー経営」の違いを、
それぞれのメリット・デメリットの視点から整理してみたいと思います。

コンビニ業界では、直営店はほんのわずかなんです。
セブン-イレブンで約2%、ファミマやローソンでも数%ほど。
つまり、全体の95〜98%がフランチャイズ店なんですよ。
ほとんどのお店は“オーナーさんが経営している”というのが現実なんです。

① 本部直営店(社員店長による運営)

本部直営店とは、コンビニ本部が社員店長を雇用し、
本部の方針のもとで運営する店舗形態を指します。
店舗運営の「モデルケース」として位置づけられることも多く、
新しい施策やオペレーションが最初に導入される現場でもあります。

常に実験や改善を繰り返しながら、
より良いコンビニ運営を目指して進化し続けているんですよ。
■ メリット
- 本部の意向がダイレクトに反映されやすい
新商品導入や販促、マニュアルの改定などがスムーズに実行され、
店舗間での統一感が保たれます。品質管理・ブランド維持にも強みがあります。 - 人材育成の場として活用しやすい
新入社員の研修やエリアマネージャー候補の育成店舗として機能するケースも多く、
「教育型店舗」として現場力を磨く役割を担います。 - 経営リスクを本部が管理できる
売上や在庫、トラブル発生時にも本部が主体的に対応するため、
店長は「運営に集中できる」環境が整いやすい点が特徴です。
■ デメリット
- 店長の“当事者意識”が弱くなりやすい
あくまで“雇われ”の立場となるため、利益への意識や改善提案が受け身になりがち。
「自分の店」という責任感を持ちづらい一面があります。 - 人件費・教育コストが高い
社員の給与・福利厚生・研修費用など、店舗運営コストは本部負担。
その分、利益率が低下しやすくなります。 - 急な異動・退職が現場の混乱を招くことも
店長交代により店舗方針が変わり、スタッフのモチベーションに影響するケースもあります。

赤字でも成果がでたり、売り上げがあがればokな感じです。

② フランチャイズオーナーによる運営

フランチャイズ(FC)オーナー経営とは、
コンビニ本部と契約を結び、店舗の経営をオーナー自身が担う形態です。
売上や利益がそのまま生活に直結するため、
日々の意思決定や努力が結果に反映されやすい「自立型の経営モデル」といえます。

私も含めほとんどのコンビニがここにあたりますね。
■ メリット
- オーナーの責任感と当事者意識が圧倒的に強い
売上や利益が自分の生活に直結するため、自然と数字に敏感になり、
改善やコスト意識に対する行動スピードが速い傾向があります。
「どうすればもっと良くできるか」を常に考える文化が育ちます。 - 経営意識が高く、コスト感覚が身につく
発注・人件費・廃棄などのコスト管理をすべて自分で行うため、
数字を見ながら経営判断を下す“実践的な経営力”が鍛えられます。 - 地域密着の運営ができる
常連客や地域行事とのつながりを活かして、
その土地に合った品揃えや接客を柔軟に展開できます。
「地域に愛される店」をつくりやすいのはオーナー経営ならではです。
■ デメリット
- すべてのリスクをオーナー自身が負う
人手不足や売上減少、自然災害などの損失リスクもすべて自己責任。
不測の事態が続くと、精神的にも大きなプレッシャーを抱えます。 - 長時間労働・ワンオペ負担が大きくなりやすい
人材が確保できない場合、オーナー自身が現場に立つ時間が増え、
休みが取れず、疲労が経営判断に影響を与えることもあります。 - 経営スキルと人材育成力が問われる
本部のマニュアルや支援だけでは限界があり、
自ら学び、考え、スタッフを育てる力が必要です。
「人を育てられるオーナー」ほど強い店舗を作っています。

売上は上がったのに、利益は下がった――
そんなことは珍しくありません。
だからこそ、日々の数字や現場の変化に真剣に向き合っています。
結局のところ、すべては“自己責任”。
だから本気でやるしかないんです。

どちらが良い・悪いではない

本部直営でも、フランチャイズ経営でも、
それぞれに「強み」と「課題」があります。
どちらが優れているかという単純な話ではなく、
「どんな目的で」「どんな価値を届けたいか」で向いている形が変わります。
本部にとって直営店は、品質を安定させ、ブランド価値を守る拠点。
一方で、オーナー店は、地域やお客様との距離が近く、柔軟な経営が可能です。
つまり、
直営は「仕組みの安定」、オーナー経営は「人の熱量」。
どちらも店舗運営には欠かせない存在であり、
お互いの特性を理解し合うことで全体の強さが生まれます。

まとめ:店舗経営は「人の力」がすべて

結局のところ、どの運営形態であっても、
その店舗の空気・雰囲気・成果を決めるのは「人」です。
マニュアルもシステムも大切ですが、
お客様に喜んでもらいたいという想い、
仲間と良いお店をつくりたいという意識がなければ、
どんな仕組みも機能しません。
社員店長であっても、
オーナーであっても、
「この店をどうしたいか」「誰のために働くのか」を考え続ける人がいるお店は、必ず強くなります。
店舗経営の本質は、“人が人を動かす力”にあります。
数字をつくるのも、人。雰囲気を変えるのも、人。
そして、店を成長させるのも、やはり“人”です。

経営は仕組みで動き、
店は人で動く。
直営でもFCでも、結局は誰がどんな想いで店に立つか。
そこにすべてが詰まっていると、私は思います。
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