【現場エピソード】冬に学んだ需要対応と顧客満足の工夫
冬の店舗経営は、1年で最も忙しくなる繁忙期です。
おでん・中華まん・クリスマス・年越し…あらゆる需要が一気に押し寄せるため、準備不足や対応の遅れがそのまま売上や顧客満足度に直結します。
ここでは私自身の現場体験から、冬に特に意識したい「需要対応と顧客満足の工夫」をご紹介します。
おでん・中華まんの仕込みは先手必勝

中華まんの起源とは?
日本でおなじみの肉まんやあんまんのルーツは、中国の「包子(パオズ)」にさかのぼります。もともとは三国志の英雄・諸葛亮が考案したとされる「饅頭(マントウ)」が始まりで、当初は具のない蒸しパンのようなものでした。
その後、中国各地で肉や野菜、あんを包む「包子」へと発展し、14世紀に禅僧によって日本へ伝わります。当時の日本では肉食が一般的でなかったため、小豆餡を入れた菓子として受け入れられ、やがて和菓子の饅頭へと姿を変えていきました。
明治期の開港以降、横浜や神戸、長崎の中華街を通じて本場の「包子」が再び紹介され、日本人の嗜好に合わせた肉まん・あんまんとして広まります。さらに1970年代、コンビニがレジ横で販売を始めたことで一気に全国区となり、寒い季節の定番フードに定着しました。
つまり中華まんは、中国で生まれ、日本で二度アレンジされて定着した食文化といえるのです。
寒さが本格化すると一気に動き出す商品ですが、実は秋口からの仕込みが勝負です。
「この店のおでんは毎年早いね」と言われることで、来店動機が定着し、リピーター獲得につながります。
中華まんも同様に、肌寒さを感じた瞬間から売れ始めるため、ケースの演出やPOPで「季節の到来」を訴えることが大切です。

おでんの仕込みを始めたら、お客様から「もうそんな季節か」と声をかけられました!
クリスマスケーキ予約で学んだこと

過去に200個以上のケーキを予約販売した年がありました。 予約活動を徹底し、POPやスタッフからの声かけで「買いやすい雰囲気」を作ったことが功を奏しました。 お客様から「予約して良かった、助かった」と言われ、販売以上に顧客満足を実感しました。

予約活動って、スタッフみんなで気持ちをそろえるのは難しいんだけど…
やってみれば、ほんとにいい結果につながるんだよね。
🎂 クリスマスケーキは予約活動が勝敗を決める

年越しそばは「想定以上」に売れる

大晦日近くは、カップ麺のそばが飛ぶように売れます。 在庫を多めに確保していても「もう一度買いに来た」というお客様が続出。 この需要を逃さないためには、普段の倍以上を仕入れるくらいの覚悟が必要だと学びました。
年越しのような特別な時期に欠品してしまうと、売上の損失だけでなく、「ここなら大丈夫だと思ったのに」というお客様の信頼を失うことにつながります。 逆に、十分な在庫を準備しておけば「やっぱりこの店は頼りになる」と思っていただける。 こうした一つひとつの対応が、信頼の積み重ねになっていくと実感しました。

もともとの仕入れ量にもよりますが、倍以上の仕入れでも良いくらいです。絶対に品切れしない量の確保が最優先です。
🍜 年越しそばは「想定以上」を見越して在庫確保

ホットドリンク補充の重要性

温かい飲み物が体に与える良い影響
寒い季節に温かい飲み物を口にすると、単に「ホッとする」だけではなく、体にさまざまな良い効果があります。
- 体を内側から温める
温かい飲み物は体温を上げ、血流を促進します。冷えを感じやすい手足の末端まで血が行き渡り、冷え性対策にも役立ちます。 - リラックス効果
温かさが副交感神経を優位にし、心を落ち着けてリラックスさせます。特に寝る前のホットドリンクは、安眠をサポートしてくれます。 - 消化を助ける
胃腸を温めることで消化機能がスムーズに働きやすくなります。冷たい飲み物に比べて胃にやさしく、食後の負担を軽減します。 - 代謝アップ
血流や体温が上がることで基礎代謝も上昇。結果的にエネルギー消費を助け、ダイエットや健康維持にもつながります。 - 免疫力のサポート
体温が下がると免疫力も落ちやすくなりますが、温かい飲み物で体を温めることで、風邪や感染症の予防にもプラスになります。
冬はホットドリンクの売れ行きが一気に伸びますが、補充が遅れると「欲しい時に買えない」機会損失が発生します。
私の店でも、ケースがすぐ空になり「残念だった」と言われた経験があります。
それ以来、ピーク時間帯に合わせた前倒し補充と、スタッフ全員で「温度チェック」を徹底するようにしました。

いつでも温かいドリンクがある”という安心感が、常連客につながるんですよね。

年末年始の隠れ需要を見逃さない

おせち用のタッパーや掃除グッズ、リモコン用の電池など、普段は動きが鈍い商品も年末年始は一気に動きます。
「新しい年だから新しいものに替えたい」という心理が働き、普段より高グレードの商品が選ばれる傾向もあります。
売場の一角に「年末準備コーナー」を設けるだけで、想像以上の売上につながります。
年末にお掃除をする習慣とは?
日本では年末になると「大掃除」をする習慣があります。これは単なる片づけではなく、新しい年を清らかな気持ちで迎えるための文化的な行事でもあります。
■ 起源と歴史
- 大掃除のルーツは、平安時代の宮中行事「煤払い(すすはらい)」にあります。
- 一年の終わりに溜まった煤や埃を払うことで、家を清め、年神様を迎える準備を整える意味がありました。
- 江戸時代には庶民にも広がり、年末の恒例行事として定着しました。
■ 習慣の意味
- 家や職場をきれいにすることで、心身ともにリセットできる。
- 一年の汚れや厄を払い、新しい年を清々しく迎えられる。
- 掃除そのものが「感謝の行為」として受け継がれ、家族や仲間との共同作業の意味もあります。
■ 現代における大掃除
現代では必ずしも12月末に集中せず、計画的に分散して行うスタイルも一般的になっています。それでも「年末に家を整える」習慣は、日本人にとって新年を迎えるための大切な準備として残り続けています。

大掃除は単なる片づけではなく、新しい年を迎える“心の準備”なんですね。

まとめ|冬は顧客満足と利益確保を両立させる季節

冬は需要が集中する分、ちょっとした対応の差が売上と顧客満足度を大きく左右します。
おでん・中華まんの仕込み、ホットドリンク補充、年末年始の隠れ需要…。
一つひとつの積み重ねが「また来たい」と思ってもらえるお店づくりにつながります。
来年のリピーターを増やす意味でも、この冬の顧客満足を意識した運営が欠かせません。
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