コンビニのコーヒー&FFで人を育てる|発注精度と利益体質の作り方
コンビニ経営において、
コーヒーやFF(ファストフーズ)は
よく「高値入れ商品」と言われます。
確かに、
- コーヒー豆・カップ・副資材
- FF原料・油・包材
などを見ると、
仕入れ原価だけを切り取れば、
決して安い商品ではありません。
そのため現場では、
- 管理が大変
- 清掃や手間が多い
- 忙しい時間帯は負担が増える
といった理由から、
「本当にそこまで力を入れるべきなのか?」
と感じる声が出るのも自然だと思います。
しかし一方で、
多くのコンビニが、
コーヒーとFFをやめず、むしろ力を入れ続けている
のも事実です。
その理由は、
単に「利益が出るから」だけではありません。
コーヒーとFFは、
- 来店理由を作る
- 売場の空気を作る
- 数字で成果が見えやすい
という特徴を持ち、
人材育成において、非常に優れた教材でもあります。
発注、ロス、原価、利益、オペレーション。
すべてが数字と結果に直結するからこそ、
人が育つかどうかが、そのまま成果に表れる商品。
この記事では、
- なぜコーヒー・FFは「高値入れ×高管理負荷」なのか
- 単品利益だけで判断してはいけない理由
- 発注精度が人材育成の成果そのものになる仕組み
- コーヒー・FFを任せる意味と、正しい任せ方
を、
経営lab視点(現場×教育×数字)で整理していきます。
「儲かるかどうか」だけでなく、
「人を育て、店を強くする商品かどうか」。
その視点で、
コーヒーとFFを見直してみましょう。
コーヒー・FFは「高値入れ × 高管理負荷」の商品

まず最初に押さえておきたいのは、
コーヒー・FF(ファストフーズ)は、
決して「楽に回せる商品」ではないという点です。
この2つは、「高値入れ」かつ「高管理負荷」という、
現場にとっては難易度の高い条件を持っています。
高値入れであることは、間違いない
コーヒーやFFは、
一見すると利益率が高い商品に見えます。
実際、
- コーヒー豆
- カップ・フタ・マドラー
- ミルク・シュガーなどの副資材
- FF原料・包材
これらを合算すると、
原価は決して低くありません。
ただし、
- 1杯あたり
- 1点あたり
で見ると、
粗利率は高く見える。
ここだけを見ると、
非常に魅力的な商品です。
しかし、現場コストは決して軽くない
問題はここからです。
帳簿上の数字だけでは見えにくい、
現場コストが、
コーヒー・FFには必ずついて回ります。
例えば、
- マシンの清掃
- 油管理・交換
- 副資材の補充
- 品質チェック
これらはすべて、
人の手が必要な作業です。
忙しい時間帯ほど、
負担は一気に増えます。
「儲かっているはずなのに大変」は、ズレのサイン
現場から、
- 忙しい
- 手が取られる
- 負担が大きい
という声が出ているのに、
帳簿上では利益商品に見える。
これは、
数字と現場の間にズレが出始めているサイン
でもあります。
だからといって、
コーヒー・FFを「やめる商品」と判断するのは、
早すぎます。
経営者目線|難しい商品ほど「育成価値」が高い

コーヒーとFFは、正直楽じゃない。
でも、この難しさがあるからこそ、
人を育てる教材としては、すごく優秀なんです。
高値入れで、管理が難しい。
だからこそ、
- 発注を考える力
- ロスを意識する力
- オペレーションを整える力
が、そのまま育ちます。
次の章では、
この商品を「単品利益」だけで見てはいけない理由を、
もう一段深く整理していきます。

コーヒー・FFは「単品利益」で考えない

コーヒーやFFを見たとき、
つい「1杯いくら儲かるか」「1点あたりの粗利はいくらか」
と、単品利益で判断してしまいがちです。
ですが、
この商品を単品だけで評価するのは危険だと感じています。
コーヒーは「来店理由」をつくる商品
コーヒーは、
単なるドリンクではありません。
多くのお客様にとって、
- 朝の一杯
- 仕事前の習慣
- 移動中の立ち寄り理由
になっています。
つまりコーヒーは、
「来店そのもの」を生み出す商品です。
コーヒーを買いに来たついでに、
- おにぎり
- パン
- スイーツ
を一緒に買う。
この動線は、どの店舗でも日常的に起きています。
FFは「売場の空気」をつくる商品
FF(ファストフーズ)も同じです。
FFは、
- 揚げたての匂い
- 視認性の高い什器
- 声かけと相性の良さ
といった要素で、
売場に活気を生みます。
FFがしっかり回っている店は、
- 売場が動いて見える
- 「売れている店」という印象を持たれやすい
という効果があります。
👉 これを単品利益だけで切ってしまうと、
売場全体の勢いを落とすことになりかねません。
「数字に出ない価値」を見落とさない
コーヒー・FFには、
- 来店頻度の向上
- 関連購買の発生
- 売場の印象アップ
といった、
PLに直接は出にくい価値があります。
単品粗利だけを見ると、
- 管理が大変
- 手間がかかる
というマイナス面が目につきますが、
それだけで判断すると、
本来の役割を見失うことになります。
経営者目線|売れる商品は「売場全体」を連れてくる

コーヒーやFFは、自分だけで完結しない商品。
他の商品を連れてきてくれる。
だから単品だけで見ると、判断を誤りやすいんですよね。
コーヒー・FFは、
- 売上を作る
- 来店理由を作る
- 売場の空気を作る
という複数の役割を同時に担っています。
次の章では、
この商品を回す上で最も重要なポイント、
「発注精度=人材育成の成果」という視点を整理していきます。

発注精度は「人材育成の成果」がそのまま出る

コーヒー・FFを扱ううえで、
一番シビアに結果が出るのが発注です。
売れれば利益、
外せばロス。
この結果が、ほぼダイレクトに数字に出ます。
コーヒー副資材は「発注難易度」が高い
コーヒー関連の副資材は、
- ミルク・フレッシュは賞味期限が短い
- 天候や気温で消費量が大きく変わる
- キャンペーンで一気に動くことがある
という特徴があります。
つまり、
昨日と同じ発注が、今日は正解とは限らない
商品です。
感覚任せの発注は、必ずズレる
発注を
- なんとなく
- 前回と同じ
- 多めに入れておけば安心
で決めていると、
- ロスが増える
- 欠品が出る
どちらかに必ず振れます。
特にコーヒー・FFは、
- 少なすぎてもクレーム
- 多すぎると廃棄
という、
バランスが非常にシビアな商品です。
数字で説明できる発注は、人を育てる
人材育成として重要なのは、
「なぜこの数量なのか」を説明できる状態を作ることです。
例えば、
- 前週・前年はどうだったか
- 曜日による差はあるか
- 天候の影響はどうか
こうした視点を持って発注できるようになると、
- 売上を見る力
- 在庫を見る力
- リスクを考える力
が、自然と身についていきます。
経営者目線|発注を任せる=考える力を任せる

発注を任せるって、数量を任せることじゃない。
考え方を任せること。
ここをセットで教えないと、人は育たないんですよね。
コーヒー・FFの発注は、
- 結果が早く出る
- ズレるとすぐ分かる
だからこそ、
人材育成の成果が、そのまま数字に表れる
教材として、これほど分かりやすい商品はありません。
次の章では、
コーヒー・FFを使って人を育てるうえで重要な、
「任せ方」について整理します。

コーヒー・FFの「任せ方」で人は育つ

コーヒー・FFは、
人材育成の教材として非常に優秀ですが、
任せ方を間違えると、逆効果になることもあります。
「任せる=放置」になっていないか。
ここは、かなり重要なポイントです。
よくある失敗例|「全部任せたから、あとは自己責任」
人材育成でよく見かけるのが、
こんな任せ方です。
- 「コーヒーは君に任せるね」
- 「FFの発注、全部お願い」
一見、
信頼して任せているように見えますが、
考え方の共有がないまま任せると、
ほぼ確実にズレが生まれます。
結果として、
- ロスが増える
- 欠品が出る
- 本人が萎縮する
そして最後は、
「やっぱり任せられない」という結論になりがちです。
正しい任せ方①|「判断軸」を先に渡す
任せる前に、
最低限共有しておきたいのが判断軸です。
例えば、
- この商品は欠品NGか
- ロスはどこまで許容するか
- 天候・曜日をどう見るか
この軸があるだけで、
判断は大きくブレにくくなります。
正しい任せ方②|結果より「理由」を聞く
発注の結果が出たとき、
- 売れた
- 残った
だけで評価してしまうと、
人は育ちません。
大事なのは、
「なぜ、その数量にしたのか」
を聞くことです。
たとえ結果がズレていても、
- 考え方が合っているか
- データを見ているか
ここができていれば、
次につながります。
正しい任せ方③|小さく任せて、早く振り返る
いきなりすべてを任せる必要はありません。
例えば、
- 平日だけ
- 一部商品だけ
- 短い期間だけ
小さく任せて、早く振り返る。
このサイクルが、
一番安全で、成長が早いです。
経営者目線|「任せる」は教育であり、投資

任せるって、時間も手間もかかります。
でも、その時間を惜しむと、
いつまでも自分が抱えることになる。
だから任せ方は、投資だと思っています。
コーヒー・FFは、
- 数字が見える
- 結果が早い
- 改善点が分かりやすい
だからこそ、
任せ方次第で、人が一気に育つ
商品です。
次はいよいよまとめとして、
なぜコーヒー・FFは「人を育て、店を強くする商品」なのかを、
整理して締めます。

まとめ|コーヒー・FFは「人を育て、店を強くする商品」

コーヒー・FFは、
決して「楽に回せる商品」ではありません。
高値入れで、管理負荷も高く、
発注を外せばロスが出る。
だからこそ、
現場では敬遠されがちです。
でも、ここまで見てきた通り、
その難しさこそが、最大の価値でもあります。
コーヒー・FFは「単品利益」以上の役割を持っている
この商品は、
- 来店理由をつくる
- 売場の空気を動かす
- 関連購買を生む
という、
単品利益だけでは測れない役割を持っています。
数字だけを見て、
- 大変だから縮小
- 手間がかかるから削減
と判断してしまうと、
店の強みそのものを削ることになりかねません。
発注精度は、人材育成の成果がそのまま出る
コーヒー・FFは、
- 天候
- 曜日
- 売上動向
すべてを見て判断する必要があります。
だからこそ、
発注精度=考える力の結果
になります。
この商品を任せられるようになると、
- 数字を見る力
- リスクを考える力
- 説明する力
が、確実に育ちます。
「任せ方」次第で、人は一気に伸びる
コーヒー・FFは、
任せる側の姿勢も問われます。
数量だけを任せるのではなく、
- 判断軸を渡す
- 理由を聞く
- 小さく任せて振り返る
このプロセスを踏むことで、
失敗も「経験」に変わります。
経営者目線|難しい商品こそ、店の軸になる

コーヒー・FFは正直ラクじゃない。
でも、ここを任せられる人が育つと、
店全体のレベルが一段上がります。
だから、やめる理由にはならないんですよね。
コーヒー・FFは、
- 売上をつくる商品
- 来店を生む商品
- 人を育てる商品
です。
もし今、
- 管理が大変
- 任せられる人がいない
と感じているなら、
それは「やめ時」ではなく、「育て時」
かもしれません。
コーヒー・FFを、
単なる利益商品ではなく、
「人を育て、店を強くする商品」として、
改めて見直してみてください。
人気記事

