初期費用とは?回収すべき投資と「開店日に必要な現金」を見落とさない整理術|経営ラボ
こんにちは、はなぱぱです。
経営ラボの「7つの数字」記事の中で、いちばん最初に押さえてほしいのが① 初期費用です。

初期費用は「開業にいくらかかったか」ではなく、
“回収すべき投資”と“最初に動かせないお金”を全部見える化するための数字です。
ここが曖昧なままだと、こうなります。
- 売上はあるのに、手元にお金が残らない
- 「いつ黒字?」が答えられず、ずっと不安
- あとから想定外の支払いが出て、資金繰りが一気に苦しくなる
今回の記事では、「7つの数字」記事の「初期費用」の考え方に合わせつつ、
- 労働保険料(概算・見込み)の支払い
- レジ1台あたりの釣銭(7万円〜10万円)
- 両替金としての追加現金(目安10万円)
- コピー機など設備のお釣り銭(契約形態によって自分で用意)
このあたりも「初期費用に入れておくべきお金」として、ちゃんと整理していきます。
初期費用を“甘く見積もる”と、なぜ経営が苦しくなるのか
初期費用の見積もりが甘いと、経営はだいたい次のパターンにハマります。
「あとで払うもの」が後から出てくる
開店準備って、目に見える買い物(設備・内装)に意識がいきます。
でも実際は、手続き系の支払いや開店日に必要な現金など、「見えない支払い」が地味に効いてきます。
“現金で寝るお金”が想像以上にある
ここが盲点です。
釣銭、両替金、(場合によっては)コピー機などの釣銭。
これは経費で消えるわけじゃないですが、手元資金としては一時的にロックされるので、資金繰りには直撃します。
「回収期間」が読めなくなる
初期費用がズレると、次の数字である⑥ 回収までの期間もズレます。
結果、判断がブレやすくなります。
はなぱぱ式:初期費用の定義
初期費用をザックリ分けると、私はこう捉えています。

初期費用=開店までに必要なお金(投資・支払い・現金準備)を全部まとめたもの
さらに実務でラクになるように、初期費用を2つに分けて管理します。
- A:回収すべき投資(利益で回収するもの)
- B:開店時に必要で、動かせないお金(釣銭・両替金・保証金など)
この分け方をすると、
- 「損した金額」と「一時的に寝てるお金」が混ざらない
- 回収期間が計算しやすい
- 資金繰りの見通しが立つ
というメリットが出ます。
初期費用の内訳チェックリスト(見落とし防止)
ここからが本題です。
初期費用は、項目を漏れなく並べるだけで精度が上がります。
1)店舗・設備(目に見える投資)
- 内装・外装・看板
- 什器・棚・冷蔵冷凍設備
- レジ・POS・周辺機器
- 防犯設備(カメラ・金庫など)
- (必要なら)コピー機・両替機など
(※コンビニ経営の場合は、本部が準備してくれます。)
2)契約関連(最初にまとめて出る)
- 敷金・保証金・礼金
- 不動産仲介手数料
- リース初期費用(初回支払い)
- 加盟金・保証金(フランチャイズなど契約形態による)
3)採用・研修・開業前人件費(地味に大きい)
- 求人広告費・採用費
- 研修期間の人件費
- 開業準備のための残業・応援手当(発生するなら)
4)販促・備品・消耗品(開店前後に集中)
- オープン販促(チラシ、SNS広告、のぼり等)
- 名刺・ショップカード・POP
- 清掃用品、ユニフォーム、文具、袋・容器など
5)初回仕入れ(在庫)
商品を持たないと売れません。
在庫は資産でもありますが、キャッシュは出ていくので初期費用として見ます。
6)釣銭準備金(レジ現金・両替金・設備のお釣り)
ここ、今回いちばん伝えたいところです。
- レジ1台あたり:70,000〜100,000円程度(運用ルール・客層・現金比率で変動)
- 両替金:別途100,000円程度(管理能力にもよるが、ある程度は必要)
- (契約形態によっては)コピー機などの釣銭も自前で準備が必要なケースあり
釣銭は「経費」ではないですが、資金としては確実に必要です。
開店当日に足りないと、現場が詰みます(レジが回らない、両替に走る、スタッフが混乱する)。

7)労働保険料(概算・見込み)など、手続き系の支払い
従業員を雇う場合、立ち上げ期に労働保険関連の支払いが発生するケースがあります。
特に「概算(見込み)」で先に納める形になると、まとまった金額が初期に出ていくことがあるので、初期費用枠で別立てしておくと安全です。
※ここは事業形態・雇用形態・手続き状況で変わるので、必ず最新の要件は所轄や社労士さんに確認してください(この記事では「資金として見落とさない」ことに焦点を当てます)。
8)予備費(最後に効く)
開業は想定外が出ます。
- 追加工事
- 機器トラブル
- 備品買い足し
- 求人がうまくいかず追加費用
- 各種資格取得費用(食品衛生責任者など)
なので、初期費用には予備費を最初から入れておくのがおすすめです。
釣銭準備金を「数字」として管理するコツ
釣銭準備金は、店が回るほどに“雑”になりやすいお金です。
だから最初にルールを決めるのがコツです。
まず「必要な現金」を合算する
例を作るとこんなイメージです。
- レジ1台:70,000〜100,000円
- 両替金:100,000円
- (必要なら)設備の釣銭:コピー機など分
例:レジ2台の場合
- レジ釣銭:140,000〜200,000円
- 両替金:100,000円
- 合計:240,000〜300,000円(+設備分)
この金額、設備投資の見積書には出てこないので、別枠で見える化が必須です。
「釣銭は資産。でも、資金としては固定される」
釣銭は利益で減るわけではありません。
でも、開店後しばらくは特に、
- 両替が追いつかない
- 小銭が不足する
- 現金比率が高い
などが起きやすいので、“余裕のなさ”がそのまま現場トラブルになります。
管理ルールを最初に決める(おすすめ3つ)
- 釣銭の基準額を決める(レジごとにいくら)
- 釣銭の増減は記録する(誰が、いつ、いくら動かしたか)
- 責任者を固定する(触れる人を増やさない)
これだけで「いつの間にか減ってる」が激減します。
労働保険料(概算・見込み)を初期費用に入れる考え方
ここは「制度の解説」より、現場の資金計画としての話をします。
ポイントは「開業直後に、まとまった支払いが出る可能性」
開業初期って、
- 売上はまだ安定しない
- 人件費は先に出る
- 設備や備品の買い足しも出る
この状態で、さらに手続き系の支払いが重なると、心理的にも資金的にもキツくなります。
ざっくりの見積もり手順(考え方)
- ① まず、開業後の月の人件費(見込み)を出す
- ② それをベースに見込み賃金総額を置く(一定期間分)
- ③ 料率は業種などで変わるので、最新の情報で確認する
- ④ 「概算で出ていくお金」+少しの余裕を初期費用枠に確保する
ここを最初から入れておくと、「あ、払うの忘れてた…」が起きません。
「回収すべき投資」と「必要資金(寝るお金)」を分けよう
初期費用がややこしくなる原因は、性質が違うお金が混ざることです。
| 区分 | 例 | 考え方 |
|---|---|---|
| A:回収すべき投資 | 内装・設備、開業前人件費、採用費、販促費、立ち上げ赤字 | 利益で回収する。回収期間の計算対象にする。 |
| B:必要資金(寝るお金) | 敷金・保証金、釣銭準備金(レジ7万〜10万/台+両替10万目安)、設備の釣銭、在庫 | 経費で消えないことも多いが、資金として必要。手元資金を圧迫する。 |
この分け方をしておくと、
- 「儲かってないのか」
- 「お金が寝てるだけなのか」
が切り分けできます。
初期費用を「回収できる形」に落とし込む(回収期間につなげる)
初期費用は、次の数字「⑥ 回収までの期間」とセットで考えると一気に強くなります。
回収期間の超シンプルな考え方
回収期間(目安)= A:回収すべき投資 ÷ 月の利益(ざっくり)
細かい定義は別記事でやりますが、まずはこれでOKです。
大事なのは、初期費用を把握すると「いつ楽になるか」が言葉になること。
よくある落とし穴(初期費用で失敗するパターン)
- 釣銭準備金を見てなくて、開店日にバタつく(レジが回らないのは致命的)
- 労働保険など手続き系の支払いを後回しにして資金繰りが詰まる
- 初期費用を削りすぎて、運営が回らない(人・設備・販促が足りない)
- 逆に盛りすぎて、回収期間が長くなりすぎる(気持ちが折れやすい)
- 「投資」と「寝るお金」を混ぜて、利益が出てないと勘違いする
落とし穴って、才能じゃなくて設計の問題です。
先に知っておけば避けられます。
まとめ|初期費用は「見える化」した瞬間に、経営がラクになる
初期費用は、経営のスタート地点です。
ここが決まると、判断が安定します。
- 回収すべき投資(A)を把握する
- 釣銭・両替金・保証金などの必要資金(B)を別枠で確保する
- 労働保険料(概算・見込み)のような“初期に出る支払い”も忘れない

初期費用が見えると、「不安」が減って、「判断」が増えます。
迷ったら、まずこの数字に戻ってきてください。

