【コンビニオーナー向け】2026年 労働基準法改正案をわかりやすく解説|勤務間インターバル・有給算定・休日特定など現場が知るべきポイント
2026年にも改正が予定されている「労働基準法」。 ニュースでは聞くものの、 「実際にコンビニの現場にどう影響するのか?」 「24時間営業でも適用されるの?」 という疑問を持つオーナーさんは多いはずです。
今回の法改正は、
- ✔ 勤務間インターバル制度(退勤→翌出勤の休息義務)
- ✔ 有給休暇の賃金算定ルール一本化
この2つがコンビニ運営に最も影響が大きい項目です。
この記事では、実際に私自身が感じた疑問をそのまま「Q&A形式」で整理しつつ、 24時間・シフト制で働く現場にどう関係してくるのかを、 専門用語なし・現場目線100%で解説していきます。
あなたと同じように、私自身も最初はこんな疑問を持っていました。
こうした現場目線の疑問にひとつひとつ回答しながら、 今回の改正が私たちコンビニ店舗にどんな影響を与えるのかを一緒に整理していきましょう。
今回の労基法改正案の“全体像”

まずは全体像をシンプルに把握するところから始めます。 労基法改正案では大きくわけて次の5つの項目が議論されています。
このうち、 コンビニ・24時間営業の現場に最も大きな影響が出るのは①と②。
残りの3つは、 「現在の働き方とのギャップを埋めるための制度整理」 という性格が強く、 実務への影響は比較的軽めだと言えます。
結論(先にわかりやすく)

コンビニに直撃する2つの改正①勤務間インターバル②有給の賃金算定ルール

今回の労基法改正案の中で、コンビニのような24時間シフト制の現場に特に影響が大きいのが、次の2つです。
どちらも「じわじわ効いてくるタイプ」の改正で、 シフト設計・人員配置・有給の取り方に大きく関わってきます。 ここから、あなたのリアルな質問をベースに、コンビニ目線で整理していきます。
勤務間インターバル制度|「退勤から11時間あける」が基本線
勤務間インターバル制度とは、簡単に言えば 「前の日の退勤時間から、次の出勤までに一定の休息時間をあけなさい」 というルールです。
ヨーロッパでは11時間が標準で、日本の改正案でも「11時間」がひとつの目安として議論されています。
この11時間ルールが、「早朝+夕方シフト」「夜勤明けのヘルプ」など、 コンビニあるあるの働き方にかなり効いてきます。
💬 Q&A:はなぱぱのリアルな疑問①
Q. 「我々のように24時間営業の場合、例えば12月1日の出勤が17時から22時だった場合、翌日12月2日の勤務は9時以降からではないと出勤できないという認識であってますか?」
A. はい、その認識で基本的には合っています。
- 12/1 17:00〜22:00勤務 → 退勤22:00
- インターバル11時間 → 22:00 + 11時間 = 翌9:00
- → 12/2は9:00より前に入れるとアウト(インターバル不足)
なので、これまで普通にやっていた 「前日17〜22時 → 翌日6〜9時だけ早朝入る」 という動きは、制度上かなり厳しくなります。
💬 Q&A:はなぱぱのリアルな疑問②
Q. 「早朝に短時間働き、夕方をメインで働いているスタッフの場合、この条件に引っかかってしまうと言うことになりますよね。」
A. おっしゃる通りで、この働き方はインターバルと相性が悪くなります。
典型的な NG パターン
- 早朝 6:00〜9:00
- 夕方 17:00〜22:00
このスタッフが、たとえば「ある日は夕方だけ」「ある日は早朝だけ」という組み合わせならまだ調整できますが、 「夕方→翌早朝」の連続パターンはほぼ不可能になります。
今まで 「人いないから、昨日夕方も出たけど、明日の早朝もお願い」 で何とか回していた部分が、 制度的に止められる方向だとイメージしていただくと分かりやすいです。
🧩 24時間コンビニへの具体的な影響
つまり、「誰かが頑張れば何とかなる」運営から、 「仕組みで回さないといけない」運営へ変わるということです。

これまでの“気合いと根性シフト”が、制度的にNGになるイメージですね…。 特に早朝と夜勤明けの運用は考え直さないといけないと感じています。
有給休暇の賃金算定ルール一本化|「通常賃金」に揃える方向
もう一つの大きなポイントが、有給休暇取得時の賃金計算ルールです。
現行の労基法では、有給の賃金計算にいくつかの方式がありますが、 改正案ではこれを「通常の賃金(通常賃金)」に一本化しましょうという流れになっています。
→ 改正案:①「通常の賃金」で統一しよう、という方向
💬 Q&A:通常賃金と平均賃金ってどう違うの?
Q. 「年次有給休暇取得時の賃金算定ルールの一本化の通常賃金と平均賃金の違いを教えてください」
A. ざっくり言うと、
- 通常賃金:その日に普通に働いていたらもらえるはずの給料
- 平均賃金:過去3ヶ月の総支給額を日数で割った“平均値”
違いを表にすると
| 項目 | 通常賃金 | 平均賃金 |
|---|---|---|
| 計算の基準 | その日の給料ベース | 過去3ヶ月の総支給 ÷ 日数 |
| 金額のブレ | 少ない(安定) | 残業や欠勤で大きく上下 |
| 実務の手間 | 少ない | 多い(毎回計算が大変) |
コンビニのようにシフト・残業・深夜が入り混じる現場では、 平均賃金の計算はかなり手間で、スタッフへの説明も難しい部分がありました。
それを「通常賃金に一本化して、分かりやすくしましょう」というのが今回の改正案です。
🧮 コンビニ現場にとってのメリット・デメリット
有給の「中身(賃金)」はスッキリしますが、 「人を休ませる前提でシフトを組む」意識がより重要になります。

有給は取りやすくなる一方で、 “人が抜けたときのシフト”をどう設計するかが、オーナー側の新しい仕事になりそうですね。
小まとめ:この2つが「コンビニの運営感覚」を変えていく
インターバル制度と有給算定ルールの一本化は、 どちらも「今の延長線で、ちょっと気をつければOK」では済まないタイプの改正です。
- インターバル → 働かせ方そのものを設計し直す必要がある
- 有給ルール → 休ませる前提+穴埋め前提で運営設計する必要がある
この2つは“シフト表の書き方” と “人の揃え方”に直撃します。 だからこそ、コンビニオーナーにとっては一番押さえておきたい改正ポイントです。

その他の3つの改正は“制度と現場のギャップ調整”

勤務間インターバルと有給算定ルールほどのインパクトはありませんが、 今回の労基法改正案には、現場の働き方と制度のズレを埋めるための調整項目が3つあります。
これらは大きく運用が変わる訳ではありませんが、 「今後はここが明確化されていく」という “方向性” を理解しておくことが重要です。
法定休日の特定義務化|休日を“曖昧にしない”という話
これは、労基法で義務づけられている 「週1日の休日」 を “いつ付与するのか、事前に明示してください” という改正案です。
💬 Q&A(はなぱぱの実際の質問)
Q.
「24時間365日営業の場合、全員統一の適用で土曜日、日曜日が休日扱いとするのか、 それとも月曜日水曜日金曜日と出勤している人の場合、 火曜日木曜日土曜日が休日扱いと個人的に分けられるのですか?」
A.
結論:個人ごとに休日を設定できます。
- 全員を土日に休ませる義務はなし
- 個々の勤務パターンに応じて休日を指定すればOK
- 現行の“シフトで休日が見える状態”がそのまま有効
つまり、24時間営業でも特段大きな変更はありません。 「曖昧な休日を事前に明確にしよう」という方向性が強くなると理解すればOKです。
週44時間特例の廃止|“週40時間が当たり前”の時代へ
一部の業種では「週44時間までOK」という特例が残っていますが、 今はほとんど形骸化しており、 働き方改革の流れの中で整理される方向です。
コンビニ運営においては、既に週40時間が通常の前提なので、 影響はほぼなしです。
副業・兼業者の労働時間管理|“通算ルールの見直し”
現行では、副業しているスタッフの労働時間を すべての勤務先を合算して労働時間とみなす仕組みがあります。
しかし近年の副業推進の流れの中で、 「これは厳しすぎる」「現実的ではない」と議論され、 通算ルールの緩和・整理が検討されています。
コンビニの場合、掛け持ちスタッフが多いですが、 改正後は「副業だから管理が大変」という状況はむしろ改善される可能性が高いです。
小まとめ:残り3つは“今の習慣を法制度が追いかけた”イメージ
勤務間インターバルや有給算定ルールのように 「働かせ方そのものを変えましょう」という改正ではなく、
という“整理”の色合いが強い改正内容です。

改正の本丸ではないですが、「曖昧だったところを整える」方向、 という理解で良いと思います。 今の働き方の延長で運用できそうですね。

オーナー自身の働き方はどう見なされる?

――「適用外なのに行政指導が入る理由」
労働基準法は、あくまで“労働者を守る法律”であり、 事業主(コンビニオーナー等)には直接適用されません。
しかし実務上、オーナー自身の働き方が 「労務管理の問題を示すサイン」として扱われ、 行政指導の対象になるケースがあるのも事実です。
これはコンビニ業界では特に起こりやすい誤解であり、 必ず理解しておきたいポイントです。
💬 Q&A:はなぱぱのリアルな疑問
Q.
「オーナーは、この法律の適用外かと思っていましたが、 行政指導の対象になってしまうんですね。」
A.
結論から言えば、 オーナー自身は労働基準法の“対象外”ですが、 “店舗全体”として行政指導の対象になることがあります。
つまり、オーナー個人が「違法労働した」と扱われるわけではなく、 オーナーの長時間労働=人員不足 or 労務管理不全の証拠 と判断されることがある、ということです。
なぜ「適用外のオーナー」が行政のチェック対象になるのか?
とくにコンビニは「夜勤固定」「ワンオペ」「急な欠勤」の発生しやすい業態のため、 監督署が問題視しやすい構造があります。
オーナー本人が対象ではなく、 “その働き方が生まれてしまう環境”への指導 が行われる、というイメージです。
実際に行政指導が入りやすいケース
こうした状況は、 「労務管理体制が崩れている職場」 「スタッフ保護の観点から問題がある」 と判断されやすくなります。
行政指導の中身は“オーナーを怒る”のではなく“体制を改善する”もの
オーナー個人が罰則を受けるわけではありません。 行政が求めるのは、下記のような組織改善です。
要するに、 「オーナーが働きすぎている=店全体のルールが崩れている」 という構造的問題として改善を求められるということです。
コンビニオーナーがすべき対策(現実的なものだけ)
24時間店舗だからこそ、次の点を押さえることで行政リスクを大幅に下げられます。
これは労基法のためというより、 “店を持続可能に運営するための最低ライン”でもあります。

オーナーは対象外と言われても、実務では“店の状態”として見られるんですよね…。 ここを理解しておくことが、これからの店舗運営では大事だと感じます。

コンビニが取るべき実務対応|“気合い運営”を卒業し、仕組みで回す店へ

今回の労基法改正案は、コンビニのような24時間営業の現場にとって 「これまで当たり前にできていた運用ができなくなる」 という意味を持ちます。
特に、 ✔ 勤務間インターバル(11時間) ✔ 有給賃金の一本化 の2つは、シフト制の根本に影響するため、 “気合いと根性で穴埋めする運営”からの卒業が求められます。
ここでは、現場がすぐに取り組める“実務レベルの対応策”をまとめます。
① シフトは「設計」する時代へ|連勤管理を見える化する
まず最優先は、 “誰が何日連勤しているか”を可視化する仕組み をつくることです。
「誰が限界か?」が分かれば、 オーナーの“無意識な連勤”を防ぐことにもつながります。
② 早朝・夕方の“二部勤務”は禁止にする方向へ
はなぱぱの質問にもあったように、 夕方 → 翌早朝の勤務組み合わせは、インターバル制度と最も相性が悪い形です。
この働き方を容認していると、 シフトが組めず、行政指導の対象にもなり得るため、 早朝班・夕方班・夜勤班を完全に分けるのが現実的な解決策になります。
③ “第3ライン”となるスポット要員を確保する
インターバルと有給取得増を前提に考えると、 「急な欠勤が出ても、店長と既存スタッフで埋める」 という運用は崩壊します。
そのため、 “第3ライン”=非常時のスポット人材 の確保が必須になります。
これにより、 オーナーや夜勤者への負荷を避けつつ、 法制度に準拠した運営が可能になります。
④ 有給は“休む前提”でシフトを組む
有給賃金の算定が通常賃金で統一されると、 スタッフが「有給を取りやすくなる」ため、 店舗側は“穴あき前提”でシフトを作る必要があります。
“有給を取られたら困る”から “有給を取れる前提で運営する”へ 考え方を切り替える時代です。
⑤ 「オーナーの働き方」も体制の一部として管理する
h2④でも触れましたが、 オーナー自身は法の適用外であっても、 オーナーの連勤=労務管理不備の証拠として扱われます。
これは「行政指導の回避」だけでなく、 店を長期的に守るためのセルフマネジメントでもあります。
【総まとめ:コンビニは“根性運営”から“構造運営”へ】
今回の労基法改正案は、 私たちコンビニ店舗にこう伝えているように感じます。
これらを整えることで、 法改正への対応だけでなく、 働きやすい店舗・辞めない職場・信頼される店づくりにつながっていきます。

「これまで何とか回してきた」ではなく、 「これから回る仕組み」を作るタイミングだと感じています。

と、色々書いてきたものの、「言うほど簡単じゃないよ!」って意見はありますよね。まだ改正の検討段階なので時間はあります。少しづつ改善していくしかないですね。
詳しい内容は社労士さんと相談!
人手不足に悩む方へ

