経営の土台になる「7つの数字」|感覚に頼らず判断する共通言語
経営って、真面目にやっている人ほど苦しくなりがちです。
- 毎日めちゃくちゃ忙しいのに、お金が残らない
- 売上はそこそこあるのに、なぜか不安が消えない
- 値上げ・採用・発注…判断のたびに胃が痛い
これ、才能がないわけでも、努力が足りないわけでもありません。
「判断の軸(共通言語)」がない状態で走っているだけです。

この7つの数字は「正解を出すため」ではありません。
迷ったとき、ぶれたときに戻ってこれる“基準点”を作るための数字です。
この記事を読み終える頃には、経営ラボが何を大事にしているかが掴めるはずです。
いつでも戻ってきてください。
なぜ「数字の軸」が必要なのか
感覚経営が限界を迎える瞬間
小さな商売ほど、最初は感覚で回ります。これは自然です。
ただ、あるタイミングで感覚経営は限界が来ます。よくあるのがこの2つ。
- 忙しいのにお金が残らない(=どこかで吸い取られている)
- 判断が人や気分に左右される(=同じ状況でも結論が変わる)
たとえばコンビニでも、飲食でも、サロンでも、こういう現象が起きます。
- 「今日は頑張った」→ でも利益は薄い
- 「人を増やしたい」→ でも人件費が怖い
- 「廃棄を減らしたい」→ でも欠品が怖い
ここで必要なのが、気合いではなく“判断を安定させる軸”です。
数字は「正解」ではなく「判断材料」
数字って、冷たく感じることがあります。
でも本当は逆で、数字は感情を否定するものではなく、感情に飲まれないための道具です。
- 数字=答え、ではない
- 数字=判断材料(状況整理の道具)
- 数字=未来の自分を助けるメモ
迷ったときに「根拠がある」だけで、判断のストレスは一気に減ります。
経営は、強い人が勝つんじゃなくて、迷っても戻れる人が続きます。
経営の土台になる「7つの数字」一覧
ここでは一覧と軽い説明だけにします。
各項目の最後に、深掘り記事へのリンクを置いています。
| 番号 | 数字 | 一言でいうと |
|---|---|---|
| ① | 初期費用 | 「回収すべき投資」の総額 |
| ② | 固定費 | 毎月勝手に出ていく“重り” |
| ③ | 人件費 | 一番ブレやすく、一番効く |
| ④ | 廃棄率 | 攻めと守りの境界線 |
| ⑤ | 利益率 | 売上より先に見る指標 |
| ⑥ | 回収までの期間 | いつ黒字になるかの“言語化” |
| ⑦ | 撤退ライン | 続けるより先に決めておく基準 |
① 初期費用
初期費用は「開業にかかったお金」だけじゃありません。
回収すべき投資として捉えるのがポイントです。
- 内装・設備・什器
- 加盟金・保証金
- 研修費・開業前の人件費
- 立ち上げ期の赤字補填(実質の投資)
ここが曖昧だと、「黒字」の定義がブレます。

② 固定費
固定費は、経営をじわじわ縛ります。しかも下げにくい。
- 家賃・リース・通信費・保守費
- サブスク・システム利用料
- 最低限必要な人員コスト(半固定費)
固定費が高いと、売上が良い月でも「安心」が来ません。

③ 人件費
人件費は、現場に一番近い数字です。だから感情ともぶつかりやすい。
- 「忙しいから増やしたい」
- 「でも利益が薄いから怖い」
ここは“根性”で解決しようとすると壊れます。
人件費は「削る対象」ではなく「設計する対象」です。
④ 廃棄率
廃棄は悪者にされがちですが、ゼロを目指すと壊れます。
- 廃棄ゼロ → 欠品増 → 機会損失 → 売上低下
- 廃棄を恐れる → 攻められない → 売場が弱る
大事なのは「廃棄を減らす」より、廃棄の意味をコントロールすること。

⑤ 利益率
売上が増えても、利益率が落ちたら苦しくなることがあります。
逆に、売上が横ばいでも、利益率が改善すると一気にラクになります。
- 値引き・販促で売上は作れる
- でも利益率が崩れると、最後に残らない
「売上」より先に見る。これが土台になります。
⑥ 回収までの期間
回収期間は、ざっくり言うと「いつから安心できるか」です。
- 初期費用が回収できるまで何ヶ月?
- 借入返済を含めた“実質回収”はいつ?
ここが見えるだけで、判断が落ち着きます。
焦りが減ると、変な打ち手をしなくなります。
⑦ 撤退ライン
撤退ラインは、厳しく聞こえるかもしれません。
でも僕は、これが経営者を守る数字だと思っています。
- 続ける判断は、感情で引き伸ばしやすい
- 撤退は、決めてないと決められない
撤退ラインは「逃げ」ではなく、次に進むための設計です。
7つの数字は「単体」で見ない
数字は必ず連動している
数字は、だいたいセットで動きます。
例1:人件費を下げると何が起きるか
- 人件費は下がる
- でも回転が落ちる(販売機会が減る)
- 品質が落ちる(クレーム・離脱)
- 結果、売上や利益率が下がる
例2:廃棄を減らすと売上はどうなるか
- 廃棄は減る
- でも欠品が増える
- 買い回りが止まる
- 結果、粗利総額が落ちる
だから大事なのは、単体の正解ではなく、連動を理解して“バランスで決める”ことです。
一部だけ改善しても楽にならない理由
部分最適は、短期では数字が良く見えます。
でも長期で見ると、別の場所が痛み出します。
- 固定費だけ削る → 現場の機能が落ちる
- 廃棄だけ削る → 売場が弱る
- 人件費だけ削る → 店が回らなくなる

経営って、「一個の数字を良くするゲーム」ではなく、
全体の整合性を取るゲームなんですよね。
7つの数字をセットで持つと、「いま触るべきレバー」が見えます。
数字と感情がぶつかる場面
頭では分かっているのに、できない瞬間
数字を見れば分かる。だけど、手が止まる。あります。
よくぶつかるのがこの2つ。
- 人を切れない(生活がある、情がある、関係がある)
- 廃棄を攻められない(もったいない、怒られそう、怖い)
ここで自分を責めると、余計に動けなくなります。
大事なのは、「感情があるのは当たり前」と認めた上で、感情が出る前に“基準”を置くことです。
だからこそ「基準」を先に決める
感情が強く出る局面ほど、判断はブレます。
なので、元気なとき・冷静なときに「基準」を決めておきます。
- 人件費率(または人時売上)をどこまで許容するか
- 廃棄率をどこまで“投資”として許容するか
- 撤退ラインに触れたら、何をするか(改善→判断の順番)

判断を未来の自分に任せる。
これが“基準を先に決める”ってことです。
このあたりは、別記事で深掘りしています。


この7つの数字は「経営を縛るため」ではない
自由に判断するための枠組み
数字って、縛るものじゃなくて、実は自由を増やすものです。
- 数字があるから、迷っていい
- 数字があるから、悩みすぎない
- 数字があるから、説明できる(スタッフにも、家族にも)
特に現場責任者の方は、説明できるようになると一気にラクになります。
「感覚」ではなく「根拠」で話せるようになるからです。
完璧に揃わなくてもいい
ここ、大事なのでハッキリ書きます。
7つ全部が完璧に揃ってなくても大丈夫です。
- まずは「意識する」だけで、判断が変わる
- 次に「見える化」すると、改善の順番が見える
- 最後に「基準化」すると、ブレにくくなる
いきなり完璧を目指すと、続きません。
経営はマラソンなので、続く形が正解です。
どこから読めばいいか迷ったら
最後に、読者の状態別におすすめの読み順を置いておきます。
「いまの自分」に近いところからでOKです。
これから経営を考える人へ
- ① 初期費用(回収すべき投資の総額)
- ② 固定費(毎月の重り)
最初にここを押さえると、そもそも無理な設計を避けられます。
すでに苦しさを感じている人へ
- ③ 人件費(設計でラクになる)
- ④ 廃棄率(攻めと守りの境界線)
現場の苦しさは、だいたいこの2つに表れます。
「我慢」ではなく「構造」で直していきましょう。
判断に迷っている人へ
- ⑥ 回収までの期間(いつ安心できるか)
- ⑦ 撤退ライン(決めておく判断)
迷いが減ると、打ち手の精度が上がります。
経営は「考えた量」より「迷いの少なさ」で勝てる場面が多いです。
まとめ|迷ったとき、戻れる場所があるだけで違う
経営はセンスだけじゃありません。
そして、数字は冷たいものでもありません。
判断に迷ったときに、
- 初期費用は回収できているか
- 固定費が重すぎないか
- 人件費と廃棄を“設計”できているか
- 利益率が保てているか
- 回収期間は見えているか
- 撤退ラインは決まっているか
この7つに戻ってこれるだけで、経営は安定します。

また迷ったら、ここに戻ってきてください。
ここが、経営ラボの「基準点」です。
