なぜ人手不足は起きるのか？現場で見えた店舗経営のリアルな原因と対策

「人手不足だから仕方ない」
最近、どの業界でも、当たり前のように聞く言葉になりました。

求人を出しても応募が来ない。
シフトが埋まらない。
現場が回らない。

こうした状況が続くと、
「時代の流れだよね」
「若い人が働かなくなったから」
と、つい“大きな話”で片付けたくなる気持ちも分かります。

でも、実際に店舗を運営していると、
人手不足って、そんな単純な話じゃないんですよね。

私自身、コンビニの現場で、
都市部の店舗だけでなく、
県境に位置する店舗も含めて、人の動きをずっと見てきました。

そこで強く感じるのは、
「人がいない」よりも、
“選ばれていない理由がある”という現実です。

感情論ではなく、できるだけ現場目線で整理します。
「うちも同じかも」と思ったところから、改善のヒントを拾ってもらえたら嬉しいです。

人手不足は「一つの原因」では起きていない

人手不足という話になると、
真っ先に出てくるのが「賃金」の問題です。

確かに、時給や待遇は大切です。
最低賃金が上がり続けている今、
「賃金が低い＝人が来ない」という側面は否定できません。

ですが、現場で見ていると、
賃金だけでは説明できないケースが、あまりにも多いのが実情です。

同じ時給でも、人が集まる店と集まらない店がある

例えば、同じエリア・同じ時給でも、

が、はっきり分かれることがあります。

条件は同じ。
それでも結果が違う。

これはつまり、
人は「時給だけ」で職場を選んでいないということです。

はなぱぱ

「時給は同じなのに、あっちは人が入る」
この違和感、現場にいると何度も感じます。

「時間帯」で説明できないズレが起きている

よくあるのが、

というケースです。

もし賃金だけが原因なら、
全時間帯で同じように人が不足するはずです。

でも実際は、
時間帯によって集まり方がまったく違う。

ここにも、
賃金以外の要素が影響していることが見えてきます。

募集していないのに「働きたい」と言われる店がある

一方で、不思議な現象もあります。

求人を出していないのに、
お客様から

と声をかけられる店が、実際に存在します。

これは、
条件以前に「店の印象」が選ばれている状態です。

人手不足は「構造」で見る必要がある

ここまでを整理すると、
人手不足は次のような要素が絡み合っています。

どれか一つだけを直しても、
根本的な解決にならないことが多いのは、
この構造的な問題があるからです。

はなぱぱ

人手不足は「結果」であって、
原因はもっと手前にあります。

次は、
この中でも特に影響が大きい
「立地」と「最低賃金」について、現場のリアルを掘り下げていきます。

立地と最低賃金が「人の流れ」を決めている現実

人手不足を語るとき、
賃金の話は避けて通れません。

ただ、ここで大事なのは、
「時給を上げる／上げない」よりも、
立地と最低賃金の差が“人の移動”を生むという現実です。

県境の店ほど「人が抜ける方向」が分かりやすい

私のお店の中には、
県境にある店舗があります。

この立地だと、最低賃金の差がそのまま“人の流れ”になります。

具体的には、

それだけで、
より時給が高いエリアへ働きに行けてしまう。

はなぱぱ

つまり、同じ地域に住んでいても、
「職場の選択肢」は県をまたいで広がるんです。

県境の店は、
“競合”が同業他社だけじゃなく、
隣県の時給になるんですよね。

若い世代は「効率よく稼げるか」で判断する

最近の若い世代を見ていると、
「やりがい」よりも、
効率よく稼げるかを重視する傾向が強いと感じます。

これは責める話ではなく、
生活コストが上がる中では、すごく自然な判断です。

同じ4時間働くなら、

そんな場所を選ぶのは当たり前です。

「賃金」だけでなく「立地」がセットで効いてくる

同じ時給でも、
駅前・住宅街・郊外・県境で、
人の集まり方は大きく変わります。

なぜなら、求職者は

をセットで考えているからです。

つまり、
最低賃金の差が小さくても、
立地の差で負けることがあります。

「立地で不利」なら、勝負するポイントを変える

ここが店舗経営での現実的なポイントです。

立地が悪いからといって、
「もう無理だ」と諦める必要はありません。

ただし、
賃金だけで勝負しようとすると消耗戦になりやすい。

立地で不利なら、
別の価値で選ばれる必要があります。

はなぱぱ

立地は変えられない。
でも、
店の空気と運営の仕方は変えられるんです。

次は、さらに現場で差が出るポイント、
「時間帯によって働く人の層がまったく違う」という話に進みます。

時間帯によって「働く人の層」はまったく違う

人手不足を考えるうえで、
もう一つ、見落とされがちなのが時間帯の違いです。

「どの時間も人が足りない」と感じていても、
よく見てみると、
足りないのは特定の時間帯だけというケースがほとんどです。

朝〜昼は「働ける人」が確実に存在している

現場で見ていると、
朝から昼過ぎにかけては、比較的人が集まりやすい傾向があります。

この時間帯の中心は、

です。

特に最近は、
物価高の影響もあり、

「フルタイムは無理だけど、
数時間なら働きたい」

という人が、確実に増えています。

逆に言えば、
この時間帯で人が集まらない店は、
条件や伝え方にズレがある可能性が高いです。

夕方〜夜は「選択肢が一気に増える時間帯」

夕方から夜になると、
働く人の顔ぶれがガラッと変わります。

この層は、
すでに他の選択肢を持っているのが特徴です。

学校、別バイト、家庭の事情。
限られた時間の中で、
「どこで働くか」を選んでいます。

そのため、

こう感じられた瞬間に、
候補から外れてしまいます。

はなぱぱ

夕方〜夜は、
「時給を上げれば来る」よりも、
「ここなら続けられそう」かどうかの勝負です。

深夜は「働ける人が限られる」特殊な時間帯

深夜帯は、さらに事情が変わります。

そもそも、

これらの条件をクリアできる人自体が少ない。

加えて、

といったハードルもあります。

結果として、
深夜は「やりたい人がいない」のではなく、
「できる人が限られている」時間帯になります。

「全時間帯を同じ条件」で考えるのがズレの原因

多くの店舗で起きているのが、

「全時間帯、同じ条件で募集している」

という状態です。

ですが、

は、まったく違います。

それを一括りにしてしまうと、
どの層にも刺さらない募集になってしまいます。

はなぱぱ

「人が来ない」のではなく、
「誰に向けて募集しているのか分からない」
状態になっていること、意外と多いです。

次は、
「副業OK時代なのに、なぜ人手不足は解消されないのか」
制度と現場のズレについて掘り下げていきます。

副業OK時代でも、人手不足は解消されない理由

ここ数年で、
「副業OK」という言葉は、かなり一般的になりました。

一見すると、
「副業が広がれば、人手不足は解消されるのでは？」
と思いがちです。

ですが、現場で見ていると、
実際はそう単純にいかないのが正直なところです。

「副業OK」と「自由に働ける」は別物

まず押さえておきたいのは、
副業OKといっても、
本当に自由に働ける人は多くないという点です。

実際には、

といったケースが少なくありません。

「副業OK」と書いてあっても、
現実にはハードルが高く、
踏み出せない人が多いのが実情です。

税金・申告が「見えないブレーキ」になる

副業を考える人から、
よく聞くのがこの不安です。

これらは、
実際に大きなリスクでなくても、
心理的なブレーキとして強く働きます。

結果として、

「できれば副業は避けたい」
「やるなら、もっと楽なものがいい」

という判断につながり、
夜間・深夜の現場仕事は敬遠されがちになります。

本業＋副業で「体力と時間」が限界になる

もう一つ大きいのが、
体力と時間の問題です。

本業を終えたあとに、

がある仕事を選ぶのは、
想像以上にハードルが高い。

副業として選ばれやすいのは、

になりやすく、
店舗型ビジネスはどうしても不利になります。

はなぱぱ

「副業OK＝人が来る」
現場では、この式はほぼ成り立ちません。

深夜帯は「副業向き」に見えて、実は向いていない

一見すると、
深夜帯は副業向きに見えます。

ですが実際には、

といった理由で、
長く続けられる人は限られます。

結果として、
深夜は

「やりたい人がいない」のではなく、
「続けられる人が少ない」

時間帯になってしまいます。

制度と現場のズレが、人手不足を長引かせる

ここまでを整理すると、
副業OK時代でも人手不足が解消されないのは、

こうしたズレが原因です。

はなぱぱ

制度が変わっても、
人の生活リズムは急には変わらない。
ここを無視すると、対策は空回りします。

次は、
それでも「人が集まる店」が存在する理由について、
現場で見えてきた共通点を整理していきます。

それでも「人が集まる店」が存在する理由

ここまで読むと、
「じゃあ、もう人手不足はどうしようもないのか」
と感じたかもしれません。

でも、現場を見ていると、
同じ条件なのに、人が集まる店が確かに存在します。

求人を出していないのに、
人のほうから寄ってくる店。

この違いは、どこにあるのでしょうか。

「働きたい」と言われる店は、普段から見られている

不思議に思うかもしれませんが、

「ここで働けますか？」
「バイト募集していませんか？」

と声をかけられる店は、
たいてい求人を出していない時期です。

これは偶然ではありません。

お客さんとして通う中で、

こうしたものを、
無意識のうちに見られているからです。

小さな安心感が「ここなら働けそう」を作る

人が集まる店に共通しているのは、
特別な制度や派手な取り組みではありません。

むしろ、

こうした小さな安心感の積み重ねです。

求職者は、

「楽そうか」よりも、
「続けられそうか」

を見ています。

はなぱぱ

忙しいかどうかより、
「しんどそうかどうか」を見られている感覚、
現場にいると分かります。

「教え方」と「任せ方」が人の定着を左右する

人が集まる店は、
教え方にも共通点があります。

完璧を求めない代わりに、
安心して失敗できる環境を作っています。

逆に、

「一回で覚えて」
「前も言ったよね」

この空気があると、
人は一気に離れていきます。

「人が集まる店」は、特別なことをしていない

ここまで読むと、
何か特別なノウハウが必要に感じるかもしれません。

でも実際は、
特別なことは何もしていないケースがほとんどです。

やっているのは、

それを、
忙しい時でも崩さない。

これだけで、
店の空気は大きく変わります。

はなぱぱ

人が集まる店は、
「人を集めよう」としていない。
人が残る環境を作っているだけです。

次は最後に、
人手不足をどう捉え、
店舗経営としてどう向き合うかをまとめていきます。

人手不足は「嘆く問題」ではなく「向き合う問題」

ここまで、人手不足について、
いくつかの角度から見てきました。

改めて整理すると、
人手不足は決して

「景気が悪いから」
「若い人が働かないから」

といった、
一言で片付く問題ではありません。

人手不足は「結果」であって「原因」ではない

現場で起きている人手不足は、
ほとんどの場合、
何かの結果として表に出てきた現象です。

これらが積み重なった結果、
「人が集まらない」という形で現れています。

はなぱぱ

人手不足は、
経営のどこかにある“歪み”を教えてくれる
サインだと感じています。

「人がいない」より「なぜ選ばれないか」を考える

人が足りなくなると、
どうしても

「どうやって人を集めるか」

に意識が向きがちです。

でも本当に大事なのは、
その一歩手前。

「なぜ、この店は選ばれていないのか」

この問いを持てるかどうかで、
対策の質は大きく変わります。

時給を上げるのか、
時間帯を分けるのか、
教え方を変えるのか。

答えは、店ごとに違って当然です。

人手不足の時代だからこそ、店の「姿勢」が伝わる

人が足りない時代だからこそ、
店の姿勢は、以前よりもはっきり伝わります。

こうした日常の積み重ねが、
「ここで働きたいかどうか」を決めています。

求人票や条件よりも、
普段の店の空気が、
人を引き寄せる時代です。

はなぱぱ

人が集まる店は、
“人を集める努力”より、
人が残る環境を大切にしています。

この先は「分解して考える」ことが武器になる

人手不足に、
一発で効く特効薬はありません。

だからこそ、

こうした要素を一つずつ分解し、
「変えられる部分」に手を入れていく。

これが、これからの店舗経営において、
一番現実的で、再現性のある方法だと感じています。

人手不足とシフトをテーマ別に整理すると

現場で起きている「人が足りない」「シフトが回らない」問題は、
単に応募が来ないからではなく、
いくつかの構造的な要因が重なって起きています。

シフトが回らない理由

現場で一番最初に表面化するのが、シフトの崩れです。

　→ シフトが回らない本当の理由｜朝は集まるのに夜はいない現場の現実

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深夜帯が埋まらない理由

時給の問題ではなく、働き方そのものが選ばれにくくなっています。

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最低賃金・立地による人の流れ

　→ 最低賃金が低い地域で人が集まらない理由｜県境店舗で見えた現実

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人手不足と定着がつながるポイント

人手不足の問題は、
採用だけで解決するものではありません。

教育や定着の環境をどう作るかによって、
現場の負担は大きく変わってきます。

　→ 人が辞めない店の共通点｜時間帯でまったく違う「定着」の正体

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人が辞めない店の共通点｜時間帯でまったく違う「定着」の正体

まとめ

人手不足は、
店舗経営にとって大きな悩みです。

でも同時に、
店の在り方を見直すチャンスでもあります。

「人がいない」と嘆く前に、
「この店は、どう見られているか」を考える。

そこから始めるだけでも、
次の一手は、きっと見えてきます。

今後は

といったテーマを、掘り下げていく予定です。

同じように悩むオーナー・店長の、
考えるきっかけになれば幸いです。

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はなぱぱ

経営者

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はじめまして、はなぱぱです。 コンビニ経営に携わって13年。 店舗での経験や経営者としての苦労、従業員教育の工夫などをまとめています。 経営者や店舗責任者はもちろん、従業員の方にもわかりやすく役立つ情報を発信していきます。