漏えいの報告の77%は、紙だけ|コンビニで管理が大変な個人情報は、予約票と宅配の伝票——受け渡しまでは、店が預かっている【現役オーナー】
店にある個人情報で、管理がいちばん大変なのは、予約票と宅配の伝票です。収納代行も同じです。どれも、お客様の情報だからです。
ニュースになる漏えいは、ネットからの攻撃が目立ちます。個人情報保護委員会の資料では、不正アクセスによる漏えいの報告が、10月は16日までで830件ありました。9月は、1か月で303件です。
でも、委員会に届いた漏えいの報告を1年分並べると、景色が変わります。漏えいした情報の形は、76.9%が紙だけ。原因は、渡し間違いが48.3%、送り間違いが26.0%で、合わせて4分の3。不正アクセスは9.4%でした。
コンビニの店も、同じだと思います。会員のアプリやネットの仕組みを動かしているのは、店ではありません。店の持ち場は、目の前の紙です。毎日、レジで、たくさんの人の手を通る紙。
予約票は、受け渡しの日まで、店が預かります。済んだら、店には残しません。履歴書やシフト表は、しまっておく。スタッフには、入社のときに、誓約書で約束してもらう。
これから12月にかけて、クリスマスケーキやおせちの予約票が、店に集まってきます。その前に、店の紙の守り方を書いておきます。
- ニュース——ネットからの漏えいの報告が、10月に急に増えた
- 漏えいの報告の77%は、紙だけ
- 管理が大変なのは、予約票と宅配の伝票
- 予約票は、受け渡しまで店が預かる
- 毎日さわる紙と、しまっておけるもの
- 入社のときに、約束してもらう
- 12月の前に、店で確かめること
※漏えいの報告の数字は、個人情報保護委員会の資料(2026年10月28日)と「令和7年度 年次報告」、手法の例は同委員会の個人情報保護法のガイドライン(通則編)、タイムズカーの件はパーク24の発表(2026年10月23日)に基づきます。店の話は、私の店(3店舗)での経験と考えです。2026年11月2日時点の情報です。
第1章:ニュース——ネットからの漏えいの報告が、10月に急に増えた
10月は、半月で830件
個人情報保護委員会が10月28日に出した資料に、不正アクセスによる漏えいの報告の件数が、月ごとに載っています。
| 報告を受けた月(2026年) | 不正アクセスによる漏えいの報告 |
|---|---|
| 4月 | 166件 |
| 5月 | 163件 |
| 6月 | 185件 |
| 7月 | 212件 |
| 8月 | 235件 |
| 9月 | 303件 |
| 10月(16日まで) | 830件 |
※個人情報保護委員会の資料(2026年10月28日)に基づきます。委員会に直接届いた速報の件数で、確報の段階で変わることがあります。
10月は、半月で、9月の1か月分の2.7倍です。4月から10月16日までに漏えいした人数は、延べ約2億6,000万人にのぼります(同)。
免許証の画像が、外へ
大きな例が、カーシェアの「タイムズカー」です。パーク24は10月23日、ウェブのシステムへの不正アクセスで、外部に送られた痕跡がある本人確認書類(運転免許証など)の画像が、約146万件あったと発表しました。画像は暗号化して保管していたとしたうえで、その客には、お見舞いとして3,000円相当の現金か金券を渡すとしています。
店の持ち場は、目の前の紙
こうしたアプリやウェブの仕組みを動かしているのは、コンビニの店ではありません。店の持ち場は、目の前の紙です。そして、委員会に届く報告を1年分並べると、漏れているのは、紙のほうがずっと多いのです。
第2章:漏えいの報告の77%は、紙だけ
1年分を並べる
個人情報保護委員会の「令和7年度 年次報告」(2025年4月〜2026年3月)から、事業者が委員会に出した漏えいの報告を並べます。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 委員会に届いた報告 | 1万3,345件 |
| 漏えいした情報の形 | 紙だけ 76.9%(電子だけ 15.0%) |
| 漏えいした情報の種類 | お客様の情報 83.9% |
| 原因:渡し間違い(誤交付) | 48.3% |
| 原因:送り間違い(誤送付) | 26.0% |
| 原因:不正アクセス | 9.4% |
| 原因:なくした(紛失) | 5.7% |
※個人情報保護委員会「令和7年度 年次報告」の付表に基づきます。原因の割合は、付表の件数(報告した事業者・委託先・不明の合計)から計算しました。
年次報告は、原因として多かったのは、病院や薬局での書類などの渡し間違い、クレジットカードなどの送り間違い、そして不正アクセスだと書いています。1件で漏えいした人数は、1,000人以下が93.6%でした(委任先の省庁を通した報告も含む1万7,139件)。
窓口で、紙が、人の手から漏れる
ニュースで大きく扱われるのは、何百万人分の不正アクセスです。でも、届く報告の4分の3は、渡し間違いと送り間違い。漏えいした情報の8割近くは紙だけで、1件あたりの人数も、ほとんどが1,000人以下です。小さな窓口で、紙が、人の手から漏れています。
コンビニのレジも、紙を受け取って、紙を渡す窓口です。
第3章:管理が大変なのは、予約票と宅配の伝票
お客様の情報だから
店にある個人情報で、いちばん気をつけているのは何か。

予約票と宅配伝票の管理が大変です。お客様の情報ですからね。収納代行も同じです。
| 紙 | 書かれていること(例) | 扱う場面 |
|---|---|---|
| 予約票 | 予約したお客様の名前や電話番号 | 予約を受けるとき、受け渡しのとき |
| 宅配の伝票 | 送る人と届け先の名前、住所、電話番号 | 荷物を受け付けるとき |
| 収納代行の払込票 | 支払う人の名前など | 公共料金や通販の代金などの支払いを受けるとき |
レジで、毎日扱う
コンビニのバイトの記事で、コンビニのバイトが覚えることは、ざっと30種類あると書きました。公共料金などの収納代行も、宅配便の受付も、その中に入っています。どれも、お客様の名前が書かれた紙を、レジで扱う仕事です。収納代行の仕組みは、収納代行の記事で書きました。
レジには、朝も昼も夜も、違う人が立ちます。お客様の名前が書かれた紙は、毎日、たくさんの人の手を通ります。
第4章:予約票は、受け渡しまで店が預かる
受け渡しが済んだら、店に残さない
クリスマスケーキやおせちの予約票は、受け渡しが済んだら、店には残しません。決まった流れで、処分に回しています。

受け渡しまでは店舗保管のため、じゅうぶんな管理が必要ですね。
店が予約票を持っているのは、予約を受けてから、受け渡しが済むまでの間です。その間は、店が責任を持って預かります。
いちばん多く預かるのは、受け渡しの直前
予約は、受け渡しの何週間も前から入ってきます。受け渡しの日が近づくほど、店が預かる予約票は増えていく。いちばん多くの予約票が店にあるのは、受け渡しの直前です。
年末の消費行動の記事で、ホールケーキは「店頭で売るもの」から「予約で取るもの」へ変わってきた、と書きました。予約が増えれば、店が預かる予約票も増えます。
年末商戦のガイドでは、クリスマスケーキやおせちの受け渡しは、ミスが許されない仕事だと書きました。予約票を確かめて、商品の取り違えを防ぐ。その予約票は、お客様の情報でもあります。受け渡しの正確さと、預かっている間の管理。予約票には、2つの気配りが要ります。
第5章:毎日さわる紙と、しまっておけるもの
ほかのものは、しまっておける
予約票や伝票のほかにも、店には個人情報があります。スタッフの履歴書、シフト表や連絡先、防犯カメラの映像などです。

ほかのものは、専従者やオーナーの管理でしまっておくことが多く、頻繁に使うものでもないですからね。油断はできないですがね。
専従者は、オーナーの家族で、店の仕事に専ら従事している人のことです。
| 毎日さわる紙 | しまっておけるもの | |
|---|---|---|
| 例 | 予約票、宅配の伝票、収納代行の払込票 | 履歴書、シフト表やスタッフの連絡先、防犯カメラの映像 |
| 使う頻度 | 毎日 | ときどき |
| さわる人 | レジに立つスタッフ | 専従者やオーナー |
| 守り方 | 持つ期間を短くする。さわる人みんなに約束してもらう | さわる人を絞って、しまっておく |
守り方は、使う頻度で分かれる
しまっておけるものは、さわる人を絞れば守れます。でも、毎日レジで使う紙は、しまっておけません。レジに立つ人が、みんなさわります。だから、守り方が違う。持つ期間を短くすること。さわる人みんなに、約束してもらうこと。
個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)も、手法の例として、書類は施錠できるキャビネットや書庫などに保管すること、捨てるときは焼却、溶解、適切なシュレッダー処理など、元に戻せない方法で行うことを挙げています。
第6章:入社のときに、約束してもらう
誓約書で、持ち出さないと誓ってもらう
毎日さわる紙は、レジに立つ人みんなの手を通ります。だから、さわる人みんなに、約束してもらいます。

入社時の誓約書で、個人情報の持ち出しなどはダメ、という誓いをしてもらっています。
採用・面接の記事で、初日に店のルールを説明すると書きました。個人情報の約束は、その最初のルールのひとつです。防犯の記事では、内部不正は、疑いではなく「不正できない仕組み」で防ぐ、と書きました。個人情報も同じだと思います。疑うのではなく、約束と仕組みで守る。
ガイドラインも、秘密保持の約束を挙げている
個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、従業者の教育の手法の例として、「個人データについての秘密保持に関する事項を就業規則等に盛り込む」ことを挙げています。従業員が100人以下の小さな事業者の例も、同じです。入社時の誓約書は、店の大きさでできる、その形のひとつだと思います。
1回だけ来る人には、紙にさわらない仕事を
スキマバイトの記事で、未経験の人に任せられるのは品出しや掃除で、レジは厳しい、と書きました。予約票も、宅配の伝票も、収納代行も、レジの仕事です。もし1回だけ来る人に手伝ってもらうとしても、任せるのは、お客様の名前が書かれた紙にはさわらない仕事になります。
第7章:12月の前に、店で確かめること
3つの守り方
ここまでを、まとめます。
| 守り方 | 中身 |
|---|---|
| 持つ期間を短くする | 予約票は、受け渡しまで店で預かる。済んだら店に残さず、決まった流れで処分に回す |
| さわる人を絞る | 頻繁に使わないもの(履歴書・シフト表・映像)は、専従者やオーナーがしまっておく |
| 約束してもらう | 毎日さわる人みんなに、入社時の誓約書で、持ち出さないと誓ってもらう |
渡し間違いにも、気をつける
もうひとつあります。委員会に届く報告の原因で、いちばん多いのは渡し間違いでした(48.3%)。レジでも、予約の品や、宅配や収納代行の控えを、お客様に渡す場面はたくさんあります。渡す前に、もう一度、名前を確かめる。取り違えを防ぐ確かめ方は、別のお客様の情報を渡さないための確かめ方でもあります。
油断はできない
いまは11月の初め。予約票は、これから受け渡しの直前まで増えていきます。しまっておけるものは、しまっておく。毎日さわる紙は、短く持って、約束で守る。それでも、油断はできません。
よくある質問(FAQ)
Q1. コンビニの店には、どんな個人情報がありますか?
予約票、宅配の伝票、収納代行の払込票のように、毎日レジで扱う紙があります。ほかに、スタッフの履歴書やシフト表、連絡先、防犯カメラの映像などがあります。
Q2. いちばん管理が大変なのは、どれですか?
私の店では、予約票と宅配の伝票です。収納代行も同じです。どれもお客様の情報で、毎日、レジでたくさんの人の手を通るからです。
Q3. クリスマスケーキやおせちの予約票は、受け渡しのあとどうしていますか?
受け渡しが済んだら、店には残さず、決まった流れで処分に回しています。受け渡しまでは店で保管するので、その間の管理が大切です。
Q4. 履歴書やシフト表は、どう管理していますか?
専従者やオーナーの管理で、しまっておくことが多いです。頻繁に使うものではないので、さわる人を絞れます。それでも、油断はできません。
Q5. スタッフには、何を約束してもらっていますか?
入社時の誓約書で、個人情報の持ち出しなどをしない、という誓いをしてもらっています。
Q6. 個人情報の漏えいは、ネットからが多いのですか?
個人情報保護委員会の「令和7年度 年次報告」では、委員会に届いた事業者の報告1万3,345件のうち、漏えいした情報が紙だけだったものが76.9%でした。原因は、渡し間違いが48.3%、送り間違いが26.0%で、不正アクセスは9.4%です。
Q7. 不正アクセスによる漏えいは、増えていますか?
個人情報保護委員会の資料(2026年10月28日)では、不正アクセスによる漏えいの報告は、4月の166件から9月は303件に増え、10月は16日までで830件でした。4月から10月16日までに漏えいした人数は、延べ約2億6,000万人です。
Q8. 小さな店にも、ガイドラインの例はありますか?
個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、従業員が100人以下の事業者向けにも、手法の例を示しています。秘密保持の約束を就業規則などに盛り込むことや、書類を施錠できるキャビネットなどに保管することは、大きな事業者の例にも、小さな事業者の例にも、同じように入っています。
Q9. 大きな漏えいでは、会社はどう対応していますか?
例として、パーク24は、カーシェアの「タイムズカー」のウェブのシステムへの不正アクセスで、外部に送られた痕跡がある本人確認書類の画像が約146万件あったと発表しました(2026年10月23日)。その客には、お見舞いとして3,000円相当の現金か金券を渡すとしています。
Q10. この記事の情報の出典は?
不正アクセスによる漏えいの報告の件数は、個人情報保護委員会の資料(2026年10月28日)に基づきます。漏えいした情報の形と原因は、同委員会の「令和7年度 年次報告」、手法の例は、同委員会の個人情報保護法のガイドライン(通則編)、タイムズカーの件は、パーク24の発表(2026年10月23日)に基づきます。店で気をつけていることは、私の店(3店舗)での経験と考えです。
まとめ:毎日さわる紙は、短く持って、約束で守る
不正アクセスによる漏えいの報告は、10月は16日までで830件と、急に増えました。それでも、委員会に届いた報告を1年分並べると、漏えいした情報の76.9%は紙だけで、原因の4分の3は渡し間違いと送り間違いです。会員のアプリやネットの仕組みは、店の外にあります。店の持ち場は、目の前の紙です。私の店で管理が大変なのは、予約票と宅配の伝票、それに収納代行。お客様の情報で、毎日、レジでたくさんの人の手を通るからです。予約票は、受け渡しまで店が預かり、済んだら店に残しません。履歴書やシフト表、映像は、専従者やオーナーがしまっておく。そして、毎日さわる人みんなに、入社時の誓約書で約束してもらう。持つ期間を短くする。さわる人を絞る。約束してもらう。12月の受け渡しの前に、この3つを確かめておきたいと思います。それでも、油断はできません。
この記事の要点
- 不正アクセスによる漏えいの報告は、10月は16日までで830件。9月の1か月分(303件)の2.7倍(個人情報保護委員会)
- それでも1年分の報告を並べると、漏えいした情報の76.9%は紙だけ(令和7年度の年次報告)
- 原因は、渡し間違い48.3%、送り間違い26.0%。不正アクセスは9.4%
- 会員のアプリやネットの仕組みは、店の外にある。店の持ち場は、目の前の紙
- 店で管理が大変なのは、予約票と宅配の伝票。収納代行も同じ。お客様の情報だから
- 予約票は、受け渡しまで店で保管。済んだら店に残さず、決まった流れで処分に回す
- いちばん多くの予約票が店にあるのは、受け渡しの直前
- 履歴書やシフト表は、専従者やオーナーの管理でしまっておくことが多い
- 守り方は、使う頻度で分かれる。毎日さわる紙は、持つ期間を短くして、さわる人みんなに約束してもらう
- 入社時の誓約書で、個人情報を持ち出さない誓いをしてもらう。ガイドラインも、秘密保持の約束を挙げている
次のアクション
- [ ] 店にある個人情報を、「毎日さわる紙」と「しまっておけるもの」に分けて書き出す
- [ ] 予約票を、受け渡しまで誰が管理するかを、スタッフと確かめる
- [ ] 受け渡しが済んだ予約票を、店に残さない流れを確かめる
- [ ] 捨てるときは、元に戻せない方法で(ガイドラインの例は焼却・溶解・シュレッダー)
- [ ] 履歴書やシフト表、映像は、さわる人を絞ってしまっておく
- [ ] 入社時の誓約書に、個人情報を持ち出さない約束が入っているかを確かめる
- [ ] 12月の受け渡しの前に、予約の品や控えの渡し間違いを防ぐ確かめ方を、スタッフと話しておく
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参考|公式情報
- 個人情報保護委員会|最近の不正アクセスによる個人データの漏えい等の傾向(参考資料2・2026年10月28日):不正アクセスによる漏えい等の報告(委員会への直接・速報)は、2026年4月166件・9月303件・10月は16日までで830件。4月1日から10月16日までに漏えい等した延べ本人数は約2億6,000万人
- 個人情報保護委員会|令和7年度 年次報告:令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の漏えい等の報告は17,139件(委員会への直接13,345件)。直接の報告では、漏えいした情報の形は紙媒体のみが76.9%、顧客情報が83.9%。原因の内訳は付表2(2)⑤
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ニュースになるのは、何百万人分の不正アクセスです。でも、店の個人情報は、紙の形で、毎日レジを通っています。
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