10月は年金月、11月はない|客数も客単価も前年超えの「絶好調」を信じて11月に積むと、12月に弱気になる——去年と先月を振り返ってから発注する【現役オーナー】
今年の10月は、売上が良く見えます。私の店でも、客単価はもちろん、客数も前年を超えています。先月と比べても、かなり良い。
でも、この「絶好調」には、前提があります。去年の10月は、日照時間が少なく、天気の悪い月でした。 その影響で、売上がだいぶ低かった店が多いと思います。比べる相手が低ければ、今年は良く見える。しかも、今年の9月は長雨でした。先月と比べても、良く見えて当然です。そして、10月は年金の支給月。売上が上がりやすい月です。
去年のことも、先月のことも振り返らずに、「うちの店は絶好調だ!」と思い込んで、11月に商品を突っ込みすぎたらどうなるか。年間の山である12月に、弱気な発注をしなくてはいけなくなるのではないか。私は、そう考えています。
SVから「絶好調だから攻めて行きましょう」と言われて、前提を確かめずにホイホイ発注してしまうのも、危険です。良く見える月の数字を、前提ごと読み解いてから、11月と12月の発注を組む。その方法を書きます。
- 10月は、良く見える——客数も客単価も前年超え
- 前提①:去年の10月は、天気が悪かった
- 前提②:今年の9月は、長雨だった
- 前提③:10月は年金の月、11月はない
- 「絶好調だ」と思い込むと——11月に積みすぎて、12月に弱気になる
- SVの「攻めて行きましょう」に、ホイホイ乗らない
- 前提を差し引いて、11月と12月を組む
※天気は気象庁の「2025年10月の天候」「2025年11月の天候」「2026年9月の天候」、年金の支払日は日本年金機構の案内、統計は日本フランチャイズチェーン協会の月報に基づきます。店の話は、私の店(3店舗)での実感です。2026年10月25日時点の情報です。
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第1章:10月は、良く見える——客数も客単価も前年超え
客数まで、前年を超えた
今年の10月の、私の店の様子です。

実際、私の店でも、客単価はもちろんのことですけど、客数も前年超えしている状況です。前月の実績と比較しても、長雨の影響もあって、今月のほうがかなり良い状況です。
15ヶ月続いた客数減のあとで
9月度の統計の記事で書いたとおり、業界の既存店の客数は、9月まで15ヶ月続けて前年を下回っていました。うちの店の9月の客数も、業界と同じくらいの水準でした。その客数が、10月は前年を超えている。数字だけ見れば、流れが変わったように見えます。
でも、ここで立ち止まりたい。客数が前年を超えたのは、店の力が上がったからなのか。それとも、比べる相手が低かったからなのか。答えは、前提の中にあります。
第2章:前提①:去年の10月は、天気が悪かった
日照時間が「かなり少なかった」去年の10月

去年の10月は、日照時間の少なさや天気の悪さの影響から、売上がだいぶ低かった店が多いと思います。それに伴って、今年の10月の実績が、かなり良くなっていると思います。
気象庁のまとめでは、去年(2025年)の10月は、停滞前線の影響で曇りの日が多く、東日本の太平洋側で、月の日照時間が「かなり少なかった」とされています。下旬には、北日本と東日本で気温もかなり低くなりました。外に出たくなる天気ではなかった月です。
前年比は、去年の天気との比べっこ
前年比は、今年の実力だけを測る数字ではありません。去年の同じ月との比べっこです。去年が悪ければ、今年は普通でも前年を超える。8月度の統計の記事で、当たればラッキーを店の実力に数えない、と書きました。去年の悪天候の反動も、同じです。去年の当たり外れを差し引かないと、今年の実力は見えません。
第3章:前提②:今年の9月は、長雨だった
先月が悪ければ、今月は良く見える
前の月と比べても、10月は良く見えます。今年の9月は、長雨の月だったからです。
長雨の記事に書いたとおり、9月は雨が続き、お客様は雨の止み間に来ていました。気象庁のまとめでも、今年の9月は、東日本の太平洋側で、雨が9月として最も多い月でした。業界の9月の客数は▲3.8%。その翌月の10月が良く見えるのは、ある意味で当然です。
「先月より良い」も、割り引く
先月より良い、というのは、気持ちのいい数字です。でも、先月が雨で沈んでいたなら、今月の伸びには、天気が戻った分が混じっています。9月度の記事で書いた「良く見える月ほど、割り引いて読む」は、前月との比べっこにも当てはまります。
第4章:前提③:10月は年金の月、11月はない
偶数月の15日

しかも今月は、年金の受給日でもあったので、売上が上がりやすい月です。
年金は、偶数月の15日に、前の月までの2か月分がまとめて支払われます(15日が土日祝なら、その前の平日)。今年の10月は、15日の木曜日でした。
| 月 | 年金の支払い | 店の売上への影響 |
|---|---|---|
| 10月 | あり(15日) | 売上が上がりやすい |
| 11月 | なし | 10月と同じ勢いは、出にくい |
| 12月 | あり(15日) | 年間の山に、年金の月が重なる |
※日本年金機構の案内に基づきます。
10月の勢いを、11月にそのまま当てはめない
10月は年金の月で、11月は年金のない月です。だから、10月の売れ方を、そのまま11月の発注に当てはめると、ずれます。年金のある月と、ない月。比べる前に、その違いを頭に入れておく必要があります。
第5章:「絶好調だ」と思い込むと——11月に積みすぎて、12月に弱気になる
いちばん怖いのは、思い込み
前提を3つ並べると、10月が良く見える理由は、店の外にたくさんあります。それを振り返らないと、どうなるか。

去年のことや先月のことを振り返らずに、「うちの店は絶好調だ!」と思い込んで、来月に商品を突っ込みすぎたりすると、年間の山である12月に、弱気な発注をしなくてはいけなくなってしまうんじゃないかと考えています。
11月の積みすぎが、12月を縛る
11月は、年金のない月です。気象庁のまとめでは、去年の11月は、東日本の太平洋側で雨がかなり少なく、日照時間も多い月でした。10月のような反動の追い風は、期待できません。そこに、10月の勢いで商品を積めば、売れ残りと在庫が膨らみます。
| 11月にやること | 起きること | 12月への影響 |
|---|---|---|
| 10月の勢いで積む | 廃棄と在庫が膨らむ | 取り返そうとして、発注が控えめになる |
| 前提を差し引いて組む | 廃棄と在庫が予算の内に収まる | 年間の山に、攻めの余力を残せる |
売変を予算として見る記事で、値引きや廃棄は「1日いくらまで」の予算として管理し、浮いた分をチャレンジに回す、と書きました。11月に予算を使い果たせば、12月にチャレンジする余力は残りません。クリスマスも年末も、年金の月も重なる12月に、守りの発注をすることになる。それが、いちばんもったいない形です。
金曜の夜の勢いと、同じ失敗
発注の判断手順の記事で、新人の頃、金曜の夜の勢いに乗って土曜の弁当を積み、週末のロスで利益を一気に削った話を書きました。「昨日」と「明日の曜日」はセットで見る。月の単位でも、同じです。「今月」と「来月がどんな月か」は、セットで見る。米の記事で書いた、話題に乗って量を積む失敗も、根っこは同じです。
第6章:SVの「攻めて行きましょう」に、ホイホイ乗らない
前提を頭に入れないまま、発注しない

前提条件を頭に入れずに、SVなどから「絶好調だから攻めて行きましょう」なんて言われて、ホイホイ発注してしまうのも危険かなって思います。
SVの言葉を、店の前提で読み替える
SVは、たくさんの店の数字を見ています。前年を超えた店に、攻めようと声をかけるのは、自然なことです。でも、その店の去年の10月の天気や、先月の雨や、年金の月かどうかまで、一緒に考えてくれるとは限りません。前提を知っているのは、店のほうです。
2便化の記事で、配送が変われば「1便あたりの納品量を増やしましょう」と言われるはずだ、と書きました。AI製スイーツの記事では、広告に乗る新商品は、店舗数分の発注で初速が作られる、と書いています。提案そのものが間違いなのではありません。提案を、自分の店の前提で読み替えてから、発注する。それが、加盟店のオーナーの仕事だと思います。
第7章:前提を差し引いて、11月と12月を組む
発注の前に、3つの前提を書き出す
では、どう組めばいいのか。発注の前に、前提を書き出すことです。
| 前提 | 書き出すこと |
|---|---|
| 前年の同じ月 | 去年のその月の天気。悪ければ、今年の前年比は良く見える |
| 先月 | 先月の天気や出来事。悪ければ、今月は良く見える |
| 年金・行事 | 年金の支給月か(偶数月の15日)。クリスマスや年末などの行事 |
10月は、3つともが追い風でした。11月は、年金がなく、反動の追い風も期待できない。12月は、年金の月で、年間の山です。この並びを先に頭に入れてから、11月の発注量を決めます。
11月は控えめに、12月に余力を残す
11月は、10月の勢いではなく、前提を差し引いた数字で組む。12月は、年金とクリスマスと年末が重なる年間の山なので、攻める。そのために、11月に廃棄と在庫の余力を使い切らない。年末商戦の記事や冬の商戦の設計の記事で書いた12月の準備は、11月の発注から始まっています。
そして、答え合わせは、11月20日に発表される業界の10月度の統計でもできます。9月度の記事の見方の表で、客数をいちばん見ると書きました。業界の10月の客数が、どこまで戻ったか。そこから、去年の反動の分を、もう一度確かめるつもりです。
好条件の月ほど、当たり前を当たり前に
こんな時ほど、当たり前のことを当たり前にやる。好条件がそろっている月は、店の状態が悪くても、売上が上がってしまうからです。売場が乱れていても、欠品があっても、数字は前年を超えてしまう。数字の良さが、店の状態の悪さを隠します。
「近いから」以外の理由の記事で、売上が伸びた時期に、忙しさにあぐらをかいて接客と売場が雑になった話を書きました。良い月は、あの失敗の入口でもあります。スーパーの閉店の記事でも、相手の動きに振り回されず、当たり前のことを当たり前にやるだけだと書いています。
だから私は、こんな月ほど、今月の残りの1週間で、冬の売場は大丈夫なのかを再点検します。11月に入れば、冬の売場の本番です。数字が良いうちに、店の状態を整えておく。好条件が去ったあとに残るのは、店の状態のほうだからです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 今年の10月は、なぜ売上が良く見えるのですか?
前提が3つ重なっているからです。去年の10月が日照時間の少ない天気の悪い月で、比べる相手が低かったこと。今年の9月が長雨で、前の月と比べても良く見えること。そして10月が年金の支給月で、売上が上がりやすいことです。私の店でも、10月は客単価も客数も前年を超えています。
Q2. 去年の10月の天気は、どうだったのですか?
気象庁のまとめでは、2025年10月は停滞前線の影響で曇りの日が多く、東日本の太平洋側で月の日照時間が「かなり少なかった」とされています。下旬には、北日本と東日本で気温もかなり低くなりました。
Q3. 前の月と比べて良く見えるのは、なぜですか?
今年の9月が長雨の月だったからです。気象庁のまとめでは、東日本の太平洋側で、雨が9月として最も多い月でした。業界の9月の既存店の客数は▲3.8%でした。先月が沈んでいれば、今月の伸びには、天気が戻った分が混じります。
Q4. 年金の支給日は、売上に関係しますか?
関係すると感じています。年金は、偶数月の15日に、前の月までの2か月分がまとめて支払われます(日本年金機構)。10月と12月は支給月で、11月はありません。10月の売れ方を、そのまま11月に当てはめると、ずれます。
Q5. 10月が良かったので、11月の発注を増やしてもいいですか?
前提を差し引いてから決めるのがいいと思います。10月の勢いのまま11月に商品を積みすぎると、売れ残りと在庫が膨らみます。11月は年金のない月で、10月と同じ追い風があるとは限りません。それに、好条件の月は、店の状態が悪くても売上が上がってしまいます。だからこそ、こういう月ほど当たり前のことを当たり前にやり、月の残りの1週間で冬の売場を再点検しています。
Q6. なぜ、11月に積みすぎると12月に弱気になるのですか?
11月に廃棄と在庫が膨らむと、それを取り返そうとして、12月の発注が控えめになりやすいからです。値引きや廃棄を予算として見るなら、11月に予算を使い果たすと、年間の山の12月にチャレンジする余力が残りません。
Q7. SVから「絶好調だから攻めて行きましょう」と言われたら、どうしますか?
前提を確かめてから決めます。SVはたくさんの店の数字を見ていて、前年を超えた店に攻めようと声をかけるのは自然なことです。でも、店の去年の天気や先月の雨、年金の月かどうかまで一緒に考えてくれるとは限りません。提案を、自分の店の前提で読み替えてから発注するのが大切です。
Q8. 前提は、どうやって確かめればいいですか?
発注の前に、3つを書き出します。前年の同じ月の天気、先月の天気や出来事、そして年金の支給月かどうかと行事です。前年の天気は、気象庁の「月の天候」のまとめで確かめられます。
Q9. 12月の発注は、どう考えればいいですか?
12月は、年金の支給月で、クリスマスと年末が重なる年間の山です。攻める月なので、そのために11月に廃棄と在庫の余力を使い切らないことが大事だと考えています。
Q10. この記事の情報の出典は?
天気は気象庁の「2025年10月の天候」「2025年11月の天候」「2026年9月の天候」、年金の支払日は日本年金機構の案内、客数は日本フランチャイズチェーン協会の「コンビニエンスストア統計調査月報」2026年9月度に基づきます。10月の店の数字、11月と12月の発注の考え方、SVとの付き合い方は、私の店(3店舗)での実感です。
まとめ:良く見える月は、前提ごと読む
今年の10月は、客単価も客数も前年超えで、先月と比べてもかなり良く見えます。でも、その「絶好調」には前提があります。去年の10月は日照時間が少なく、天気の悪い月でした。今年の9月は長雨でした。そして10月は年金の支給月です。前提を振り返らずに「うちの店は絶好調だ!」と思い込み、年金のない11月に商品を突っ込みすぎると、廃棄と在庫が膨らみ、年間の山の12月に弱気な発注をしなくてはいけなくなるかもしれない。SVから「絶好調だから攻めて行きましょう」と言われても、前提を頭に入れずにホイホイ発注しない。前年の同じ月、先月、年金と行事。発注の前にこの3つを書き出し、11月は前提を差し引いた数字で組み、12月に攻める余力を残す。そして、好条件の月は、店の状態が悪くても売上が上がってしまう。だからこそ、当たり前のことを当たり前にやり、月の残りの1週間で冬の売場を再点検する。良く見える月ほど、前提ごと読む。それが、年間の山を守るいちばんの方法だと思います。
この記事の要点
- 今年の10月は、客単価も客数も前年超え。先月と比べてもかなり良い
- 前提①:去年の10月は、東日本の太平洋側で日照時間が「かなり少なかった」(気象庁)
- 前年比は、去年の天気との比べっこ。去年が悪ければ、今年は普通でも前年を超える
- 前提②:今年の9月は長雨(業界の客数▲3.8%)。先月が沈めば、今月は良く見える
- 前提③:年金は偶数月の15日。10月と12月は支給月、11月はない
- 前提を振り返らず「絶好調だ」と思い込み11月に積みすぎると、廃棄と在庫が膨らみ、12月に弱気な発注をすることになる
- SVの「絶好調だから攻めて行きましょう」は、店の前提で読み替えてから発注する
- 発注の前に、前年の同じ月・先月・年金と行事の3つを書き出す
- 11月は前提を差し引いて組み、12月に攻める余力を残す
- 好条件の月は、店の状態が悪くても売上が上がる。だから当たり前を当たり前に、残りの1週間で冬の売場を再点検する
次のアクション
- [ ] 今年の10月の前年比と前月比を、去年の10月と今年の9月の天気と並べて書き出す
- [ ] 気象庁の「月の天候」で、去年の11月と12月の天気を確かめておく
- [ ] 年金の支給月(偶数月の15日)を、発注のカレンダーに書き込む
- [ ] 11月の発注量は、10月の勢いではなく、前提を差し引いた数字で決める
- [ ] 11月の廃棄と在庫が、予算の内に収まっているかを週ごとに確かめる
- [ ] 今月の残りの1週間で、冬の売場が整っているかを再点検する
- [ ] SVの提案は、店の前提(前年の天気・先月・年金)と照らしてから受け止める
- [ ] 11月20日の業界の10月度の発表で、客数の戻り方を確かめる
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参考|公式情報
- 気象庁|2025年10月の天候:日照時間は、停滞前線の影響を受けやすく曇りの日が多かった東日本太平洋側でかなり少なかった。北・東日本は月の半ば以降の寒気で、下旬の旬平均気温がかなり低くなった(今年の10月の比べる相手になる、去年の10月)
- 気象庁|2026年9月の天候:東日本太平洋側は月降水量が平年の236%で9月として1位の多雨、月間日照時間は平年の46%で9月として1位の寡照(10月の前月比の比べる相手になる、今年の9月)
- 日本フランチャイズチェーン協会|コンビニエンスストア統計データ:コンビニエンスストア統計調査月報の一覧。2026年9月度(10月20日発表)は来店客数▲3.8%で15ヶ月連続のマイナス。発表日は基本的に毎月20日
- 日本年金機構|年金はいつ支払われますか。:年金は原則年6回に分けて偶数月の15日に支払われ、15日が土日または祝日のときはその直前の平日。各支払月には、原則その前月までの2カ月分が支払われる
- 気象庁|2025年11月の天候:東・西日本は移動性高気圧に覆われやすく、東日本太平洋側は月降水量がかなり少なく、月間日照時間は多かった(今年の11月の比べる相手になる、去年の11月)
10月の数字は、気持ちのいい数字です。客単価だけでなく、客数まで前年を超えました。
でも、去年の10月は曇りの多い月で、今年の9月は雨の月で、10月は年金の月でした。良く見える理由の多くは、店の外にあります。
だから、喜ぶのは少しにして、前提を書き出す。売場を見直す。11月は落ち着いて組み、12月に力を残す。年間の山を、弱気で迎えないために。

