コンビニ8月は+0.3%、客数は14ヶ月連続減|プラスを作ったのはクーポンとたばこ——「当たればラッキー」を、店の実力に数えない【現役オーナー】
9月24日14時、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の8月度統計が発表されました。既存店の売上高は+0.3%で、2ヶ月連続のプラスです。
先月の記事(7月度の答え合わせ)で、私は2つの問いを立てていました。日配食品のマイナスが2ヶ月続くか。そして客単価の伸びと客数の落ち幅の「差」が、開くか縮むか。答えはこうです。日配は+0.02%で、ぎりぎりマイナスを免れました。差は+0.8ポイントから+0.3ポイントへ、縮みました。
では、+0.3%のプラスは何でできていたのか。協会の説明は、こうです。「今月はフェア・クーポン配布をはじめとする販促施策が奏功したこと等により、全店・既存店ともに売上高が前年を上回る結果となった」。好調だったのは、揚げ物、日用品、玩具、たばこ。
うちの店でも、見えていたのは似た景色でした。夏休みの親子の来店。値上げ前のたばこ。ある店では、ゴルフバッグの宅配。どれも、ありがたい当たりです。でも、当たりは毎月来るとは限りません。当たればラッキー。でも、計算に入れると、店の判断がブレる——今回、自分の店を振り返って、いちばん強く思ったことです。
そしてもうひとつ。当たりは、逆向きにも効きます。加工食品は▲2.1%と沈みましたが、比べる相手の去年の8月は、1898年の統計開始以来、8月として2位タイの暑さでした。去年の当たりは、今年のハズレに見える。
月次定点観測の第3回は、当たりとベースラインを分けて読みます。そのうえで、当たりを全部除いたときに残るもの——客数の減少に、店はどう向き合うかを考えます。
- 答え合わせ——日配は横ばいで踏みとどまり、差は0.3ポイントまで縮んだ
- 8月のプラスは、「当たり」でできていた
- 当たればラッキーを、計算に入れない——フェア・クーポンと、ゴルフバッグ
- 当たりを除くと、何が残るか——去年の暑さと、離陸前の米飯
- たばこの前借り——9月は良く見え、10月は悪く見える
- 客数減に、どう向き合うか——本部の試みと、自店の施策
※統計はJFAコンビニエンスストア統計調査月報2026年8月度(9月24日発表)、気象は気象庁の月ごとの天候のまとめ(2025年・2026年)と、全国の月平均・季節平均気温の統計に基づきます。構成比と前年比を掛けた寄与の数字は私の概算です。自店の観察は私の店(3店舗)での実感で、店ごとに動きはばらばらです。2026年9月25日時点の情報です。
第1章:答え合わせ——日配は横ばいで踏みとどまり、差は0.3ポイントまで縮んだ
数字の確認
| 指標(既存店・前年同月比) | 6月 | 7月 | 8月 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | ▲0.1% | +0.7% | +0.3% | 2ヶ月連続プラス(約1兆364億円) |
| 来店客数 | ▲3.4% | ▲1.5% | ▲1.7% | 14ヶ月連続マイナス |
| 平均客単価 | +3.4% | +2.3% | +2.0% | 768.8円・20ヶ月連続プラス。伸びは2ヶ月連続で鈍化 |
| 差(単価の伸びから客数の落ち幅を引いたもの) | 0.0 | +0.8 | +0.3 | 売上高の前年比とほぼ一致 |
全店ベースでも、売上高は+0.5%で18ヶ月連続のプラス、来店客数は▲1.5%で3ヶ月連続のマイナスでした。店舗数は56,189店です。
問い①——日配は、マイナスを免れた。でも、戻ってはいない
日配食品(弁当・おにぎり・カウンター商材・パン・惣菜)は、7月の▲0.2%から+0.02%へ。2ヶ月連続のマイナスは免れました。ただ、+0.02%は横ばいです。戻ったとは言えません。
しかも協会は、好調な品目として揚げ物を挙げています。揚げ物は、日配の中のカウンター商材です。揚げ物が好調で、日配全体が横ばい——ということは、揚げ物以外の日配は、合わせるとマイナスだった可能性が高い。この中身は、第4章で自店の米飯と並べます。
問い②——差は、縮んだ
客単価の伸びは+3.4%(6月)→+2.3%(7月)→+2.0%(8月)。来店客数の落ち幅は▲1.5%→▲1.7%。差は+0.8ポイントから+0.3ポイントへ縮みました。
先月、こう書きました。客単価の伸びが、客数の落ち幅を下回った月——それが、次の「16ヶ月ぶり」になる。その線まで、残りは0.3ポイントです。
ひとつ、面白いことがあります。8月の客単価は768.8円で、金額としては7月の755.7円より高い。それなのに、伸び率は細っている。理由は簡単で、去年の8月(753.6円)が、すでに高かったからです。値上げで単価が上がった月を、1年後にもう一度超えるのは、年々難しくなる。客単価で客数減を支える時代の終わりで書いた構図は、今月も1ヶ月分、前に進みました。
第2章:8月のプラスは、「当たり」でできていた
非食品を除けば、▲0.7%前後
商品構成から、何がプラスを作ったのかを見ます。
| 区分(既存店) | 構成比 | 7月 | 8月 | 寄与(概算) |
|---|---|---|---|---|
| 日配食品 | 35.3% | ▲0.2% | +0.02% | ほぼ0 |
| 加工食品 | 28.4% | ▲1.4% | ▲2.1% | 約▲0.6ポイント |
| 非食品 | 32.0% | +3.2% | +3.4% | 約+1.1ポイント |
| サービス | 4.3% | +4.8% | ▲3.0% | 約▲0.1ポイント |
寄与は、構成比と前年比を掛けた私の概算です。それでも、形ははっきりしています。+0.3%のプラスは、非食品の約+1.1ポイントが作った。非食品がなければ、既存店売上は▲0.7%前後だった計算です。
非食品は、たばこ・日用品・玩具など。協会の挙げた好調品目のうち、揚げ物を除く3つと、そのまま重なります。
協会の説明——「販促施策が奏功」
では、非食品はなぜ伸びたのか。協会の説明は「フェア・クーポン配布をはじめとする販促施策が奏功」でした。7月のプラスを作ったのは、予報にない豪雨で売れた傘と、トレカの入荷と、推し活キャンペーンのヒットでした。8月は、販促。2ヶ月続けて、プラスを作ったのは本業の食品ではなく、その月の当たりです。
うちの店で見えた当たり——夏休みと、たばこ
うちの3店舗は、客数も客単価も、店ごとにばらばらでした。共通していたのは、「7月より8月のほうが、少し良かった」くらいです。
その理由として目についたのが、夏休みでした。子どもだけの来店、子ども連れの来店。そして、毎日子どものご飯を用意するのが大変になった親御さんの来店。給食のない夏休みに、昼ごはんを毎日作るのは、本当に大変です。夏休みは毎年あるので、前年比でどこまで効いたのかは分かりません。でも、8月の店で目についたのは、これでした。

客数も客単価も、加工食品も、各店さまざまな動きです。各店に共通しているのは、7月より8月のほうが若干良い、という程度ですね。子どもが夏休みの影響か、子どもの来店や子ども連れの来店、毎日子どものご飯の用意が大変になった親御さんの来店などが多かったような気がします。
もうひとつは、たばこです。10月の値上げを前に、うちでは全店で声かけをして、予約を受け、早めの買いだめもあって、8月の時点で前年を超えました。これは第5章で詳しく書きます。
第3章:当たればラッキーを、計算に入れない——フェア・クーポンと、ゴルフバッグ
何が来るかは、店が決められない
協会が「奏功」と書いたフェアやクーポン。店の実感を言えば、効くかどうかは対象商品次第です。しかも、月に何回あるかはチェーンによって違うし、同じチェーンでも月ごとに回数が違う。良い対象商品が来る月もあれば、来ない月もある。
当たれば、ラッキーです。でも、毎回毎回、良いものが来て当たるとは限らない。だから、計算に入れてしまうと、店の状況判断がブレる。

フェアやクーポンは、対象商品次第な面もありますし、チェーンによって月間の回数も違うし、自チェーンでも月ごとに回数に差があります。当たればラッキーですけど、毎回毎回良いものが来て当たるとは限らないので、計算に入れてしまうと店舗の状況判断がブレるんです。サービスも同じで、極端に良い店と、統計どおりの店に分かれました。良かった店は、ゴルフバッグの宅配が多かった印象です。
ブレる、とはどういうことか
具体的に書きます。クーポンが当たった月は、売上が良く見えます。その数字をもとに翌月の発注を組めば、クーポンのない月に廃棄が出る。人の配置を組めば、手が余る。逆に、クーポンが外れた月の数字で「うちの店は弱った」と判断すれば、要らない手を打つ。当たりを実力に数えると、上にも下にも、判断を間違えるのです。
7月度の記事で、豪雨の日やトレカの入荷日に印をつけて、実力のベースラインと分けて記録すると書きました。フェアとクーポンも同じです。実施した期間と対象商品を、売上の記録に書き込んでおく。翌月の判断は、印のない数字で行う。
以前、「1本買うと1本無料」のクーポンの原資をSVに聞いたことがあります。答えはメーカー協賛でした(ナイキの記事)。メーカーの都合と、本部の都合と、店の都合は、必ずしも一致しません。来月も同じ当たりが来る保証は、どこにもないのです。
ゴルフバッグは、店を選ぶ
サービス(宅配便・チケット・プリペイドなど)は、業界全体で▲3.0%でした。うちの3店舗は、極端に良い店と、統計どおりの店に分かれました。良かった店は、ゴルフバッグの宅配が多かった。
これも、当たりの一種です。ゴルフバッグを送るお客様がいる立地かどうかで、決まる。店の努力で増やせる種類の数字ではありません。業界平均の▲3.0%は、当たった店と当たらなかった店の平均です。自店の数字を業界と比べるときは、その月の当たりがどこにあったかを、先に確かめる必要があります。
第4章:当たりを除くと、何が残るか——去年の暑さと、離陸前の米飯
去年の当たりは、今年のハズレに見える
加工食品(菓子・ソフトドリンク・酒・アイス・冷凍食品)は、▲1.4%から▲2.1%へ沈みました。今年の夏も暑く、6〜8月の平均気温は統計開始以来5番目の高さでした。それなのに、ドリンクやアイスを含むカテゴリーが2%を超えるマイナス。一見、弱く見えます。
でも、比べる相手を確かめると、景色が変わります。気象庁によると、去年(2025年)の8月は、全国の平均気温が平年より1.84℃高く、1898年の統計開始以来、8月として2位タイの暑さでした。北・東・西日本とも「かなり高かった」。一方、今年の8月は、西日本が「かなり高かった」、北日本が「高かった」、東日本と沖縄・奄美は「平年並」でした。気象庁の日本の月平均気温で全国の平均を比べると、今年の8月は平年より0.95℃高く、8月としては7番目。去年の1.84℃の、およそ半分です。
つまり今年の8月は、記録的に暑かった去年の8月と比べられています。ドリンクとアイスには、去年の暑さという当たりの反動が混じっている。去年の当たりは、今年のハズレに見えるのです。
ただし、天気ですべてを説明するのは、6月にやって外しました(6月度の記事で「35.7度」を大きく見積もりすぎた)。加工食品には菓子も酒も冷凍食品も入っていて、天気だけで動くカテゴリーではありません。だからここでは、▲2.1%を割り引いて見る、までにしておきます。
米飯は、まだ離陸前
割り引けないのが、米飯です。第1章で書いたとおり、揚げ物が好調なのに日配全体は横ばい。うちの店の実感でも、米飯はまだ離陸前です。お米の値上がりで受けたダメージ——お客様の離れ、おにぎり離れ——を、まだ吸収しきれていません。米の値上げでおにぎりの販売数が25%落ちた、あの穴は、8月の時点では埋まっていない。

米飯は、まだ離陸前のような状況かなと思います。価格の上昇によるダメージ——客離れや、おにぎり離れ——を吸収するには至っていません。今後も価格の低下で販売数は伸びるかもしれませんが、その分、個数を販売しなくてはいけないので、苦しい状況は続きそうです。
値下げは、個数で取り返すしかない
8月は、まだ値下げの前でした。大手3社のおにぎり値下げは9月8日から順に始まり、29日で3社が出揃います(おにぎり値下げの記事)。あの記事で書いたとおり、10円、20円はお客様に届く。1個が2個になるかもしれない。その期待は、いまも持っています。
でも、算数は厳しい。モデルで見ます。1個200円のおにぎりが10円下がって190円になったら、売上を同じに保つには、個数を約5%増やさなければなりません。値入率が同じなら、1個あたりの粗利も同じ割合で減るので、粗利を守るにも同じだけの個数が要る。値下げで販売数が戻っても、戻った分は、値下げの穴埋めに消えていく。離陸しても、しばらくは低空飛行です。
だから、米飯の答え合わせは、売上ではなく個数で見ます。売上が横ばいでも、個数が増えていれば、それは離陸です。JFAの統計に個数は出ないので、ここは自店の数字で追うしかありません。
第5章:たばこの前借り——9月は良く見え、10月は悪く見える
声かけで取った、前年超え
10月1日、加熱式を中心にたばこが値上がりします。うちの店は、値上げの記事を自分で書いたこともあって、全店で声かけをし、予約を受けてきました。早めの買いだめもあって、たばこは8月の時点で前年を超え、9月は前年から15%以上の伸びになっています(9月25日時点)。

たばこは、自分でも記事にしていることもあって、全店で声かけをしたりしています。予約活動や早い段階での買いだめの影響で、前年超えしている状況です。9月は15%以上の伸びですね。
前借りは、翌月に返す
ただし、この伸びは前借りです。値上げの記事に書いたとおり、直前月には買いだめの山ができ、当月には、買いだめした方が来なくなって谷ができる。3月と4月にも、同じ山と谷がありました。9月の山の分だけ、10月の谷は深くなります。
これは、統計の読み方にそのまま効きます。
次回、9月度(10月20日発表)の見方
予測を当てにいくのではなく、見方を先に書いておきます。
| 指標 | 9月度(10月20日発表)の見方 |
|---|---|
| 非食品 | たばこの前借りで膨らむはず。割り引く |
| 客単価 | カートンのまとめ買いで押し上げられるはず。差が開いても、割り引く |
| 客数 | 夏休みの来店がなくなった9月の、素の数字。いちばん見る |
| 加工食品 | 去年の9月も、北・東・西日本と沖縄・奄美のすべてで「かなり高い」気温だった。去年の暑さと並べて見る |
| 日配 | おにぎりの値下げが9月8日から順に始まった。売上より個数(自店で) |
そして、その次の10月度(11月発表)は、逆になります。たばこの谷で、非食品も客単価も悪く見えるはずです。カートンを買った方は、しばらく来店の間隔が空くので、客数にも少し下押しが出るかもしれません。9月度は良く見え、10月度は悪く見える。どちらも、実力ではありません。
第6章:客数減に、どう向き合うか——本部の試みと、自店の施策
当たりを全部除いたら、残るのは客数
ここまで、当たりを一つずつ除いてきました。販促、夏休み、ゴルフバッグ、たばこの前借り。反対向きには、去年の暑さ。全部を除いたとき、最後に残るのは、来店客数が14ヶ月続けて前年を下回っているという事実です。差の0.3ポイントは、その事実の上に、当たりで積んだ数字にすぎません。
本部の試みは、店が決められない
本部も、いろいろな試みをしています。フェアやクーポン。大手では、朝のセット割で客数を取りに行く動きも始まりました。どれも、ありがたい。全店の底上げになります。
ただ、本部の試みは、いつ、何が来るかを店が決められません。当たる月もあれば、外れる月もある。だから、第3章で書いたとおり、計算には入れられない。計算に入れられるのは、自店で決めて、自店で続けられる施策だけです。

客数減にどのように向き合っていくかが課題ですね。本部側もいろいろな試みをしていますが、生き残っていきたいのであれば、自店で独自に施策を打つなどして対応していかないと、どうにもならない状況な気がしています。
自店で決めて、続けられるもの
このブログで書いてきた中から、自店で決めて続けられるものを並べておきます。
- 声かけ:たばこの予約がそうでした。取れる当たりを、取りに行く。ただし前借りは、翌月に返す前提で(たばこの記事)
- 自店負担の値引き:種類を絞って、計算しやすい価格で。廃棄が減り、1〜2週間はリピートが続く(朝のセット割の記事)
- 入口を入ってすぐの棚:目的買いで来た人を、通う客に変える場所(食品消費税の記事)
- 用事を一つずつ足す:削られているのは単価ではなく回数。値段では戻らない回数を、用事で戻す(節約の記事)
どれも、効いたかどうかは客数で見ます。単価は当たりで動くけれど、回数は、当たりでは動きにくい。自分で操作できる数字だけが、最終利益になると書きました。客数は、すぐには動かせない数字です。でも、声かけや棚や用事は、自分で操作できる。操作できるものを動かして、動かせない数字の変化を待つ。
答え合わせの約束
次回、9月度の発表は10月20日(火)14時です。見るのは、第5章の表のとおり。いちばんは客数です。非食品と客単価は、たばこの前借りの分を割り引いて見ます。答え合わせは、また必ずやります。外れても、やります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年8月のコンビニ統計の要点は?
JFA統計(9月24日発表)で、既存店売上高は+0.3%(約1兆364億円)と2ヶ月連続のプラス。来店客数は▲1.7%で14ヶ月連続マイナス、平均客単価は768.8円で+2.0%と20ヶ月連続プラスでした。商品別では日配食品+0.02%、加工食品▲2.1%、非食品+3.4%、サービス▲3.0%。協会は、フェア・クーポン配布をはじめとする販促施策が奏功したと説明し、揚げ物・日用品・玩具・たばこを好調品目に挙げています。
Q2. 7月度の記事で立てた2つの問いの答えは?
①日配食品のマイナスが2ヶ月続くか——+0.02%で、ぎりぎり免れました。ただし横ばいで、戻ったとは言えません。②客単価の伸びと客数の落ち幅の差が開くか縮むか——+0.8ポイントから+0.3ポイントへ縮みました。客単価の伸びが客数の落ち幅を下回れば売上は前年割れになるので、その線まで残り0.3ポイントです。
Q3. 8月のプラスは、何で作られたのですか?
非食品です。構成比と前年比を掛けた私の概算では、非食品の寄与が約+1.1ポイントで、これがなければ既存店売上は▲0.7%前後でした。協会は販促施策の奏功を挙げ、好調品目は揚げ物・日用品・玩具・たばこ。私の店では、夏休みの親子の来店、値上げ前のたばこ、ある店ではゴルフバッグの宅配が目立ちました。いずれも、毎月来るとは限らない「当たり」です。
Q4. フェアやクーポンの効果は、どう扱えばいいですか?
計算に入れないことです。効くかどうかは対象商品次第で、月に何回あるかもチェーンや月によって違います。当たった月の数字で翌月の発注や人員を組むと、当たらない月に廃棄や人の余りが出ます。実施した期間と対象商品を売上の記録に書き込み、翌月の判断は、印のない数字で行うのがおすすめです。
Q5. 暑い夏なのに、なぜ加工食品(ドリンク・アイス)が前年を下回ったのですか?
比べる相手の去年の8月が、記録的に暑かったからだと考えています。気象庁によると、2025年8月の全国の平均気温は平年より1.84℃高く、8月として1898年の統計開始以来2位タイ。今年の8月は西日本が「かなり高かった」一方、東日本と沖縄・奄美は「平年並」でした。全国の平均では、今年の8月は平年より0.95℃高く8月として7番目で、去年のおよそ半分です。ただし加工食品には菓子・酒・冷凍食品も入っていて天気だけでは説明できないので、▲2.1%は割り引いて見る、というのが私の読み方です。
Q6. おにぎり・米飯は、なぜ戻らないのですか?
お米の値上がりで受けたお客様の離れ、おにぎり離れを、まだ吸収しきれていないからです。私の店の実感では、米飯はまだ離陸前。大手3社の値下げは9月8日から順に始まり29日で出揃いますが、1個200円が190円になれば、売上を保つには個数を約5%増やす必要があります。販売数が戻っても値下げの穴埋めに消えるので、答え合わせは売上ではなく個数で見ます。
Q7. たばこの値上げ前の買いだめは、統計にどう出ますか?
9月度は良く見え、10月度は悪く見えるはずです。私の店では声かけと予約で8月から前年を超え、9月は前年から15%以上の伸び(9月25日時点)。直前月に買いだめの山ができ、当月は買いだめした方が来なくなって谷ができます。9月度の非食品と客単価はたばこで膨らむので割り引き、10月度はその逆を割り引いて見ます。
Q8. 「差」とは何ですか?なぜ大事なのですか?
客単価の伸びから客数の落ち幅を引いたもので、既存店売上高の前年比とほぼ一致します。6月は0.0(売上▲0.1%)、7月は+0.8ポイント、8月は+0.3ポイント。この差がマイナスになった月が、売上の前年割れの月です。客単価の伸びが細り続けているので、差は、単価で客数減を埋める余白の残りを示しています。
Q9. 客数の減少に、店はどう向き合えばいいですか?
本部の販促は、いつ何が来るかを店が決められないので、計算に入れられません。計算に入れられるのは、自店で決めて続けられる施策です。声かけ、自店負担の値引き、入口すぐの棚、用事を一つずつ足すこと。効いたかどうかは、当たりで動く単価ではなく、回数である客数で見ます。
Q10. 次の統計はいつですか?この記事の出典は?
9月度は2026年10月20日(火)14時に発表されます。この記事の統計はJFAコンビニエンスストア統計調査月報2026年8月度(9月24日発表)、気象は気象庁の2025年・2026年の月ごとの天候のまとめと、全国の月平均・季節平均気温の統計、おにぎり値下げの日程は各社の発表を伝えた報道に基づきます。寄与の数字は私の概算、自店の観察は私の店(3店舗)での実感です。月次定点観測の第3回で、次回も答え合わせを行います。
まとめ:当たりを除いて、残ったものを見る
8月のコンビニ既存店売上は+0.3%で2ヶ月連続のプラス。でも来店客数は▲1.7%で14ヶ月連続のマイナス、客単価の伸びは+2.0%まで細り、差は+0.8から+0.3ポイントに縮みました。日配は+0.02%でマイナスを免れたものの、横ばいです。プラスを作ったのは非食品で、私の概算では寄与が約+1.1ポイント、なければ▲0.7%前後。協会の説明は「フェア・クーポン配布をはじめとする販促施策が奏功」。うちの店でも、夏休みの親子、値上げ前のたばこ、ゴルフバッグの宅配と、見えていたのは当たりでした。当たればラッキー。でも、計算に入れると、店の判断がブレる。反対に、加工食品の▲2.1%には、記録的に暑かった去年の8月の反動が混じっています。去年の当たりは、今年のハズレに見える。当たりを除くと、米飯はまだ離陸前で、値下げの分は個数で取り返すしかない。たばこの前借りで、9月度は良く見え、10月度は悪く見えるはずです。全部を除いて最後に残るのは、客数が14ヶ月続けて減っているという事実。本部の試みは店が決められないので、計算には入れられない。計算に入れられるのは、自店で決めて、続けられる施策だけです。
この記事の要点
- 8月の既存店売上は+0.3%(2ヶ月連続プラス)、客数▲1.7%(14ヶ月連続マイナス)、客単価+2.0%(768.8円)
- 問いの答え=日配は+0.02%でマイナスを免れた(ただし横ばい)、差は+0.8→+0.3ポイントに縮んだ
- プラスを作ったのは非食品(寄与約+1.1ポイント・概算)。なければ▲0.7%前後
- 協会の説明は「販促施策が奏功」。2ヶ月続けて、プラスは本業の食品ではなく、その月の当たりが作った
- フェアやクーポンは対象商品次第、回数もチェーンや月で違う=当たればラッキー、計算に入れると判断がブレる
- サービス▲3.0%は、当たった店と当たらなかった店の平均(うちの良かった店はゴルフバッグの宅配)
- 加工食品▲2.1%には、去年の8月(全国+1.84℃・8月として2位タイ。今年は+0.95℃で7番目)の反動が混じる=去年の当たりは今年のハズレに見える
- 米飯はまだ離陸前。値下げの分は個数で取り返すしかない=答え合わせは売上より個数で
- たばこは声かけと予約で9月+15%以上=前借り。9月度は良く見え、10月度は悪く見える
- 本部の試みは店が決められない=計算に入れられるのは、自店で決めて続けられる施策だけ。効果は客数で見る
次のアクション
- [ ] 8月の自店の売上に、当たり(フェア・クーポン・たばこの前借り・夏休み・宅配便など)の印をつける
- [ ] 当たりを除いたベースラインを書き出し、9月の発注と人員はその数字で組む
- [ ] 加工食品の前年比は、去年の同じ月の気温と並べて見る
- [ ] 米飯は、売上ではなく個数で週ごとに記録する(値下げ後に離陸したかを見る)
- [ ] たばこの9月の伸びを記録し、10月の谷の深さと並べて、前借りの総量を知る
- [ ] 自店で決めて続けられる施策を1つ選び、効果を客数で追う
- [ ] 10月20日(火)14時の9月度発表をカレンダーに入れる
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参考|公式情報
- 日本フランチャイズチェーン協会|コンビニエンスストア統計データ:2026年8月度(9月24日発表)の月報を含む一次情報。月報のPDFはこのページから開く
- 気象庁|2025年8月の天候:比べる相手の去年8月は平年より+1.84℃、8月として2位タイの高温
- 気象庁|2026年8月の天候:今年8月の気温は西日本でかなり高く、地域によっては平年並
- 気象庁|日本の季節平均気温(夏):2026年夏(6〜8月)は+1.02℃で、1898年の統計開始以降5番目の高さ
- 気象庁|2025年9月の天候:次回9月度の比べる相手=去年9月の気温は全国的にかなり高かった
当たりの月は、うれしい。クーポンが当たって、夏休みの親子が来て、たばこの予約で電話が鳴る。レジの数字が、前年を超えていく。
でも、当たりは来月の約束ではありません。来月の売場を決めるのは、当たりを除いた、静かな数字のほうです。
8月、その静かな数字は、14ヶ月目の客数減でした。
だから、当たりに感謝して、当たりを数えない。声をかけて、棚を変えて、用事を一つ足して、来月の客数を待つ。10月20日、また答え合わせをします。

