37日の雨で売れたのは、傘ではなく缶詰だった|レタス2.4倍でもコンビニは動かない——長雨は客を消さず、買い置きに変える【現役オーナー】
東京都心で、37日連続の雨が降りました。8月27日から10月2日まで、毎日です。統計を取り始めてから、いちばん長い記録だそうです。9月の東日本の太平洋側は、日照時間が平年の46%しかなく、9月としては統計開始以来もっとも少なくなりました。
畑も傷みました。長野のレタスは小玉になり、後に続く産地は大雨で浸水した。東京市場のレタス類の卸値は、前年の2.4倍。異常気象がインフレを加速させている、と日本経済新聞は伝えています。
では、その9月、コンビニのレジでは何が起きていたのか。振り返ると、意外な数字が並んでいました。うちの店で前年を大きく超えたのは、缶詰(125%)、米(135%)、カップ麺(105%)。雨の日に出かけなくて済むように、家に置いておくものです。
そして、売れなかったものもあります。傘です。
- ニュース——37日連続の雨と、レタス2.4倍
- 長雨で売れたのは、缶詰と米とカップ麺——買い置きに変わった客
- 傘は、長雨では売れない
- 宅配は、雨がやむと一気に落ちた
- レタス2.4倍は、コンビニまで来なかった——代わりがきく値上がり
- 通常営業でいい——高くても要るものは売れ、代わりがきくものは発注を減らす
※気象のデータは気象庁の「2026年9月の天候」と報道、野菜と物価の数字は2026年10月の日本経済新聞の報道に基づきます。店の数字は私の店の9月の前年比です。2026年10月7日時点の情報です。
第1章:ニュース——37日連続の雨と、レタス2.4倍
記録的な長雨
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 東京都心の連続降水 | 8月27日から10月2日まで37日間。統計開始以来もっとも長い(10月3日に途切れた) |
| 東日本太平洋側の9月の雨 | 9月として1946年の統計開始以来もっとも多い |
| 東日本太平洋側の9月の日照 | 平年の46%。9月として統計開始以来もっとも少ない |
| 9月の気温 | 北日本・東日本は平年並 |
| 台風 | 上旬に台風24号と線状降水帯、下旬に台風25号で関東甲信の大雨、下旬後半に台風26号 |
(気象庁「2026年9月の天候」、報道)
野菜と物価
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| レタス | 東京市場の卸値は前年の2.4倍(9月下旬)。小売価格も5割高(農林水産省の調査・報道) |
| 産地リレー | 長野のレタスは小玉に、後に続く産地は大雨で浸水 |
| 都区部の5年の値上がり | 物価全体は13.6%、生鮮食品は23.5%、生鮮以外の食料は28.8%(報道) |
身近な品目ほど、値上がりが大きい。食費の割合が44年ぶりの高さになっているのも、この流れの中にあります。
第2章:長雨で売れたのは、缶詰と米とカップ麺——買い置きに変わった客
前年を超えたもの
9月のうちの店の数字を見ると、客数は、これまでの流れどおりに前年を下回っていました。雨でとくに大きく減ったわけではありません。そのぶん客単価がしっかり伸びた。10月のたばこの値上げを前にしたまとめ買いも、客単価を押し上げていたはずです。そしてトータルでは、前年を超えました。
カテゴリーで目立ったのは、これです。
| カテゴリー | 前年比 |
|---|---|
| 米 | 135% |
| 缶詰 | 125% |
| カップ麺 | 105% |

データだと、客数はトレンドどおりの下げで、客単価でしっかり稼いでいました。たばこの影響もあって、客単価に効いていたんじゃないかと思います。カテゴリーでよかったのは、米、カップ麺、缶詰などです。缶詰は125%、米も135%、カップ麺は105%。雨で外出できなかったときのために買い置きしていたのを、物語っていますね。
雨は、客を消さない
37日も雨が続けば、店に来る人は減る。そう思いがちです。でも、うちの店の客数は、いつもの流れから大きく外れませんでした。1か月も買い物に行かずに済む人は、ほとんどいないからです。お客様は、小雨になったときや、止んでいるあいだに来ていました。
そして来たときに、次に雨が強くなっても困らないものを、まとめて買っていく。缶詰、米、カップ麺。日持ちがして、家に置いておけるものです。長雨は、客を消したのではなく、買い物の中身を、買い置きに変えたのです。
米は、価格が下がり始めた時期とも重なっています。それでも、缶詰とあわせて伸びたのは、家にこもる準備をしていた人が多かったからだと思います。災害に備える買い物と、どこか似た動きです。
第3章:傘は、長雨では売れない
みんな、持ち歩いている
雨が続けば、傘が売れる。これも、そう思いがちです。でも、実際は逆でした。

中食には、ほとんど影響がなかったです。水準どおりか、それ以上。傘は、こういうときは売れないんですよ。常に持ち歩いていますからね。
37日も雨が続けば、誰もが傘を持って出かけます。傘が売れるのは、予報にない雨のときです。7月の統計の記事で、7月の単価を作ったものの一つが、予報にない豪雨で売れた傘だった、と書きました。急な雨と、続く雨は、店にとってまったく別のものです。
弁当とおにぎりは、変わらなかった
そして、弁当やおにぎりなどの中食は、雨の影響をほとんど受けませんでした。いつもの水準どおりか、それ以上。止み間に来たお客様は、その日の食事も、ちゃんと買っていったのです。梅雨で売上を落とさない方法を書いたことがありますが、長雨のときに見るべきは、傘の棚より、日持ちする食品の棚でした。
第4章:宅配は、雨がやむと一気に落ちた
新しい水準、ではなかった
雨のあいだ、宅配の注文は増えました。出たくない日に、注文は3倍になると書いたとおりです。そして、37日も続いたので、こちらもつい期待してしまいました。

宅配は増えました。通常の水準が上がってきたんだと喜んでいたら、雨がやんだあとに一気に落ちました(笑)。
天気で上がった数字は、天気で戻る
これは、8月の統計の記事で書いた「当たりを、店の実力に数えない」の、いちばん分かりやすい例です。37日も続くと、それが新しい水準に見えてくる。でも、雨という当たりが終われば、数字も戻る。
長雨の1か月の宅配の数字で、人の配置や発注を組み直していたら、雨がやんだ翌週に、手が余っていたはずです。天気で上がった数字は、天気で戻る。印をつけて、ベースラインと分けておく。それが、この長雨でいちばん役に立つ教訓だと思います。
第5章:レタス2.4倍は、コンビニまで来なかった——代わりがきく値上がり
店の棚では、変化なし
では、レタスの値上がりは、コンビニに何をもたらしたのか。答えは、ほとんど何も、です。うちの店の棚では、レタスの入った商品の値段が、レタスを理由に変わることはありませんでした。売れ方にも、目立った変化はありません。
正直に言えば、私はこう思っていました。レタスが取れないなら、レタスを食べなければいい。レタスの入っていないサンドイッチもあるし、キャベツで代わりもきく。お客様も、レタス入りが高ければ「別のでいいや」となるはずです。

スーパーなどはダメージを受けそうですけど、コンビニでは、ほぼ影響なしといったところです。近所のお弁当屋さんも、レタスが高いからキャベツとか、ほかのもので代用しているそうです。
米とレタスの、決定的な違い
同じ食べ物の値上がりでも、米のときは違いました。米の値上がりで、おにぎりの販売数が25%落ちたのです。米は、おにぎりの土台そのもので、代わりがきかない。だから、値上がりがカテゴリー全体に響いた。
レタスは、サンドイッチやサラダの一部です。キャベツで代われるし、レタスのない商品を選ぶこともできる。値上がりの痛みは、作る側でも買う側でも、選び替えで吸収されていきます。
| 米 | レタス | |
|---|---|---|
| 商品の中での位置 | 土台(おにぎり・弁当そのもの) | 部品(サンドイッチやサラダの一部) |
| 代わり | きかない | キャベツなど、きく |
| 値上がりの響き方 | カテゴリー全体に響く | 選び替えで吸収される |
| 店への影響 | 大きい(おにぎりの数が落ちた) | ほぼ影響なし |
値上がりが店を苦しめるのは、代わりがきかないときだけ。生鮮の値上がりは、生の野菜を売り場の主役にするスーパーには響いても、代わりの組み方が利くコンビニには、届きにくいのだと思います。
第6章:通常営業でいい——高くても要るものは売れ、代わりがきくものは発注を減らす
冬に向けて
野菜の値上がりが冬まで続いたら、店は何を変えるのか。私の答えは、通常営業です。

通常営業かなって。高くても買わなきゃいけないものは売れるし、代用が効くものなら発注量を減らせばいいだけです。
高くても要るものは、売れる。代わりがきくものは、発注を減らせばいい。シンプルですが、これが値上がりの時代の発注の基本だと思います。代わりがきくものは量を絞り、要るものは切らさない。読み違えて量を積んだときの痛みは、バズ発注で廃棄の山を築いた失敗で書いたとおりです。
9月の統計は、どうなりそうか
最後に、10月20日に発表されるコンビニの9月の統計について。8月の記事では、「9月度は客数をいちばん見る」と書きました。そこには、37日の雨が混じります。
うちの店の9月は、客数はいつもの流れどおりに下がり、客単価はたばこのまとめ買いもあって伸び、トータルでは前年を超えました。業界全体の9月も、前年を超えてくるのではないかと見ています。そのとき、客単価の伸びはたばこで、缶詰や米の伸びは雨で膨らんでいるはずです。どちらも、天気と制度が作った当たり。答え合わせは、10月20日にやります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2026年9月の長雨は、どれほど記録的だったのですか?
東京都心では8月27日から10月2日まで37日間連続で雨が降り、統計開始以来もっとも長い記録になりました。東日本の太平洋側では、9月の降水量が1946年の統計開始以来9月としてもっとも多く、日照時間は平年の46%で9月としてもっとも少なくなりました(気象庁、報道)。東京市場のレタス類の卸値は前年の2.4倍に跳ね上がったと報じられています。
Q2. 長雨のとき、コンビニでは何が売れましたか?
私の店では、9月に米が前年比135%、缶詰が125%、カップ麺が105%と伸びました。日持ちがして家に置いておける食品で、雨で外出できない日のための買い置きだと考えています。お客様は小雨や止み間に来て、次に雨が強くなっても困らないものをまとめて買っていきました。
Q3. 長雨のとき、傘は売れますか?
売れません。雨が何日も続くと、誰もが傘を持ち歩くからです。傘が売れるのは、予報にない急な雨のときです。急な雨と、続く雨は、店にとってまったく別のものです。
Q4. 雨が続くと、宅配の注文はどうなりますか?
雨のあいだは増えます。ただ私の店では、通常の水準が上がったと思って喜んでいたら、雨がやんだあとに一気に落ちました。天気で上がった数字は、天気で戻ります。長雨の期間の数字で人の配置や発注を組み直さず、ベースラインと分けておくことが大切です。
Q5. 雨が続くと、弁当やおにぎりは売れなくなりますか?
私の店では、中食はほとんど影響を受けず、いつもの水準どおりか、それ以上でした。1か月も買い物に行かずに済む人はほとんどいないので、お客様は止み間に来て、その日の食事も買っていきます。
Q6. レタスの値上がりは、コンビニにどう影響しますか?
私の店では、ほぼ影響がありませんでした。レタス入りの商品の値段がレタスを理由に変わることはなく、売れ方にも目立った変化はありません。レタスはサンドイッチやサラダの一部で、キャベツで代用したり、レタスのない商品を選んだりできるからです。近所のお弁当屋さんも、キャベツなどで代用しているそうです。
Q7. 米の値上がりと、野菜の値上がりは、何が違うのですか?
代わりがきくかどうかです。米はおにぎりや弁当の土台そのもので代わりがきかないため、値上がりがカテゴリー全体に響き、私の店ではおにぎりの販売数が25%落ちました。レタスは部品で、キャベツなどで代われるので、値上がりは選び替えで吸収されます。値上がりが店を苦しめるのは、代わりがきかないときだけだと考えています。
Q8. 野菜の値上がりが続いたら、店は何をすればいいですか?
私の答えは通常営業です。高くても買わなければいけないものは売れますし、代わりがきくものは発注量を減らせばいいだけです。代わりがきくものは量を絞り、要るものは切らさない。これが値上がりの時代の発注の基本だと考えています。
Q9. 9月のコンビニの統計は、どうなりそうですか?
10月20日に発表されます。私の店の9月は、客数はいつもの流れどおりに下がり、客単価はたばこのまとめ買いもあって伸び、トータルで前年を超えました。業界全体も前年を超えてくると見ていますが、客単価はたばこで、缶詰や米は雨で膨らんでいるはずです。天気と制度が作った当たりとして、割り引いて読みます。
Q10. この記事の情報の出典は?
気象のデータは気象庁の「2026年9月の天候」と、東京都心の連続降水を伝えた報道に、レタスの卸値と小売価格、都区部の物価の上昇率は2026年10月の日本経済新聞の報道に基づきます。米・缶詰・カップ麺の前年比、傘・中食・宅配・レタス商品の様子は、私の店の9月の実感です。
まとめ:長雨は、客を消さず、買い置きに変える
東京都心で37日連続の雨。9月の東日本太平洋側は、日照時間も雨の量も、9月として統計開始以来の記録になりました。レタスの卸値は前年の2.4倍。でも、うちの店のレジで起きていたことは、少し違いました。客数はいつもの流れどおりで、長雨は客を消さなかった。お客様は止み間に来て、缶詰(125%)・米(135%)・カップ麺(105%)を買い置きしていきました。傘は売れません。長雨のときは、みんな持ち歩いているからです。傘が売れるのは、予報にない雨のとき。中食は、いつもの水準どおりかそれ以上。宅配は増えましたが、雨がやむと一気に落ちた。天気で上がった数字は、天気で戻ります。そしてレタスの値上がりは、店まで来なかった。米は土台で代わりがきかなかったけれど、レタスは部品で代わりがきく。値上がりが店を苦しめるのは、代わりがきかないときだけです。だから、冬に向けても通常営業。高くても要るものは売れ、代わりがきくものは発注を減らせばいい。9月の統計は、天気と制度が作った当たりを割り引いて、10月20日に読みます。
この記事の要点
- 東京都心で37日連続の雨(統計開始以来最長)。東日本太平洋側の9月は日照が平年の46%で最少、雨は最多
- レタスの卸値は前年の2.4倍、都区部では身近な品目ほど値上がりが大きい(報道)
- うちの店で伸びたのは米135%・缶詰125%・カップ麺105%=雨の日のための買い置き
- 客数はいつもの流れどおり。長雨は客を消さず、止み間の来店と買い置きに変えた
- 傘は長雨では売れない(みんな持ち歩く)。売れるのは予報にない雨のとき
- 中食は水準どおりかそれ以上。雨でも、その日の食事は買われる
- 宅配は増えたが、雨がやむと一気に落ちた=天気で上がった数字は天気で戻る
- レタス高は店まで来なかった。米は土台で代わりがきかず、レタスは部品で代わりがきく
- 値上がりの時代の発注=高くても要るものは切らさず、代わりがきくものは量を絞る
- 9月の統計(10月20日)は、たばこと雨の当たりを割り引いて読む
次のアクション
- [ ] 長雨の期間の売上を、カテゴリー別に前年と比べてみる(缶詰・米・カップ麺など日持ちするもの)
- [ ] 長雨の期間の数字に印をつけ、いつものベースラインと分けておく
- [ ] 宅配の数字が増えた期間と、天気を並べて記録しておく
- [ ] 傘の発注は、続く雨ではなく、予報にない雨の日の動きで考える
- [ ] 値上がりした食材が、自店の商品の「土台」か「部品」かを分けてみる
- [ ] 代わりがきくものは発注量を絞り、要るものは切らさない方針を確認する
- [ ] 10月20日の9月の統計を、たばこと雨の影響を割り引いて読む
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参考|公式情報
- 気象庁|2026年9月の天候:東日本太平洋側は降水量が平年比236%で9月として1946年以降1位の多雨、日照時間は平年比46%で1位の寡照。下旬は台風第25号で関東甲信を中心に記録的な大雨
- 気象庁|過去の気象データ検索(東京・2026年9月の日ごとの値):9月は毎日、降水を観測(0.0は0.5mm未満の雨)。20日103.5mm・21日156.0mmなど
- 総務省統計局|消費者物価指数 東京都区部(最新の月次結果の概要):東京都区部の物価の月次の速報。生鮮食品や、生鮮食品を除く食料の動き
- 農畜産業振興機構|ベジ探(野菜情報総合把握システム):野菜の市況と小売価格の動向、長野県の夏秋レタスなど産地の作柄情報
- 日本フランチャイズチェーン協会|コンビニエンスストア統計データ:店舗数・客数・客単価の月次の一次統計。発表は原則毎月20日(月報のPDFはこのページから開く)
37日、雨が降り続きました。
それでもお客様は、止み間に来ました。傘はもう持っていて、手に取ったのは、缶詰と、米と、カップ麺。次に雨が強くなる日のための、静かな備えです。
宅配の数字が上がって、喜んで、雨がやんで、元に戻った。天気が作った数字は、天気とともに帰っていきます。
レタスが高くても、キャベツがある。高くても要るものは、要る。代わりがきくものは、少し減らす。長い雨のあとも、店がやることは、いつもと同じでした。

