スーパーが閉まると、日販は5万〜10万円上がる|劇的ではない、でもありがたい——食品スーパーが2割減益で約100店を閉じる時代に、コンビニは当たり前を当たり前に【現役オーナー】
食品スーパーが、苦しんでいます。日本経済新聞によると、2月期決算の上場小売65社の6〜8月期は、売上高が7%増えたのに営業利益は10%減り、なかでも食品スーパーの営業利益は2割減でした。イオン傘下のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)は、約100店の閉鎖を決めています。
一方で、攻めに出るスーパーもあります。ライフは創業70年で初めて同業を買収し、スーパーはいずれ5社ほどに集約されるという予測まで出てきました。節約の受け皿だったスーパーが、閉まり、まとまっていく。
では、近くのスーパーが閉まると、コンビニはどうなるのか。私の感覚では、500m以内なら影響が出ます。売上は上がる。でも、劇的ではありません。日販で5万円から10万円ほどです。車や自転車のある人は、コンビニではなく、別のスーパーに移るからです。それでも、この5万円から10万円は、かなりありがたい。
そして、2年ほどすれば、跡地にはまたスーパーが入る。相手が大きすぎるから、スーパーの動きを見て特別な対策はしない。当たり前のことを、当たり前にやるだけです。
- ニュース——守りに回ったスーパー
- 攻めに出たスーパー——ライフの買収と、5社に集約される日
- 近くのスーパーが閉まると——500m以内、日販は5万〜10万円
- 来るのは「近さ」の人、移るのは「足」のある人
- 伸びるのは全体——調味料まで底上げ
- 2年すれば、跡地にまたスーパーが来る
- 相手が大きすぎる——当たり前を、当たり前に
※スーパー各社の業績と閉鎖は2026年10月20日の日本経済新聞と日本食糧新聞の報道、ライフとアルビスの内容は2026年10月18日の日経MJの報道と公開買い付けの開示に基づきます。店の話は、私の店でのこれまでの経験で、今回閉鎖が決まったスーパーとは関係ありません。2026年10月21日時点の情報です。
第1章:ニュース——守りに回ったスーパー
売上は増えたのに、利益は減った
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上場小売65社(2月期決算)の6〜8月期 | 売上高は7%増、営業利益は10%減 |
| 食品スーパー | 営業利益が2割減 |
| USMH | 2030年度(2031年2月期)までに約100店を閉鎖。グループ760店の約13%。新しい店も出すので、純減は約50店 |
| 天気 | 東京都心で37日連続の雨(8月下旬〜10月上旬)。1886年の統計開始以来で最長 |
| 客足 | イオンのGMSとスーパーの事業は、既存店の客数が4カ月連続で前年割れ |
※2026年10月20日の日本経済新聞、日本食糧新聞の報道に基づきます。
値上げで売上は伸びても、資材や人件費や販促の費用の増加を吸収できていない。価格競争の厳しい食品スーパーほど、利益が削られています。記録的な長雨で、客足も落ちました。長雨の記事に書いた、37日続いた雨です。
節約の受け皿が、閉まり始めた
節約の記事で、節約でいちばん増えたのは「コンビニの利用を抑えて、スーパーに一本化する」だった、と書きました。その受け皿だったスーパー自身が、価格の競争で利益を削られ、店を閉じ始めています。
第2章:攻めに出たスーパー——ライフの買収と、5社に集約される日
創業70年で初めての買収
一方で、攻めに出たスーパーもあります。食品スーパー2位のライフは、北陸のアルビスの株式の公開買い付けを始めました。期間は2026年9月9日から11月10日まで、1株3,780円で、アルビスは賛同しています。日経MJ(10月18日)によると、ライフにとって、創業70年で初めての同業の買収です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 背景 | 仕入れ・人件費・物流費・建築費の高騰に、金利の上昇が加わる「5重苦」 |
| 全国展開の主役 | 健康志向のプライベートブランド「ビオラル」。2026年2月期の売上は109億円(21%増)。2031年2月期に1,000アイテムへ |
| 店の形 | ビオラルの小型専門店は、売場がライフの3分の1未満。「次は名古屋」 |
| 鮮魚 | アルビスの北陸の鮮魚加工網(1日2万パック)を使い、ディスカウント店と差をつける |
※2026年10月18日の日経MJ、公開買い付けの開示に基づきます。
上位5社で2割強、いずれ5社に
日本の食品スーパーは、上位5社の販売額の占有率が2割強です。ドイツは9割、フランスは8割、イギリスは6割。日本は、まだ店が多い。いずれ2兆〜3兆円規模の広域グループ5社に集約される、という予測もあります(KPMG FAS)。
安さで競う店は閉まり、健康や鮮魚で差をつける店がまとまっていく。スーパーの地図は、これから大きく書き換わります。
第3章:近くのスーパーが閉まると——500m以内、日販は5万〜10万円
劇的には、上がらない
では、近くのスーパーが閉まると、コンビニはどうなるのか。これは、今回閉鎖が決まったスーパーとは関係のない、これまでの経験の話です。

感覚的な話ですけど、500m以内だと影響してくる気がします。閉店すると、もちろん全体的な売上は上がりますけど、劇的に上がるというより、5万から10万上がるくらいです。
それでも、5万円は世界を変える
日販で5万円から10万円。劇的ではありません。でも、「近いから」以外の理由の記事で、コンビニの日販は5万円上がると世界が変わる、と書きました。レジに来るお客様が増え、納品の量が増え、補充の手間が増える。人と作業の段取りを見直さないと、忙しさにあぐらをかいて、接客と売場が雑になっていく。
だから、近くのスーパーが閉まると分かったら、喜ぶ前に、増える分の段取りを考えておく。それが、この5万円から10万円を、ありがたい数字のまま受け取るための準備だと思います。
第4章:来るのは「近さ」の人、移るのは「足」のある人
車や自転車のある人は、別のスーパーへ
なぜ、劇的には上がらないのか。

高齢者の方などは、近いというだけの理由でコンビニを利用してくれることもありますけど、自転車や車などの交通手段を持つ人にとってみたら、スーパーが潰れたからといってコンビニに行こうとは思わず、別のスーパーに移動していくのが大体です。劇的な売上の向上は起こらない。それでも、5万から10万は、かなりありがたいです。
「足」で分かれる
| お客様 | スーパーが閉まったとき |
|---|---|
| 交通手段の少ない年配のお客様など | 近いというだけの理由で、コンビニを使ってくれることがある |
| 自転車や車のある人 | 別のスーパーに移る。コンビニに来るわけではない |
地域の勝者の記事で、近くの競合のコンビニが撤退したとき、お客様は思ったほど流れてこなかった、と書きました。お客様は、店を使い分けていたからです。スーパーも同じです。スーパーの買い物は、スーパーへ移る。コンビニに来てくれるのは、近さそのものに理由がある人です。だからこそ、その人たちを、がっかりさせないことが大事なのだと思います。
第5章:伸びるのは全体——調味料まで底上げ
決まったカテゴリーではない
近くのスーパーが閉まったとき、何が伸びるのか。

食品関係の伸びもありますけど、調味料などの普段動きが悪い部分も伸びてきます。決まったカテゴリーというよりは、全体的な底上げですね。
普段動かない棚が、動き出す
意外なのは、調味料のように、ふだんはあまり動かない商品まで伸びることです。スーパーで買っていた日々の細かな買い物の一部が、コンビニに来る。特定の売場だけが伸びるのではなく、店全体が少しずつ底上げされる。
だから、伸びた売場を追いかけるより、店全体の欠品をなくすことのほうが大事だと思います。ふだん動かない棚ほど、在庫が薄くなっていることがある。閉店の知らせがあったら、まず、そういう棚を見直しておきたいところです。
第6章:2年すれば、跡地にまたスーパーが来る
跡地には、同じ形の店
そして、その底上げは、ずっとは続きません。

以前の記事でも書きましたけど、2年ほどすれば、跡地にまたスーパーが入ります。コンビニの跡地にはコンビニ、スーパーの跡地にはスーパー。店の大きさや造り的にも、ちょうど良いんでしょうね。
空白は、放っておいても埋まる
地域の勝者の記事では、競合のコンビニが撤退したあと、良い時間は2年ほどで終わり、跡地に前より強い相手が来た、と書きました。空いた物件は、出店の候補地のリストに載っている。店の大きさと造りが合えば、同じ形の店が来るのは自然です。
だから、スーパーが閉まった2年は、油断の2年にしてはいけない。増えたお客様が、次のスーパーができたあとも残ってくれるかどうか。それは、その2年のあいだに、店がどう応えたかで決まると思います。
第7章:相手が大きすぎる——当たり前を、当たり前に
スーパーの動きに、特別な対策はしない
では、スーパーの安売りやプライベートブランドに、コンビニはどう対抗するのか。

スーパーの動きを見て、こちらが何か対策を取るということは、あまりない気がします。相手が大きすぎる。当たり前のことを当たり前にやるだけです。
当たり前の中身
相手は、1社で数百店、いずれは数兆円のグループです。値段や品ぞろえの幅で張り合っても、勝てません。だから、店ができることを、当たり前に続ける。その中身は、これまでの記事で書いてきたことです。
| 当たり前のこと | 書いた記事 |
|---|---|
| 接客。コンビニが選ばれる理由のいちばん | 「近いから」以外の理由の記事 |
| 売場の手入れ。値引きに頼らない店の肝 | 値引きより価値の記事 |
| いつものものを、いつもの場所に切らさない | 朝の記事 |
| 近さという時間の価値 | 節約の記事 |
ライフは、健康と鮮魚で差をつけて、全国に出ようとしています。スーパーは、スーパーの強みでまとまっていく。コンビニは、近さと、すぐ食べられることと、人で選ばれる。相手の動きに振り回されず、自分の当たり前を続ける。それが、再編の時代のいちばんの守りだと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. 食品スーパーの業績は、どうなっていますか?
日本経済新聞(2026年10月20日)によると、2月期決算の上場小売65社の6〜8月期は、売上高が7%増えた一方で営業利益は10%減り、食品スーパーの営業利益は2割減でした。値上げで売上は伸びても、資材・人件費・販促費の増加を吸収できず、記録的な長雨で客足も落ちました。
Q2. USMHの約100店の閉鎖とは、どういうものですか?
イオン傘下のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスが、2030年度(2031年2月期)までに約100店を閉鎖する計画です。グループの760店(2026年8月末)の約13%にあたります。新しい店も出すため、純減は約50店と報じられています。
Q3. ライフのアルビス買収とは、どういうものですか?
食品スーパー2位のライフが、北陸のアルビスに対して行う株式の公開買い付けです。期間は2026年9月9日から11月10日まで、1株3,780円で、アルビスは賛同しています。日経MJによると、ライフにとって創業70年で初めての同業の買収で、健康志向のプライベートブランド「ビオラル」の小型店を全国展開の主役にする構えです。
Q4. スーパーは、5社に集約されるのですか?
日本の食品スーパーは、上位5社の販売額の占有率が2割強で、ドイツの9割、フランスの8割、イギリスの6割と比べて、まだ店が多い状態です。いずれ2兆〜3兆円規模の広域グループ5社に集約される、という予測もあります(KPMG FAS、日経MJの報道による)。
Q5. 近くのスーパーが閉店すると、コンビニの売上は上がりますか?
私の経験では、500m以内なら影響が出ます。売上は上がりますが、劇的ではなく、日販で5万円から10万円ほどです。それでも、この5万円から10万円は、かなりありがたい数字です。
Q6. なぜ、劇的には上がらないのですか?
自転車や車などの交通手段を持つ人は、スーパーが閉まっても、コンビニではなく別のスーパーに移るのが大体だからです。近いというだけの理由でコンビニを使ってくれるのは、年配のお客様などが中心です。
Q7. スーパーが閉まると、どんな商品が伸びますか?
食品も伸びますが、調味料のように、ふだんはあまり動かない商品も伸びてきます。決まったカテゴリーが伸びるというより、店全体の底上げです。だから、ふだん動かない棚の欠品にも気をつけたいところです。
Q8. スーパーの跡地は、どうなりますか?
私の経験では、2年ほどすれば、跡地にまたスーパーが入ります。コンビニの跡地にはコンビニ、スーパーの跡地にはスーパー。店の大きさや造りが、ちょうど合うからだと思います。
Q9. スーパーの安売りに、コンビニはどう対抗しますか?
スーパーの動きを見て、特別な対策を取ることは、あまりありません。相手が大きすぎるからです。接客、売場の手入れ、いつものものを切らさないこと。当たり前のことを、当たり前にやるだけです。
Q10. この記事の情報の出典は?
スーパー各社の業績と閉鎖は2026年10月20日の日本経済新聞と日本食糧新聞の報道、ライフとアルビスの内容は2026年10月18日の日経MJの報道と公開買い付けの開示、集約の予測はKPMG FAS(日経MJの報道による)に基づきます。スーパーが閉まったときの売上の変化、客の動き、跡地、対策の考え方は、私の店でのこれまでの経験で、今回閉鎖が決まったスーパーとは関係ありません。
まとめ:スーパーが閉まっても、当たり前は変わらない
食品スーパーは、6〜8月期に営業利益が2割減り、USMHは約100店を閉じます。一方で、ライフは同業を買収し、スーパーはいずれ5社ほどに集約されるという予測も出ています。節約の受け皿だったスーパーが、閉まり、まとまっていく。では、近くのスーパーが閉まると、コンビニはどうなるのか。私の経験では、500m以内なら影響が出て、売上は上がる。でも劇的ではなく、日販で5万円から10万円ほどです。自転車や車のある人は、別のスーパーに移るからです。コンビニに来てくれるのは、近さそのものに理由がある人。伸びるのは決まった売場ではなく、調味料まで含めた全体の底上げです。そして2年ほどすれば、跡地にはまたスーパーが入る。だから、その2年を油断の2年にしない。相手が大きすぎるから、スーパーの動きに特別な対策はしない。接客、売場の手入れ、いつものものを切らさないこと。当たり前のことを、当たり前にやるだけです。
この記事の要点
- 食品スーパーは6〜8月期に営業利益2割減。上場小売65社は売上7%増でも営業利益10%減(報道)
- USMHは2030年度までに約100店を閉鎖(760店の約13%、純減は約50店)
- ライフは創業70年で初めて同業を買収(アルビス)。健康志向のビオラルの小型店が全国展開の主役
- 上位5社の占有率は2割強。いずれ5社に集約されるという予測も
- 近くのスーパーが閉まると、500m以内なら影響が出る。売上は日販で5万〜10万円ほど上がる
- 劇的ではない。自転車や車のある人は、別のスーパーに移る
- 来てくれるのは、近さそのものに理由がある人(年配のお客様など)
- 伸びるのは決まった売場ではなく、調味料まで含めた全体の底上げ
- 2年ほどすれば、跡地にはまたスーパーが入る。その2年を油断の2年にしない
- 相手が大きすぎるから、特別な対策はしない。当たり前のことを、当たり前にやるだけ
次のアクション
- [ ] 店から500m以内にあるスーパーを地図で確かめる
- [ ] 近くのスーパーの閉店を知ったら、日販が5万〜10万円増えた場合の人と作業の段取りを先に考える
- [ ] 近さで来てくれる年配のお客様が、買いやすい品ぞろえと接客になっているかを見直す
- [ ] 調味料など、ふだん動かない棚の在庫が薄くなっていないかを確かめる
- [ ] 増えたお客様が、跡地に次の店ができたあとも残ってくれるよう、2年のあいだの接客を落とさない
- [ ] スーパーの安売りに反応しすぎず、接客と売場の手入れと欠品をなくすことを続ける
- [ ] スーパーの再編のニュースを、商圏が変わる予告として見ておく
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近くのスーパーのシャッターが下りると、レジに少しだけ見慣れない顔が増えます。調味料の棚が、いつもより早く減っていきます。
日販で5万円から10万円。劇的ではありません。でも、そのお客様は、近さを頼りに来てくれた人たちです。
2年すれば、跡地には次の店が来るかもしれない。それでも、来てくれた人が残ってくれる店でいたい。だから今日も、当たり前のことを、当たり前に続けます。

