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米は下がった。おにぎりは、いつ下がるのか|4,416円→3,198円の裏で、戻らなかったもの——「一発目」の25%減と、棚のスカスカ感【現役オーナー】

hanapapa
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コメの値段が、下がり始めました。

(2026年10月10日追記:新米が卸で前年の半値になり、店頭は8週連続で値下がりしています。第1章の最後に続報を足しました)

(2026年10月31日追記:店頭の米は11週連続で値下がりし、5キロ2,788円になりました。一方で、大手コンビニのおにぎりは5年前より4割高いままです。第1章の最後に続報を足しました)

農林水産省が8月7日に発表した7月27日〜8月2日の平均店頭価格は、5キロで3,198円。前週比113円(3.4%)安で、値下がりは6週連続です。最高値をつけた昨年末〜年始の4,416円からは1,218円、率にして27.6%の下落。3,000円割れという節目が、いよいよ視野に入ってきました。

この2年、おにぎりや弁当の原価を押し上げてきた最大の要因が、はっきりと反転しています。ここまでは、明るいニュースです。

では——店頭のおにぎりは、いつ安くなるのか。

これに答えられるのは、実際に売っている人間だけだと思うので、私の見立てを正直に書きます。おにぎり全体の値下げという形にはならず、安価な商品を数種類用意する程度にとどまる——おそらく、そうなります。理由は単純で、消費者から見て、おにぎりの原価構造は見えないからです。具にも海苔にもコストがかかり、物流費も人件費も上がっている。「米が下がったのに、なぜ?」という問いに、店も本部も答える必要がない構造になっているのです。

そしてもうひとつ、この記事で書いておきたいことがあります。値上げの「一発目」で、おにぎりの販売数は25%落ちました。100円・120円・130円がベースだった時代から、それぞれ50円ずつ上がったタイミングです。あれから数年、販売数は戻ってきました。でも——戻ったのは、金額だけだったのではないか。私はそう感じています。

  • ニュース整理——6週連続安と、3,000円割れの気配
  • 「一発目」の記憶——100円・120円・130円が、50円ずつ上がった日
  • 数字は戻った。でも、戻ったのは金額だけだった
  • 価格が、選ばれる理由の第一位になった
  • では、おにぎりはいつ安くなるのか——安価帯を数種類、という見立て
  • 逆説——米が安くなるのは、コンビニに朗報か

※価格データは2026年8月8日時点の農林水産省発表・報道に基づきます。販売数の変動や売場の状況は、私の店での実感・実績です。


本記事の位置づけ|米価下落とおにぎり価格の「非対称性」をレジの実数から読む現場記事

本記事は、4,416円→3,198円の米価下落・値上げ「一発目」の25%減と戻らなかったもの・棚のスカスカ感・価格が選ばれる理由の第一位になった現実・安価帯ほど改定が遅れる構造を、現役オーナーの実数で整理した現場記事です。以下の関連記事と組み合わせると、値上げの読み方から売場の打ち手まで全体像が掴めます。

💴 値上げと価格の読み方

📊 売上の「中身」を見る

🍙 商品力と売場

「価格の読み方 → 売上の中身 → 商品力と売場」の順で読むと、原料価格のニュースを自店の棚の判断につなげる視点が身につきます。

🎥 この記事の要点を動画にまとめました(音声解説つき)。結論から知りたい方はまずこちらをどうぞ。

🎧 もっと深く:対話型の音声解説(約18分)
この記事をもとにAIが対話形式で深掘りした音声です(Gemini Notebook〈旧NotebookLM〉で生成)。運転中や作業中の「ながら聞き」にどうぞ。

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第1章:ニュース整理——6週連続安と、3,000円割れの気配

数字の全体像

まず、いま起きていることを整理します。

項目数字
平均店頭価格(5キロ・7/27〜8/2)3,198円(前週比113円・3.4%安)
値下がりの継続6週連続
前年同期比344円(9.7%)安
ピーク(昨年末〜年始)4,416円 → 1,218円・27.6%の下落
水準およそ1年10カ月ぶりの安値

全国のスーパーのPOSデータをKSP-SPが分析し、農水省がまとめたものです。下げの理由もはっきりしています。2026年産の生育が進み、九州・四国の早場米が7月末ごろから関東などの一部店舗に並び始めたこと。東日本の主産地の新米が本格流通する前に、2025年産の在庫をさばこうという安売りが強まっている——という構図です。

見どころは「銘柄米とブレンド米の下げ幅の差」

数字の中身に、面白い歪みがあります。

  • 新潟産コシヒカリなどの銘柄米:前週比133円(4.0%)安の3,230円(下げが大きい)
  • 比較的安価なブレンド米など:62円(2.0%)安の3,068円(下げが小さい)
  • 結果、ブレンド米などの販売数量シェアは19%へ3ポイント低下(銘柄米が81%)

つまり、安い米を選ぶしかなかった層が、値下がりした銘柄米へ戻り始めている。そして注目すべきは、安価帯の商品ほど、価格改定が遅れているという事実です。高い商品は大きく下げ、安い商品は下げ渋る。これは自店の棚でも起きうる話で、第5章の伏線になります。

【続報 2026/9/26】3,000円割れ、そして「新米のほうが安い」——5キロ2,934円・前年比3割安

農林水産省が9月25日に公表したPOSデータで、9月14〜20日のコメの平均店頭価格は5キロ2,934円になりました(農林水産省)。前週比37円(1.2%)安で、共同通信によると6週連続の値下がり。2週続けて3,000円を下回り、前年同期より1,312円(30.9%)安い水準です。この記事を書いた8月に「3,000円割れの気配」と書いた節目は、もう実数になりました。

項目8月の記事(7/27〜8/2)いま(9/14〜9/20)
平均店頭価格(5キロ)3,198円2,934円(前週比37円・1.2%安)
前年同期比9.7%安30.9%安(1,312円安)
ピーク4,416円からの下げ27.6%33.6%
ブレンド米等の価格3,068円2,783円(前週比2.9%安)
ブレンド米等の販売割合19%18%
スーパーでの販売数量(前年同期比)—13.3%増

目を引くのは、新米と古米の逆転です。日経(9月26日・商品面)によると、都内のスーパーでは、2026年産の茨城産あきたこまちが5キロ2,698円で並ぶ横で、2025年産が4,000円前後で売れ残っていたそうです。高かった時期に仕入れた古米ほど、値下げや特売に追い込まれる。それがまた、相場全体を押し下げる。安いブレンド米等も前週比2.9%安の2,783円まで下がり、日経によると販売に占める比率は3ポイント上がって18%になりました。お客様の「安いほうへ」が、はっきりしてきています。簗農相は25日の会見で「需給のバランス、こういったものをこれからしっかりと安定化させていかなければいけない」と述べました(AGRI JOURNAL)。

新米が古米より安くなる「親不孝相場」と、高値で仕入れた在庫を抱えた側が損をする構造は、「米が半値になった理由と、うちが廃棄の山を築いた理由は、同じだった」で、クモの巣理論として書きました。その実例が、いま都内の棚に並んでいます。コンビニの棚にとっての意味は、第6章の最後に追記しました。

【続報 2026/10/10】新米は卸で前年の半値に——店頭は8週連続の値下がりで、5キロ2,860円

農林水産省が10月9日に公表したPOSデータで、9月28日〜10月4日のコメの平均店頭価格は5キロ2,860円になりました。前週より66円安く、8週連続の値下がりで、3,000円を下回るのは4週連続です(農林水産省、報道)。卸の段階では、2026年産の新米の取引価格が、前年産の出回り始めのおよそ半値になっています。新潟産コシヒカリの業者間の取引価格は60キロ1万8,250円前後で、前年同期の3万6,850円から半分になったと日本経済新聞は伝えています。JAが農家に払う概算金も、前年から2〜5割下がりました(日経、10月8日〜10日)。

先の見通しは、さらに安い方向です。東日本の長雨や台風で、色がついたり実が十分に育たなかったりした米が増えれば、安い2等・3等米が相場をもう一段押し下げるとみられています(日経)。37日続いた長雨のことは、長雨と缶詰の記事にも書きました。一方で、概算金は各地で生産コストを下回っていて、安値が続けば離農が進み、つくる力そのものが細るという逆のリスクも出てきました。「米が半値になった理由」の記事で書いたクモの巣の、次の一回りが始まっています。

店にとっての論点は、おにぎりや弁当の値段です。原価は、新しい仕入れの分から下がっていきます。一方で売価は、高かったときに上げたまま。この非対称が、店頭で問われる局面に入りました。ドラッグストアやディスカウント店は、安い新米を集客に使い始めています(日経)。第5章で書いた「安価帯を数種類」の見立ては、冬の商戦で答え合わせになります。

【続報 2026/10/31】米は11週連続で下がって5キロ2,788円——おにぎりは、5年前より4割高いまま

農林水産省が10月30日に公表したPOSデータで、10月19〜25日のコメの平均店頭価格は5キロ2,788円になりました。前週より33円安く、11週連続の値下がりです。前年の同じ時期より1,420円(33.7%)安く、ピークの4,416円からは4割近く下がりました(農林水産省)。

一方で、おにぎりの値段は、5年前には戻っていません。日本経済新聞(10月31日)が、ウクライナ危機の前の2021年末といまの値段を比べたところ、大手コンビニの手巻おにぎり(紅しゃけ)は151円から213円へ、41%上がっていました。9月に大手3社が手巻おにぎりなどを10〜19円値下げした(おにぎり値下げの記事)あとの値段で、です。日銀が10月30日に「2%の目標と概ね整合的」と認めた物価の上がり方なら、5年でおよそ1割。その4倍にあたります。値上げの理由の多くは、仕入れのコストと人件費の上乗せだと、記事は伝えています(日経)。

第5章で、米が下がっても、おにぎりは別だと書きました。具や海苔、物流費、人件費——おにぎりの値段には、米のほかにも上がり続けているものが入っているからです。数字で見ても、その非対称は続いています。米は下がり続け、おにぎりは少し下がっても、5年前の値段には戻らない。お客様が感じる物価は、統計の2%ではなく、この棚の値札です。冬の商戦で答え合わせをするのは、第5章の「安価帯を数種類」の見立てです。


第2章:「一発目」の記憶——100円・120円・130円が、50円ずつ上がった日

あの日、販売数は25%落ちた

米価の話をするとき、私たちコンビニのオーナーが忘れられない出来事があります。おにぎりが高くなった、一発目のタイミングです。

そもそものベースは、100円・120円・130円でした。そこから、それぞれ50円ずつくらいの値上げ。100円が150円に、130円が180円に——率にすれば、4〜5割の値上げです。

そのとき何が起きたか。販売数が、25%ほど落ちました。店によっては、もっと落ちたところもあると思います。

数字で書くと淡々としていますが、売場では静かな衝撃でした。おにぎりはコンビニの主力中の主力です。それが4本に1本消える。棚を見れば分かるし、レジのかごを見ても分かる。「ああ、100円という数字には、こんなに意味があったのか」と思い知らされた出来事でした。

そして今、販売数は戻ってきた

ただ、その後の展開も書いておきます。あれから、物価は上がり続けました。そして「物価が上がり続ける世の中だ」という認識が、世間に広く知れ渡った。その結果、値上げは徐々に続いているにもかかわらず、販売数は戻ってきています。

一発目のショックが大きかったのは、変化の速度と、心の準備のなさだったのだと思います。100円が150円になるのは、確かに衝撃です。でも、あらゆるものが上がる世界に慣れてしまえば、150円のおにぎりは「そういうもの」になる。人は、価格そのものより価格の変化に反応する——これは値上げと賃金の記事やたばこ値上げの記事で見てきた「山と谷」とも共通する、人の反応の基本形です。

はなぱぱ
はなぱぱ

そもそものベースだった100円・120円・130円から、50円ずつくらい値上げになったタイミング——要するに、おにぎりが高くなる一発目のタイミングですね。あのとき、販売数は25%ほど落ちました。店によってはもっと落ちているところもあると思います。今では、それから物価が上がり続ける世の中だという認識が世間に知れ渡ったので、徐々に値上がりしていくものの、販売数自体は戻ってきています。


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第3章:数字は戻った。でも、戻ったのは金額だけだった

販売高では稼げても、販売数では稼げない

ここからが、この記事のいちばん書きたいところです。

「販売数は戻ってきた」と書きました。でも、正直な現場感覚を続けます。販売高(金額)で稼ぐことはできても、販売数(数量)では稼げない——それが今の状態です。以前より良い状況とは、とても言えません。

棚が、スカスカに見える

なぜ数量が大事なのか。売場の見た目が変わってしまうからです。

簡単な算数をしてみます。売価が1.5倍になれば、販売数量が3分の2に落ちても、売上金額は同じです。損益計算書の上では「維持できている」ように見える。ところが店頭では、動く個数が3分の2になる。発注数が減り、什器に並ぶ数が減り、フェイスが埋まらない。

棚のスカスカ感が、否めないのです。

そしてこれが怖いのは、見た目の問題で終わらないからです。品揃えが薄く見える店は、それだけで選ばれにくくなる。前陳・フェイスアップの記事で書いたとおり、売場の充実感そのものが集客要素です。数量の減少は、静かに次の来店を削っていく。「金額は維持できています」という報告の裏で、売場は痩せていく——この乖離を、数字だけ見ている人には見えません。

客単価は上がった。でも購入点数は増えていない

もうひとつ、同じ構造の数字があります。客単価は年々上がり続けています。でもその中身は、値上がりに対して単価が上がっているだけで、購入点数は増えていない。

これは客数減を客単価で支える時代の終わりで書いた話の、その後の姿です。当時「客数減を客単価で支えている」と書きましたが、いま起きているのは「値上げで客単価が上がっているだけで、買われている中身は増えていない」という、もう一段厳しい局面です。先日書いた「食事キャンセル」の記事でも、昼の客単価が400円前後という数字を出しましたが、そこともつながっています。

金額の回復と、実質の回復は違う。 米価が下がっても、この構造そのものは自動的には戻りません。

はなぱぱ
はなぱぱ

販売数は戻ってきていると言っても、販売高で稼ぐことはできても、販売数で稼げないんですよね。だから、棚のスカスカ感が否めない。以前より良い状況とは言えないんです。客単価は上がり続けていますけど、値上がりに対して単価が上がっているだけで、購入点数は増えていない。だから、順調に戻ってきているとは言い難いというのが、正直なところですね。


第4章:価格が、選ばれる理由の第一位になった

新商品の成否が、価格で読めてしまう

値上げの時代が、お客様の買い方を変えました。それを痛感するのが、新商品です。

新商品が売れるか売れないかは、価格で判断しやすくなりました。以前なら、「おいしそう」「珍しい」「話題になっている」といった要素が売れ行きを決めていました。今は、まず価格を見て、そこで決まる。中身の魅力を検討する前に、値札のところで選別されている感覚があります。

これは、商品力の考え方(トライアル×リピートの記事)にとって重大な変化です。トライアル(一度試してもらうこと)のハードルが、味やパッケージではなく価格になった。どんなにおいしくても、その価格帯では手に取られない——そういう線が、棚に引かれています。

値頃品への偏り——海苔なしという選択

具体的な現れが、値頃な商品への販売の偏りです。うちの店では、海苔なしのおにぎりなど、価格を抑えた商品に販売が偏りがちで、その種類は5種類ほどあります。

この「海苔なし」というのが象徴的です。海苔は原価に効きます。それを外すことで価格を下げた商品が、いま確実に選ばれている。お客様は「安いおにぎり」を求めているというより、「今日の予算に収まるおにぎり」を探している。そして5種類という数は、すでに本部側もこの動きを掴んでいる証拠でもあります。


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第5章:では、おにぎりはいつ安くなるのか——安価帯を数種類、という見立て

米の販売価格は、調整される。でもおにぎりは別

ここで冒頭の問いに戻ります。米価が下がると、店頭のおにぎりは安くなるのか。

まず、店で売っている米(パック米や精米)の価格は、調整されると思います。理由は明快で、市場価格との差が浮き彫りになってしまうからです。スーパーで5キロ3,198円と報道されている横で、コンビニだけが高値のままでは、価格の説明がつきません。比較可能な商品は、比較されます。

でも、おにぎりは違います。

原価構造が見えないから、値下げの説明責任が生じない

おにぎりの値段の中に、米がいくら入っているか——消費者には分かりません。具にもコストがかかり、海苔にもコストがかかり、物流費も人件費も上がっている。だから米が下がっても、「では下げます」という話には自動的にはならない。

理由を挙げようと思えば、いくらでも挙げられるのです。しかもそれは嘘ではありません。実際に資材コストも人件費も上がり続けているのですから。

だから私の見立てはこうです。おにぎり全体の値下げという形ではなく、安価な商品を数種類用意する程度にとどまる。第4章で書いた「値頃品5種類」の路線が、少し強化される——おそらくそのあたりが着地点です。

「安価帯ほど改定が遅れる」は、自店の棚でも起きる

そしてここで、第1章の伏線が効いてきます。米の市場では、銘柄米が4.0%下がったのに、安価なブレンド米は2.0%しか下がりませんでした。高い商品ほど大きく動き、安い商品ほど動かない。

同じことが、おにぎりの棚でも起こりえます。高価格帯の商品(豪華な具材のもの)は価格や内容の調整が入りやすく、もともと利益の薄い安価帯ほど、下げる余地がない。「安い商品がもっと安くなる」ことを期待すると、たいてい裏切られます。むしろ安価帯は据え置き、中〜高価格帯の内容が良くなる——そういう形の還元のほうが、現実には起きやすいのではないかと見ています。

はなぱぱ
はなぱぱ

米の販売額は、市場との差が浮き彫りになってしまうので、価格の調整はされると思います。ただ、おにぎりの値段になってくると、何にコストがかかっているのかが消費者には分からないんですよね。具や海苔にコストがかかっている、物流費や人件費も上がっている——理由はいくらでもある。だから、おにぎり全体での値下げという形ではなく、数種類の安価な商品を用意する程度にとどまる気がします。


第6章:逆説——米が安くなるのは、コンビニに朗報か

3,000円割れが見えると、家庭が炊き始める

最後に、見落としがちな逆説を書いておきます。米が安くなることは、コンビニにとって手放しの朗報ではありません。

5キロ3,000円が視野に入ってくると、家庭の行動が変わります。米を買い置きして、家で炊く量が増える。そして——内食が戻れば、その分、中食が削られます。おにぎり、弁当、パックご飯。私たちが売っているのは、まさに「家で炊かない人」のための商品です。

つまり、米価の下落は原価にはプラス、需要にはマイナスという、二面性を持っています。

「暑さのせい」で片づけない

だから、ひとつ実務的な注意を。夏の弁当カテゴリーの数字が鈍いとき、「暑さのせい」とだけ片づけないほうがいいと思っています。

暑さは確かに弁当需要を落とします。でも今年に限っては、米価下落による内食回帰という別の要因が重なっている可能性がある。原因を取り違えると、打ち手も取り違えます。「暑いから仕方ない」で済ませれば秋には戻るはずですが、内食回帰なら戻りません。数字が鈍いときこそ、原因を一つに決めつけない——売上の中身を読むという話の、実践編です。

店の構えは3つ

では、この局面で店は何をするか。3つに絞ります。

  1. 原価改定の還元先を見る——本部が売価に返すのか、量目(サイズ)に返すのか、粗利の回復に充てるのか。案内が来たら、どの形で返ってきたかを確認する。売価に返らなくても、量目や品質に返っていれば、それは売り文句になります
  2. 値頃品の棚を確保する——お客様が「今日の予算に収まるもの」を探している以上、値頃な商品を欠品させない。売れているのに切らすのは、いちばんもったいない失点です
  3. 数量を見る——金額だけを見ていると、棚が痩せていることに気づけません。カテゴリーの販売個数を定点で見る。棚のスカスカ感は、数字の前に目に見えます
はなぱぱ
はなぱぱ

米が下がるのは、原価的にはありがたい話です。でも家庭で炊く量が増えれば、中食は削られる。ここは正直、痛し痒しなんですよね。だから私は、値下げを待つより、いま売れているものを切らさないことのほうが大事だと思っています。値頃なおにぎりが売れるなら、それをきちんと並べる。棚が痩せて見えないように埋める。結局、できるのはそれくらいなんですけど、それがいちばん効くとも思っています。

【9月26日追記】3,000円割れが実数になったいま、米安の二面性を、店主の目でもう一度見直しておきます。

はなぱぱ
はなぱぱ

古米ほど値引きや値下げの対象になっていって、単価の低下が心配です。でも、これを機に、米の食生活から離れていた人たちが買いに戻ってくれると、分母が大きくなるから嬉しいんですよね。無理してスーパーに行かなくても、コンビニで安い米やおにぎりが買えるなら、購入点数や来店頻度に効いてきそうかな。効いてほしい。14ヶ月連続で客数が減っていますからね(笑)。

分母が大きくなる兆しは、数字にも出ています。農水省のPOSデータでは、スーパーでの米の販売数量は前年同期より13.3%多く(9月14〜20日)、2月以降の値下がり局面で増加基調が続いています。米を買う人と量は、確かに戻り始めている。上で書いたとおり、内食が戻れば中食は削られる——それも事実です。ただ、米を食べる人そのものが増えるなら、コンビニの棚にも戻ってくる人がいるはずです。第3章で書いた「購入点数は増えていない」を、米とおにぎりが動かすかもしれない。コンビニの客数は、8月まで14ヶ月続けて前年を下回っています(JFA 8月度の記事)。スーパーまで行かなくても、近くの店で安い米とおにぎりが買える——その便利さが、来店の回数に効くかどうか。10〜11月の定点で確かめます。


よくある質問(FAQ)

Q1. コメの店頭価格は、いまいくらですか?

農林水産省が2026年9月25日に公表した9月14〜20日の平均店頭価格は、5キロで2,934円です(前週比37円・1.2%安)。2週続けて3,000円を下回り、前年同期比では1,312円(30.9%)安。ピークの4,416円からは33.6%下がりました。都内のスーパーでは、2026年産の新米が2025年産の古米より安く並ぶ逆転も報じられています。(2026年10月31日追記)最新の10月19〜25日は5キロ2,788円で、11週連続の値下がりです。前年同期より1,420円(33.7%)安い水準です(農林水産省、10月30日公表)。

Q2. なぜ下がっているのですか?

2026年産の生育が進み、九州・四国の早場米が7月末ごろから一部店舗に並び始めたためです。東日本の主産地の新米が本格流通する前に、2025年産の在庫をさばこうという安売りが強まっている構図と報じられています。秋以降、原料米のコスト圧力はさらに緩む方向とみられます。

Q3. コンビニのおにぎりも安くなりますか?

私の見立てでは、おにぎり全体の値下げにはならず、安価な商品を数種類用意する程度にとどまると考えています。理由は、消費者から見ておにぎりの原価構造が見えないためです。具・海苔のコスト、物流費、人件費の上昇など、価格を維持する理由はいくらでもあり、値下げの説明責任が生じにくい構造になっています。(2026年10月31日追記)9月に大手3社が手巻おにぎりなどを10〜19円値下げしましたが、日本経済新聞によると、大手コンビニの手巻おにぎり(紅しゃけ)は2021年末の151円から213円と、5年で41%高い水準です。

Q4. 店で売っている米(パック米)はどうですか?

そちらは調整されると思います。スーパーの店頭価格が報道で広く知られるため、コンビニだけ高値のままだと市場との差が浮き彫りになるからです。比較可能な商品は比較される——ここがおにぎりとの決定的な違いです。

Q5. おにぎりが値上げされたとき、売上はどうなりましたか?

100円・120円・130円がベースだった時代から、それぞれ50円ずつ値上げされた「一発目」のタイミングで、私の店では販売数が25%ほど落ちました。店によってはもっと落ちたところもあると思います。率にして4〜5割の値上げでしたから、衝撃は大きいものでした。

Q6. その後、販売数は戻ったのですか?

戻ってきています。物価が上がり続ける世の中だという認識が世間に広まり、値上げが「そういうもの」として受け止められるようになったためです。ただし戻ったのは主に金額で、販売数量では以前の水準とは言えません。人は価格そのものより、価格の「変化」に強く反応するのだと実感しています。

Q7. 「棚がスカスカに見える」とは、どういうことですか?

売価が1.5倍になれば、販売数量が3分の2に落ちても金額は同じです。損益上は維持できているように見えますが、店頭では動く個数が減るので発注数が減り、フェイスが埋まらず、売場が痩せて見えます。品揃えが薄く見える店は選ばれにくくなるため、数量の減少は静かに次の来店を削っていきます。

Q8. いま売れているのは、どんなおにぎりですか?

値頃な商品に販売が偏りがちです。私の店では海苔なしのおにぎりなど価格を抑えた商品が5種類ほどあり、そこに売れ行きが集中しています。お客様は「安いおにぎり」を求めているというより「今日の予算に収まるおにぎり」を探している、という感覚です。新商品も、売れるかどうかが価格で判断しやすくなりました。

Q9. 米が安くなるのは、コンビニにとって良いことですか?

二面性があります。原価にはプラスですが、5キロ3,000円が見えてくると家庭が米を買い置きして炊く量が増え、内食が戻る分だけ中食(おにぎり・弁当)が削られる可能性があります。夏の弁当の数字が鈍いとき、「暑さのせい」とだけ片づけず、内食回帰の可能性も併せて見ておくことをおすすめします。一方で、米を食べる人が戻れば、コンビニで米やおにぎりを買う人の分母も大きくなります(スーパーの米の販売数量は前年同期比13.3%増・9月中旬)。単価の低下と、購入点数・来店頻度への効果の両方を、定点で見ていきます。

Q10. 店としては、何をすればいいですか?

3つです。①原価改定が売価・量目・粗利のどれに返ってきたかを、本部案内で確認する。②値頃な商品を欠品させない(売れているものを切らすのが最大の失点)。③金額だけでなくカテゴリーの販売個数を定点で見る。棚のスカスカ感は、数字より先に目に見えます。なお本記事の価格情報は、本文が2026年8月8日時点、続報と追記が9月26日時点のものです。


まとめ:戻ったのは金額だけ、という現実から始める

コメの平均店頭価格は5キロ3,198円と6週連続で下落し、ピーク4,416円から27.6%安、3,000円割れが目前です。原価の逆風は確かに弱まりました。ただし店頭のおにぎりは、全体の値下げではなく「安価な商品を数種類」という形にとどまるというのが私の見立てです。理由は、消費者からおにぎりの原価構造が見えないため、値下げの説明責任が生じないから。米市場でも銘柄米4.0%安に対しブレンド米は2.0%安と、安価帯ほど改定は遅れます。そして忘れてはいけないのが「一発目」の記憶——100円・120円・130円が50円ずつ上がったとき、販売数は25%落ちました。いま数量は戻ってきていますが、戻ったのは金額で、購入点数は増えていない。売価が1.5倍なら数量が3分の2でも金額は同じ——その結果が棚のスカスカ感であり、痩せた売場は次の来店を静かに削ります。さらに米安は内食回帰という逆風も連れてくる。だから構えは3つ。還元の形を確認する。値頃品を切らさない。金額でなく個数を見る。金額の回復と実質の回復は違う——そこから始めるのが、この局面の正直な出発点だと思います。

この記事の要点

  1. コメ5キロ3,198円・6週連続安、ピーク4,416円から27.6%下落で3,000円割れが目前(2026年8月8日時点)→9月14〜20日は2,934円・前年比30.9%安で、3,000円割れが実数に
  2. 下げの理由は早場米の流通開始と、2025年産在庫の売り切り
  3. 銘柄米4.0%安に対しブレンド米は2.0%安=安価帯ほど価格改定が遅れる
  4. 店のパック米は調整される(市場と比較可能だから)/おにぎりは別
  5. おにぎりは原価構造が見えない=値下げの説明責任が生じにくい
  6. 見立て=全体値下げでなく「安価な商品を数種類」にとどまる
  7. 値上げ「一発目」(100/120/130円→+50円)で販売数は25%減
  8. 今は数量が戻ってきたが、戻ったのは金額。購入点数は増えていない
  9. 売価1.5倍・数量3分の2でも金額は同じ=棚のスカスカ感と、次の来店の目減り
  10. 米安は内食回帰も連れてくる=夏の弁当の鈍さを「暑さのせい」だけにしない。一方で、米を食べる人が戻れば分母は大きくなる(スーパーの米の販売数量は前年同期比13.3%増)

次のアクション

  • [ ] おにぎり・弁当カテゴリーの「販売個数」を、金額とは別に定点で記録し始める
  • [ ] 値頃帯(海苔なしなど)の商品を欠品させていないか、ピーク前に確認する
  • [ ] 原価改定の案内が来たら、売価・量目・粗利のどこに返ってきたかを確認する
  • [ ] 量目や品質に返ってきた場合は、売り文句としてPOPや声かけに使う
  • [ ] 弁当の数字が鈍いとき、「暑さ」以外の要因(内食回帰)も併せて点検する
  • [ ] おにぎり什器のフェイスが埋まっているか、時間帯ごとに見る(棚の痩せ対策)
  • [ ] 店で売る米・パックご飯の価格が、市場水準から乖離していないか確認する

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商品力と売場

参考|公式情報

本記事の米価データは農林水産省の店頭価格調査、販売数の増減は筆者店舗の実数です。最新の価格動向は下記の公式情報でご確認ください。


4,416円が、3,198円になりました。ニュースとしては、確かに明るい話です。原価の逆風はゆるみ、秋にはもっとゆるむでしょう。

でも売場に立っていると、あの日のことを思い出します。100円のおにぎりが150円になった朝、4本に1本が売れなくなった、あの静かな衝撃を。あれから数年、数字は戻ってきました。ただ、戻ってきたのは金額で——100円のおにぎりを2つカゴに入れていた、あの気軽さは、たぶんもう帰ってきません。

値上げが変えたのは、価格ではなく、買い方でした。だとすれば、米が下がっても買い方は自動では戻らない。戻すとしたら、それは値段の力ではなく、「この店で買いたい」と思ってもらう力のほうなのだと思います。

だから今日も、値頃な棚を切らさないように埋めます。スカスカに見えないように、前へ出します。派手な打ち手ではないけれど、痩せた棚を太らせられるのは、結局その繰り返しだけですから。

米は下がりました。私たちの仕事は、変わりません。

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経営者
はじめまして、はなぱぱです。 コンビニ経営に携わって15年。 店舗での経験や経営者としての苦労、従業員教育の工夫などをまとめています。 経営者や店舗責任者はもちろん、従業員の方にもわかりやすく役立つ情報を発信していきます。
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