コンビニの電気代は「固定費」ではない|春20万円台・夏は一気にプラス20万円——補助が切れる前に、請求書を「川」と「店」に分解する【現役オーナー】
店の経費には、暗黙の「格付け」があります。発注や値引きは毎日さわる数字。人件費はシフトで調整する数字。そして電気代は——「毎月来るもの」。金額が大きいわりに、交渉の余地もなさそうで、いつのまにか「動かせないお金」の箱に入れられている。コンビニやスーパー以上の規模になると、この分類はほとんど疑われません。
でも、電気代は最終利益に直結する経費です。しかも人件費と違って、減らしても誰のシフトも削らない。利益率の低いこの商売で、「減らせばそのまま利益になる」数字を、固定費の箱に入れたまま放っておくのは、もったいなくないか——最近、そう思うようになりました。
きっかけは、今の政策ニュースです。ガソリン価格を1リットル170円程度に抑える補助の継続が表明される一方、電気・ガス料金の補助は2026年9月使用分でいったん期限を迎えます。延長は未定。つまり、10月以降のうちの電気代は、店の努力と関係ないところで決まろうとしている。
ここで大事なのは、ため息ではなく分解です。電気代という1枚の請求書の中には、「川」と「店」が同居しています。単価——燃料調整費、再エネ賦課金、そして補助金の行方——は川。私のレジからは動かせません。でも使用量——フィルター、扉、発注、設定温度——は店。今日動かせます。固定費の箱から電気代を取り出して、川の部分と店の部分に分ける。この記事は、その作業を実額つきでやってみる話です。
- 誤分類——「動かせないお金」の箱に入っているもの
- うちの実額——春20万円台、夏はプラス20万円、前年比80%台
- レバレッジ——電気代1万円は、売上何十万円分の利益か
- 店の側の実務——やっていること、そして効果測定の壁
- 削らない電気——震災の頃、照明を消した店の記憶
- 設備の話——電気を使う機械と、電気代を払う人
※制度・補助単価は2026年8月30日時点の公表情報に基づきます。電気代の実額・負担条件は店舗規模・契約タイプ・チェーンにより異なります。
🎥 この記事の要点を動画にまとめました(音声解説つき)。結論から知りたい方はまずこちらをどうぞ。
🎧 もっと深く:対話型の音声解説(約17分)
この記事をもとにAIが対話形式で深掘りした音声です(Gemini Notebook〈旧NotebookLM〉で生成)。運転中や作業中の「ながら聞き」にどうぞ。
第1章:誤分類——「動かせないお金」の箱に入っているもの
請求書の「顔」は固定費、中身は半分変動費
電気代が固定費扱いされるのには、理由があります。毎月必ず来る。金額が大きい。単価の交渉はできない。何より、請求書が「1つの数字」で届く——この一体感が、丸ごと「動かせない」という印象を作ります。
でも中身を見れば、電気代は掛け算です。電気代 = 単価 × 使用量。そして、この2つの性格はまったく違います。
- 単価=川:燃料調整費は世界のエネルギー市況で動き、再エネ賦課金は制度で決まり、補助金は政治で決まる。店から動かせるものはひとつもない
- 使用量=店:什器のフィルター、ウォークインの扉、バックヤードの冷機の稼働、空調の設定、照明——全部、今日の店の運用で動く
つまり「電気代は動かせない」は、半分だけ正しい。動かせない単価と、動かせる使用量を、1枚の紙が合算しているから、丸ごと動かせなく見える——これが誤分類の正体です。この夏、私は「変えられないものは読むだけにして、今日変えられる数字に力を寄せる」という仕分けで店を運営してきましたが、電気代はその仕分けを1枚の請求書の内部でやる対象なのです。
第2章:うちの実額——春20万円台、夏はプラス20万円、前年比80%台
電気代は2ヶ月遅れでやってくる
まず、実額を書きます。うちの店に今届いている請求は、締めの関係で約2ヶ月遅れ——つまり春頃の使用分です。設備の新旧や店舗の広さでも変わりますが、この時期の請求はほぼ20万円台。そして夏場の使用分が乗ってくると、一気に20万円近く上がる月もあります。冷房と冷機がフル稼働する数ヶ月は、電気代が「もう1店舗ぶんの家賃」のような顔をして届くわけです。
そして今年、明細で目を引くのが補助金の効果です。電気代の前年比が、80%台で収まっている。使用量が2割減ったわけではありません。単価の側——川の側——が、政策で押し下げられているのです。
川の現在地——補助は「9月使用分」で期限
その川の現在地を整理しておきます。国の「電気・ガス料金支援」は、2026年7月〜9月使用分が対象で、申請不要・請求からの自動値引きです。補助単価は公表ベースで次のとおり(資源エネルギー庁・2026年8月30日時点)。
| 区分 | 7月・9月使用分 | 8月使用分 |
|---|---|---|
| 電気(低圧) | 3.5円/kWh | 4.5円/kWh |
| 電気(高圧) | 1.8円/kWh | 2.3円/kWh |
| 都市ガス | 14.0円/㎥ | 18.0円/㎥ |
規模感をつかむために、単純なモデルで試算します。仮に月1万kWh使う店で低圧契約なら、8月使用分の値引きは4万5,000円(1万kWh×4.5円)。高圧契約なら2万3,000円。夏のコンビニの使用量ならこの前後の店が多いはずで、うちの「前年比80%台」という着地とも規模感が合います。月数万円が、店の努力ゼロで動いている——これが川の力です。
そして、この川は9月使用分で止まる建て付けのままです。ガソリンの170円維持は表明されましたが、電気・ガスの10月以降は未定。延長するかどうかは、財源と政治情勢——消費税の議論と同じで、私たちが読めるのは「決まり方が読めない」ということだけです。延長されなければ、10月使用分(冬に届く請求)から、月数万円がそのまま戻ってくる。この前提だけ、頭に置いておく必要があります。

今の時期に届いている請求は2ヶ月遅れなので、春頃の分なんですよね。設備の良し悪しや店の広さでも変わりますけど、ほぼほぼ20万円台。夏場の分が降りかかってくると、一気に20万円近く上がるときもあります。今年は補助金のおかげで、電気代の前年比が80%台で収まっているんです。逆に言うと、あれが切れたらその分がそのまま戻ってくるわけで。
第3章:レバレッジ——電気代1万円は、売上何十万円分の利益か
経費削減の「等価売上」を計算する
ここで、冒頭の「もったいない」の中身を数字にします。コンビニの最終利益率は、決して高くありません。仮に売上に対する最終利益率を3%と置くモデルで考えると、利益を1万円増やすには、売上を約33万円増やす必要があります。
一方、電気代を月1万円削れば——利益はそのまま1万円増えます。つまりこのモデルでは、電気代1万円の削減は、売上33万円ぶんの利益に等しい。日販に換算すれば1日1万円強の売上増と同じインパクトが、フィルターと扉の管理で出せるかもしれない。これが「減らせば利益が増える動きやすさ」の正体で、低利益率の商売ほど、経費側のレバーは長く効くのです。
しかも、電気代は「誰も傷つけない」経費
経費削減には、危険なものがあります。人件費を削れば、シフトが薄くなり、接客が落ち、人が疲れ、いずれ売上が傷みます。廃棄を恐れて発注を絞れば、棚が痩せて機会損失が始まる。値引きと廃棄は攻めのコストだと書いてきたとおり、これらは削り方を間違えると店の力そのものを削ります。
電気代は違います。正しく削るかぎり、誰のシフトも、どの棚も傷つけない。詰まったフィルターを洗っても、お客様には何の不利益もない。むしろ冷機の効きは良くなる。「無駄だけを削れる」性質を持った、ほぼ唯一の大型経費——ここが電気代の特別なところです。ただし「正しく削るかぎり」という条件つきです。第5章で、削ってはいけない電気の話をします。
第4章:店の側の実務——やっていること、そして効果測定の壁
在庫は、電気も食う
うちの店が使用量の側でやっていることは、地味です。冷機のフィルター清掃。そして、過剰在庫にならないように発注を調整して、バックヤードの冷凍・冷蔵庫の電源を落とす——在庫が軽ければ、ストッカーを1台止められる。
この2つ目は、気づいていない店が多いかもしれません。過剰在庫のコストは、売変・廃棄のリスクだけではないのです。在庫は、置いてある間じゅう電気を食っています。発注の精度は、売場の話であると同時に、バックヤードの冷機の稼働台数の話でもある。攻めの発注と経費管理は、こんなところでもつながっています。
「円」で見ると、効果は埋もれる
ただ、正直な壁も書いておきます。節電施策の効果を、金額で確認するのはとても難しいのです。家庭の電気代のように「先月より1万円下がった」と単純にいかない。店の電気代は気温・季節・単価で万円単位で暴れるので、フィルター清掃の効果のような数千円〜のオーダーは、変動の中に埋もれてしまう。「やった感」はあるのに数字で拾えない——これが現場の実感です。
処方箋をひとつ。円ではなく、kWhで見ることです。明細には請求額だけでなく使用量(kWh)が載っています。金額は単価(川)と気温に暴れさせられますが、使用量の前年同月比なら、川の影響が消えて、店の運用の差だけが残ります。前年同月比で使用量が下がっていれば、施策は効いている——金額がどう動いていようと、です。電気代の管理とは、つまるところ「円は川に任せ、kWhを店が持つ」ことなのだと思います。

フィルター清掃や、過剰在庫にならないように発注を調整してバックヤードの冷凍・冷蔵庫の電源を落としたり、というのはやっています。ただ、家庭の電気代みたいにザックリ1万円とかじゃなくて、変動幅が大きいんですよ。だから施策の効果を数字で判断するのが、とても難しい。金額だけ見ていると、やったことが効いたのかどうか、正直わからなくなります。
第5章:削らない電気——震災の頃、照明を消した店の記憶
暗い店の、外から見た印象
ここで、削ってはいけない電気の話をします。私にはひとつ、忘れられない光景があります。
記憶が曖昧なのですが、東日本大震災のあと——計画停電をしていた頃です。節電要請を受けて、店内照明を一部消して営業していた時期がありました。あのときの店を、外から見たときの印象——すごく、良くなかったのです。営業しているのかどうかも一瞬わからない。中の様子が読めない。なんとなく、入るのがためらわれる。あの薄暗さは、いま思えば「節電」ではなく「店の商品をひとつ消していた」のだと思います。
電気代の中には、「売上を作る電気」がある
コンビニの明るさは、単なる照明ではありません。夜道で遠くから見える安心。中が見通せる入りやすさ。商品がきれいに見える売場。明るさそのものが、この業態の商品の一部です。冷機の設定温度も同じで、無理に上げれば商品の品質と信頼を削ります。
だから、電気代の箱Bには仕分けの中にもう一段の仕分けが要ります。「売上を作っている電気」(売場の照度・冷機の品質保持・看板)は削らない。「無駄になっている電気」(目詰まりしたフィルターの過剰消費・空回しの空調・不要なバックヤード稼働・開けっぱなし)だけを削る。前者を削ると、第3章のレバレッジが逆回転します——電気代1万円をケチって売上33万円分の印象を失うのでは、話になりません。削減の腕は、削る場所ではなく、削らない場所を決める目に出るのです。

記憶が曖昧なんですけど、東日本大震災の計画停電をしていた頃、節電要請で店内照明を一部消していたんです。あのときの、外から見た印象がすごく良くなかった。暗い店って、それだけで入りにくいんですよね。だから節電はやりますけど、売場の明るさを削るのは違うなと、あのとき体で覚えた気がします。
第6章:設備の話——電気を使う機械と、電気代を払う人
最大の節電は、設備の世代交代
最後に、いちばん大きな話をします。フィルター清掃や発注調整が「運用の節電」だとすれば、桁が違う節電は、設備の世代交代です。照明のLED化、冷機の更新、什器の入れ替え——うちの店もLED化は完了していますが、効きの落ちた古い冷蔵設備が新しくなれば、消費電力は目に見えて変わります。
実際、オーナー仲間からこんな話を聞いたことがあります。改装のあと、電気代が月10万円下がった——。月10万円。第3章のモデルなら、売上330万円ぶんの利益に相当します。運用の節電を何年積んでも届かない数字が、設備で一度に動く。電気代の最大の決定要因は、日々の頑張りではなく、店に置いてある機械の世代なのです。
機械は本部のもの、電気代はうちのもの
そして、ここにコンビニ特有の構造があります。うちの契約では、電気代は全額オーナー負担です。一方、冷機や什器といった設備は、多くの場合オーナーが自由に買い替えられるものではありません。つまり——電気を使う機械を決める人と、電気代を払う人が、別なのです。
これは善悪の話ではありません。設備投資の規模を考えれば合理的な分担ですし、本部も改装や更新を計画的に進めています。ただ、この構造から言えることがひとつある。省エネ設備の恩恵は、電気代を払っている側——つまり店に落ちる。だから、冷蔵設備の更新を望むことに、オーナーは遠慮が要らないのです。私も言い続けています。冷蔵設備は、常に新しくしてもらいたい——電気代を払っている側の、正当な要望として(笑)。
そして10月、補助という川が止まるかもしれません。単価が戻れば、同じ使用量でも請求は膨らむ。川が動く前にできるのは、使用量の側を軽くしておくことと、設備の話を伝えておくことだけです。固定費の箱から電気代を出して、川と店に分ける——この記事でやってきた作業は、そのための準備でもあります。

LED化は完了しているんですけど、冷蔵設備は常に新しくしてもらいたいですよね。オーナー負担ではないから言えるんですけど(笑)。でも実際、改装のあとに電気代が月10万円下がったというオーナーもいましたから。日々のフィルター清掃も大事ですけど、桁が違うのは設備なんですよ。だから要望は、ちゃんと言い続けようと思っています。
よくある質問(FAQ)
Q1. コンビニの電気代は、月いくらくらいですか?
私の店の場合、春頃の使用分で20万円台、夏場の使用分が乗る月は一気に20万円近く上がることもあります(請求は約2ヶ月遅れで届きます)。設備の新旧・店舗の広さ・地域・契約タイプでかなり変わるため、あくまで一例です。年間では数百万円規模になる、店の中でも最大級の経費のひとつです。
Q2. 電気・ガス料金の補助は、いつまでですか?
2026年8月30日時点で、国の「電気・ガス料金支援」は2026年7月〜9月使用分が対象です(申請不要・請求から自動値引き)。補助単価は電気低圧で3.5円/kWh(8月使用分は4.5円)、高圧で1.8円/kWh(同2.3円)。10月使用分以降の延長は未定で、延長されなければその分の請求が戻ります。最新情報は資源エネルギー庁の公表をご確認ください。
Q3. 補助金は、店の電気代にどのくらい効いていますか?
私の店では、今年の電気代の前年比が80%台に収まっています。使用量が大きく減ったわけではなく、単価側の効果です。モデル試算では、月1万kWh使う低圧契約の店で8月使用分の値引きは4万5,000円(高圧なら2万3,000円)。月数万円が店の努力と無関係に動いている計算で、切れた場合の影響も同じ規模で見込んでおく必要があります。
Q4. 電気代を「固定費」と考えては、なぜいけないのですか?
電気代=単価×使用量のうち、単価(燃料調整費・賦課金・補助金)は動かせませんが、使用量(フィルター・扉・発注・空調・照明の運用)は店の判断で動くからです。1枚の請求書に両方が合算されているため丸ごと「動かせない」ように見えますが、実際は半分変動費です。動かせない単価と動かせる使用量を分けて考えるのが管理の第一歩です。
Q5. 電気代の削減は、利益にどのくらい効きますか?
最終利益率3%と置いたモデルでは、経費1万円の削減は売上約33万円分の利益に相当します。しかも電気代は、人件費(削るとサービスが傷む)や廃棄(絞ると機会損失)と違い、正しく削るかぎり誰も傷つけない性質を持っています。低利益率の商売ほど、この「無駄だけを削れる経費」のレバレッジは大きくなります。
Q6. 節電の効果が、金額で確認できません。どうすれば?
金額ではなくkWh(使用量)で見てください。店の電気代は気温・季節・単価で万円単位で変動するため、施策の効果は金額の中に埋もれます。明細の使用量を前年同月と比べれば、単価変動の影響が消えて運用の差だけが残ります。「円は川(単価側)に任せ、kWhを店が持つ」が実務的な管理法です。
Q7. やってはいけない節電はありますか?
売上を作っている電気を削ることです。売場の照度、冷機の品質保持温度、看板——これらはこの業態の商品の一部で、削ると客数と信頼で払うことになります。私は震災後の節電要請時に店内照明を一部消した経験がありますが、外から見た印象の悪さは忘れられません。削るのは無駄(目詰まりフィルター・空回し空調・不要なバックヤード稼働)だけです。
Q8. すぐできる節電の実務は何ですか?
①冷機・空調のフィルター清掃を定例化する②過剰在庫を抑える発注でバックヤードの冷凍・冷蔵ストッカーの稼働台数を減らす(在庫は置いてある間じゅう電気を食います)③ウォークイン・什器の扉の開閉と閉め忘れをなくす④使用量(kWh)の前年同月比を毎月記録する——運用でできるのはこのあたりで、桁の違う削減は設備更新(LED・冷機の世代交代)で起きます。
Q9. 設備の更新は、オーナーにできないのでは?
多くの契約で、大型設備の更新はオーナーが単独で決められるものではありません。ただし、電気代を負担しているのが店である以上、省エネ設備の恩恵は店に落ちます。改装後に電気代が月10万円下がった例も聞きます。更新や改装の要望を伝え続けることは、電気代を払う側の正当な行動です。負担条件は契約により異なるため、ご自身の契約をご確認ください。
Q10. この記事の情報の出典は?
補助制度の期間・単価は2026年8月30日時点の資源エネルギー庁の公表情報等に基づきます。電気代の実額・前年比80%台・節電実務・震災時の経験は私の店での実績と記憶(一部曖昧な部分は本文に明記)、改装後の削減額はオーナー仲間からの伝聞です。試算はモデル(使用量・利益率)を明示した概算であり、実際は店舗・契約により異なります。
まとめ:円は川に任せ、kWhを店が持つ
電気代は「動かせないお金」に分類されがちですが、正体は単価(川)×使用量(店)の掛け算です。うちの実額は春20万円台・夏はプラス20万円近く、今年は補助で前年比80%台——ただしその補助(電気低圧3.5〜4.5円/kWh・高圧1.8〜2.3円/kWh)は9月使用分で期限、延長未定。川は止まるかもしれません。だからこそ店の側です。レバレッジ:利益率3%のモデルなら経費1万円の削減=売上33万円分の利益で、電気代は人件費や廃棄と違い「無駄だけを削れる」唯一級の経費。実務:フィルター清掃、過剰在庫を抑えてバックヤード冷機を止める(在庫は電気も食う)、効果は円でなくkWhの前年同月比で測る。原則:売場の明るさ・冷機の品質保持は「売上を作る電気」=削らない(震災時の暗い売場の教訓)。構造:最大の節電は設備の世代交代(改装で月10万円下がった例も)。機械を決める人と電気代を払う人が別である以上、更新の要望は電気代を払う側の正当な声です。固定費の箱から出して、川と店に分ける——10月に川が動く前に。
この記事の要点
- 電気代=単価(川:燃料調整費・賦課金・補助金)×使用量(店:運用)=半分は動かせる変動費
- 実額=春の使用分で20万円台・夏場はプラス20万円近い月も(請求は約2ヶ月遅れ)
- 補助効果=今年の電気代前年比は80%台(単価側の効果・自店実測)
- 補助の現在地=2026年7〜9月使用分・低圧3.5〜4.5円/kWh・高圧1.8〜2.3円/kWh・10月以降未定
- レバレッジ=利益率3%モデルで経費1万円削減は売上33万円分の利益に相当
- 電気代は「無駄だけを削れる」唯一級の大型経費=正しく削れば誰も傷つけない
- 実務=フィルター清掃・過剰在庫を抑えてバックヤード冷機を止める(在庫は電気も食う)
- 効果測定=円でなくkWhの前年同月比で見る(円は川に任せ、kWhを店が持つ)
- 原則=売上を作る電気(売場の照度・冷機の品質・看板)は削らない(震災時の教訓)
- 桁が違うのは設備の世代交代=改装で月10万円減の例・更新要望は電気代を払う側の正当な声
次のアクション
- [ ] 直近12ヶ月の明細から「請求額」と「使用量(kWh)」を分けて一覧にする
- [ ] 使用量の前年同月比を毎月記録する欄を作る(施策の効果はここで測る)
- [ ] 自店の契約が低圧か高圧か、補助の値引き額が明細のどこに載っているか確認する
- [ ] 冷機・空調のフィルター清掃を担当と頻度つきで定例化する
- [ ] バックヤードの冷凍・冷蔵ストッカーの稼働台数と在庫量を見直す(止められる1台を探す)
- [ ] 「削らない電気」(売場照度・冷機設定・看板)を店として明文化し、スタッフと共有する
- [ ] 補助が10月以降どうなるかのニュースを、秋の請求が来る前にチェックする習慣をつける
このブログ内の関連記事
経費と原価の構造
制度と時事を読む
数字で店を守る
参考|公式情報
- 資源エネルギー庁|電気・ガス料金支援:本文で引用した補助単価・対象期間の一次情報
- 総務省統計局|消費者物価指数(CPI):電気代を含む物価の公的データ
- 中小企業庁:省エネ・設備投資など小規模事業者向けの支援情報
- 日本フランチャイズチェーン協会(JFA):コンビニ業界の統計・業界情報
- よろず支援拠点|経営相談:経費の見直し・収支改善を相談できる無料の公的窓口
電気は、目に見えません。
でも2ヶ月遅れで届くあの封筒には、ぜんぶ書いてあります。フィルターの目詰まりも、閉め忘れた扉も、置きすぎた在庫も、夏の日差しも、そして遠い永田町の決定も——読める人にだけ読める字で、1つの数字に畳み込まれている。
固定費だと思って封を開ければ、ため息のタネがひとつ増えるだけです。川と店に分けて読めば、今日やることがひとつ見つかる。同じ請求書なのに、読み方だけが違う。
今月も、封を開けます。川の字と、店の字を、分けて読むために。

