経営の基本
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レジ前の和菓子が1.5倍、プロテインと団子を一緒に買う若い男性|ビックカメラの「個店経営」は、コンビニの毎日——考える時間が、小売でいちばん楽しい【現役オーナー】

hanapapa
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ビックカメラが、売場の作り方を変えています。売場を100の専門店に分け、販売員が1つずつ主担当になる。商品の選定も、陳列も、発注も、在庫の管理も、販売員に任せる。発注の権限は本部から販売員へ移し、本部の承認は要らなくなりました。立川の店では、シール売場を集約したら、売上が4倍以上になったそうです(2026年9月21日・日本経済新聞)。

読んで、思いました。これは、コンビニが毎日やっていることだ、と。

うちの店でも、ちょうど似たことがありました。8月の終わりから、レジ前に和菓子を並べ始めたのです。すると、プロテイン飲料と一緒に串団子を買っていく、体格のいい若い男性が目につくようになった。和菓子の売れ行きは、レジ前に出す前と比べて1.5倍以上になっています。

何が売れているのか。どれだけの場所を使えるのか。どこに置けば目につくのか。どれだけの量なら、余らないのか。こういうことを考えている時間が、小売の仕事でいちばん楽しい。私はそう思っています。

ビックカメラの改革を鏡にして、この記事では、考える売場づくりの順番、スタッフへの任せ方、そして「考える楽しさ」は誰のものかを書きます。

  • ニュース——ビックカメラは、売場づくりを現場に渡した
  • コンビニは、もともと個店経営——4つの問い
  • レジ前の和菓子——プロテインと団子が、一緒に売れた
  • 外れるとき——「どこで」を先に決めると、無理やりになる
  • 任せ方——棚1本から、段階で
  • 考える楽しさは、誰のものか——やりがい<楽、でいい

※ビックカメラの内容は2026年9月21日の日本経済新聞と、同社の売場コンテストを伝えたBCN+R(2025年3月)、AI発注の内容はファミリーマートの発表に基づきます。自店の売場の話は、私の店での実感です。2026年9月27日時点の情報です。


本記事の位置づけ|棚の価値シリーズの「考える売場——何を、どこに、どれだけ」の他業種に学ぶ記事

本記事は、ビックカメラの「ハンドレッド計画」(売場を100に分け、商品選定・陳列・発注・在庫を販売員に任せる)と、任せる→膨らむ→支えるの流れ・コンビニがもともと持つ個店経営とAI発注の役割分担・小売の4つの問い(何を・どこに・どれだけの場所・どれだけの量)・レジ前の和菓子が1.5倍になった発見とヒントの拾い方・「どこで」を先に決めると外れる理由と本部推奨の受け止め方・棚1本から段階で任せる方法と評価の線引き・やりがいより楽を選ぶ人が多いなかで考える楽しさを渡す相手を、現役オーナーの店での実感で整理した記事です。「日販72万円・7月の応募4,000人」(まいばすけっとの「欲しい」と「売りたい」)に続く、他業種から売場と働き方を考える記事で、以下の関連記事とあわせて読むと、考える売場を作り、任せ、外れを支える視点が揃います。

🧭 売場を考える——何を、どこに、どれだけ

🤝 任せる・育てる

🛟 外れと、支え

「売場を考える → 任せる・育てる → 外れと、支え」の順で読むと、考える売場を自分で作り、見ている人に渡し、外れを予算で支える視点が身につきます。

🎥 この記事の要点を動画にまとめました(音声解説つき)。結論から知りたい方はまずこちらをどうぞ。

🎧 もっと深く:対話型の音声解説(約18分)
この記事をもとにAIが対話形式で深掘りした音声です(Gemini Notebook〈旧NotebookLM〉で生成)。運転中や作業中の「ながら聞き」にどうぞ。

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第1章:ニュース——ビックカメラは、売場づくりを現場に渡した

ハンドレッド計画

項目内容
名前ハンドレッド計画(売場を100に分け、販売員がそれぞれ主担当に)
任せるもの商品の選定・陳列・発注・在庫の管理
発注の権限本部から販売員へ。本部の承認は不要に
成果の例写真プリント売場を雑貨店のように作り替えて、若い女性客が増えた。立川店はシール売場を集約して売上4倍以上
評価「自分で売りたい物を決め、売れたかで査定」する形に
課題一部で過剰在庫。在庫を助言する「店舗支援室」を新設。社長は、現場がまだ慎重すぎると物足りなさも
きっかけ池袋へのヨドバシカメラの大型店の進出

公開されている実例もあります。柏の店では、入社2年目の社員が、けん玉などの「スキルトイ」の売場を7アイテムから大きく広げ、遊んで試せる場所も作りました。週末には子どもから大人まで集まる売場になり、社内の売場コンテストで年間の大賞を取っています(BCN+R・2025年3月)。

家電は「目的買い」の売場

家電は、壊れないと買い替えない。目的買いの売場です。だから、来店の回数を増やす売場をどう作るかが課題になる。シールや、けん玉。本業の家電ではないものに、販売員の「これが面白い」が乗ったとき、売場に人が来る。ビックカメラは、それを現場から引き出そうとしています。

そして、任せれば在庫が膨らむ。だから支える部署を作った。任せる、膨らむ、支える。この流れは、コンビニの本部と店のあいだで、そして店とスタッフのあいだで、毎日起きていることです。


第2章:コンビニは、もともと個店経営——4つの問い

発注は、店が決める

コンビニのフランチャイズでは、毎日の発注は店が決めます。本部には推奨があり、いまはAIが発注の案を出す仕組みも広がっています。たとえばファミリーマートの「AIレコメンド発注」は、2025年6月末から500店で始まり、発注にかかる時間を1週間あたり約6時間減らせるとされています。それでも推奨の数は店が手で直せて、新商品や販促の商品は、店の判断で調整することが勧められています(同社の発表)。AIは作業を減らし、判断は店に残る。ビックカメラが目指している形を、コンビニはもともと持っています。

小売の4つの問い

では、店は何を判断しているのか。私の言葉で言えば、4つです。

問い考えること間違えると
何を自店で何が売れているか。客層と季節無理やりな品選びになる
どこにどこに置けば目につくか見つけてもらえない
どれだけの場所どれだけのスペースを使えるかほかの棚の売上を削る
どれだけの量何個なら余らないか過剰在庫と廃棄になる

場所の話は、ゴンドラ1本の機会費用で書きました。量の話は、バズ発注で廃棄の山を築いた失敗で書きました。どれも、正解は店ごとに違います。だから、考える。

はなぱぱ
はなぱぱ

自分の店で売れているものの分析だったり、どのくらいのスペースを活用できるか、どこに置いたら目につくか、どれくらいの量を入れたら過剰在庫にならないか。このへんを考えることが、小売の本質というか、醍醐味だと思うんです。仕事にやりがいを感じて、前向きになれるところかなって。こういうのを考えている時間が、いちばん楽しいんですよね。


第3章:レジ前の和菓子——プロテインと団子が、一緒に売れた

夏物を諦めて、早めに秋へ

今年は、なんとなく気温の下がり方が早かった気がします。気象庁のまとめでも、東日本の8月の平均気温は「平年並」で、記録的に暑かった去年の8月とは違いました。そこで、夏物を早めに諦めて、秋物に切り替えました。

レジ前に、和菓子を出す

コンビニやスーパーで、レジの近くやレジ前に和菓子の売場があるのを、よく見かけると思います。うちの店では、レジ前には置いていませんでした。そこで、8月の終わりから、レジ前での展開を始めました。

目についたのは、若い男性の串団子

そこから先は、私自身の暮らしがヒントになりました。ちょうどダイエットで食生活を見直していて、筋トレも始めたところだったのです。だから、目につくようになった。体格のいい若い男性が、串団子をよく買っていく。草団子などは、トレーニングをしている人たちが、炭水化物の補給に食べているようでした。

いまでは、プロテイン飲料(ザバスなど)と一緒に、団子や羊羹を買っていく姿が増えています。和菓子の売れ行きは、レジ前に出す前と比べて1.5倍以上。干し芋やむき栗も一緒に集めて、季節感が出るようにしています。

はなぱぱ
はなぱぱ

自分がダイエットで食生活を見直していたのと、筋トレを始めたこともあって、よく目につくようになったんです。若い体格の良い男性が、串団子をよく買っていく。草団子なんかは、トレーニーの人たちも炭水化物の補給に食べるみたいで。今では、プロテインの飲料と一緒に団子や羊羹を買っていく姿が増えて、レジ前で展開を始める前と比べて1.5倍以上になっています。

和菓子は、年配のもの——ではなかった

「和菓子は年配のお客様のもの」。どこかで、そう思い込んでいたかもしれません。でも、欲しい人は別のところにもいた。プロテインと団子。売り手が組み合わせたのではなく、お客様が自分で組み合わせたセットです。お客様の「欲しい」は、売り手の思い込みの外にある。まいばすけっとの記事で書いた「欲しい」に応えるとは、こういう発見のことだと思います。

そして、置き場所はレジ前でした。レジは、どのお客様も必ず通る場所です。入口を入ってすぐの棚と同じで、目的買いの人の目にも、必ず入る。棚は、探していなかったものに出会う場所です。

ヒントは、どこからでも来る

いつ考えているのか、と聞かれたら、決まっていません。考えようとして出てくるものでもない。ニュースやSNS、お客様の会話、スタッフとの会話。今回は、自分の筋トレでした。色んなところからヒントを拾って、自分の店に使えるかを考える。売場のアイデアは、机の上より、暮らしの中で見つかることのほうが多いのです。


第4章:外れるとき——「どこで」を先に決めると、無理やりになる

順番を間違えると

うまくいかないときの形も、はっきりしています。何を売るかを決める前に、どこで売るかを決めてしまうときです。

「この棚が空くから、何か置こう」。そう始めると、その場所に合う商品しか検討できなくなります。候補が限られて、無理やりな商品選びになる。そういうときは、自分の気持ちも乗っていない。当然、売れません。ひどいときは、お客様から見ても「なぜ今?なぜこの商品?」という売場になってしまう。

はなぱぱ
はなぱぱ

何を売るかを決める前に、どこで売るかを決めてしまうと、検討できる商品が限定されてきてしまって、無理やりな商品選定になることがよくあるんです。当然そんなときは気持ちも乗っていないこともあって、売れない。ひどいときは「なぜ今?なぜこの商品?」になってきてしまいます。

順番は、何を→どこに→どれだけです。レジ前の和菓子も、先にあったのは「秋の和菓子」という「何を」でした。ビックカメラの立川店も、シールという「何を」があって、売場を集約した。場所から始めると、4つの問いの1つ目が、いちばん後回しになるのです。

本部の推奨と、自分で考えた売場は、砂糖と塩

ここで、本部の推奨の話をしておきます。AIの発注案や、本部の棚割、SVの助言。うちでは、とりあえずやります。全国の数字に裏づけられた推奨を、まず受け止める。

ただ、正直に言えば、それは自分の考えではないので、気持ちは入りません。自分で考えてやる売場とは、まったくの別物です。私は、砂糖と塩くらい別物だと思っています。見た目は同じ白い粉でも、なめれば違う。売場も、外から見れば同じ棚でも、考えた人の気持ちが乗っているかどうかで、中身が違う。そして、気持ちが乗っていない売場は売れない、というのは、さっき書いたとおりです。

推奨が悪いという話ではありません。推奨どおりの棚が売れることも、もちろんあります。ただ、推奨は「受け止める」もので、「考える」ものではない。考える売場は、店が自分で作るしかないのです。

「慎重すぎる」への答え

ビックカメラの社長は、現場がまだ慎重すぎる、と物足りなさを口にしているそうです。慎重になる理由は分かります。任されて外せば、在庫が残る。その怖さです。

うちの答えは、値引き・廃棄を「予算」として持つことです。売変の予算の中で浮いた分を、チャレンジに回す。外していい枠を先に決めておけば、試すことが怖くなくなります。


第5章:任せ方——棚1本から、段階で

棚1本の展開から

うちの店では、スタッフに売場を任せています。いきなり全部ではありません。段階があります。

  1. 棚1本分、納品されたものを展開する(並べる)
  2. どこに何を置くかを決める(置き場所)
  3. 何個発注するかを決める(量)

量、つまり発注は、最後です。過剰在庫のリスクがいちばん大きいところは、並べ方と置き場所で目が育ってから渡す。ビックカメラは在庫を助言する部署を作りましたが、うちでは、任せる順番そのものが、支えになっているのだと思います。発注の教え方は、発注教育の段階モデルにも書きました。

伸びる人は、見ている

段階を上がっていくスピードは、人によって違います。伸びる人には、共通点があります。最初の「並べる」段階から、なんとなくではなく、ほかの人がどうやっているかを観察して、自分が作るときに活かしている。そういう人は、どんどん次のステップに進みます。

はなぱぱ
はなぱぱ

当然お任せしています。棚1本分、納品されたものを展開してもらうところから始まって、どこに何を置くか、何個発注するか、段階に応じてレベルアップしてもらっています。最初の段階でなんとなくではなく、ほかの人がどのようにやっているかなどを観察して、自分が作るときに活かしている人は、どんどん次のステップに進んでいますね。

「指示」でなく「目的」を理解する人が育つと書いたことがありますが、売場でも同じです。見て、考えて、真似て、自分の形にする人が、育ちます。

評価に入れるなら、前年比は課さない

ビックカメラは、「自分で売りたい物を決め、売れたかで査定する」形に評価を変えました。コンビニのスタッフに当てはめるのも、ありだと思います。

ただし、ひとつ線を引きたい。翌年に、前年と比べてもっと売れ、もっと良い売場に、と求めるのは良くない。前年比を課した瞬間に、考える楽しさはノルマに変わります。本人が自分から「もっと売るぞ」と思うのは、いい。でも、それは店が課すものではありません。


第6章:考える楽しさは、誰のものか——やりがい<楽、でいい

多くの人は、楽を選ぶ

ここまで読むと、「考える楽しさで、人を集めればいい」と思われるかもしれません。でも、私はそうは思っていません。人それぞれです。そして、業務が少ないことを望む人のほうが、圧倒的に多い気がします。やりがいより、楽。

はなぱぱ
はなぱぱ

人それぞれだと思います。業務が少ないことを望む人が、圧倒的に多い気がしますね。やりがい<楽、です。

まいばすけっとは、覚える業務の少なさで、7月だけで4,000人の応募を集めていました。その「楽」の勝負に、コンビニは勝てません。勝とうとする必要も、ないと思います。

見ている人に、棚を渡す

だからこそ、第5章の「最初の段階から、ほかの人を見ている人」が大事になります。多くの人が楽を選ぶなかで、考えることが好きな人は、少しだけいる。その人を見つけたら、棚を1本渡す。

覚えることの多さは、人を遠ざける壁であり、人を店につなぎとめる錨でもあると書きました。考える楽しさは、その錨のいちばん強い部分だと思います。全員に配るものではなく、見つけた人に渡すものです。

1.5倍は、当たりか、実力か

最後に、自分への宿題です。8月の統計の記事で、当たりを店の実力に数えない、と書きました。レジ前の和菓子の1.5倍は、どちらなのか。季節の追い風もあるはずです。冬に向けて、干し芋や栗から次の季節へ売場を変えても、プロテインと団子のお客様が来続けるか。答え合わせは、冬にやります。

ビックカメラの改革も、過剰在庫の行方と、現場が「慎重すぎる」から抜け出せるかを、続報で見ていきます。


よくある質問(FAQ)

Q1. ビックカメラの「ハンドレッド計画」とは?

売場を100に分け、販売員がそれぞれ主担当となって、商品の選定・陳列・発注・在庫の管理まで自分で考える取り組みです。発注の権限は本部から販売員に移り、本部の承認は不要になりました。立川店でシール売場を集約して売上が4倍以上になった例などが報じられています。評価も「自分で売りたい物を決め、売れたかで査定」する形に変わりました(2026年9月21日の日本経済新聞)。

Q2. なぜビックカメラは、売場づくりを現場に任せたのですか?

きっかけは、池袋へのヨドバシカメラの大型店の進出だと報じられています。家電は壊れないと買い替えない目的買いの売場なので、来店の回数を増やす売場づくりが課題です。販売員の「これが面白い」を売場に乗せるために、現場に権限を渡した形です。一方で一部に過剰在庫が出て、在庫を助言する「店舗支援室」を新設しています。

Q3. コンビニの発注は、誰が決めているのですか?

フランチャイズのコンビニでは、毎日の発注は店が決めます。本部には推奨があり、AIが発注の案を出す仕組みも広がっています。たとえばファミリーマートの「AIレコメンド発注」は2025年6月末から500店で始まり、発注にかかる時間を1週間あたり約6時間減らせるとされていますが、推奨の数は店が手で直せ、新商品や販促品は店の判断での調整が勧められています。AIは作業を減らし、判断は店に残る形です。

Q4. 売場づくりで考えるべきことは、何ですか?

4つあると考えています。①何を(自店で何が売れているか、客層と季節)②どこに(どこに置けば目につくか)③どれだけの場所(どれだけのスペースを使えるか)④どれだけの量(何個なら余らないか)。間違えると、それぞれ、無理やりな品選び、見つけてもらえない売場、ほかの棚の売上を削る売場、過剰在庫と廃棄になります。

Q5. レジ前の和菓子は、なぜ売れたのですか?

8月の終わりにレジ前での展開を始めたところ、プロテイン飲料と一緒に串団子や羊羹を買っていく、体格のいい若い男性が目につくようになりました。トレーニングをしている人が、炭水化物の補給に団子を食べるようです。和菓子の売れ行きは、レジ前に出す前の1.5倍以上。レジは誰もが通る場所で、「和菓子は年配のもの」という思い込みの外に、お客様の欲しいがありました。

Q6. 売場づくりで失敗しやすいのは、どんなときですか?

何を売るかを決める前に、どこで売るかを決めてしまうときです。場所から始めると、その場所に合う商品しか検討できず、無理やりな品選びになります。気持ちも乗らず、売れない。ひどいときは、お客様から見て「なぜ今?なぜこの商品?」という売場になります。順番は、何を→どこに→どれだけ、です。

Q7. スタッフに売場を任せるには、どう始めればいいですか?

私の店では段階を踏みます。①棚1本分、納品されたものを展開する②どこに何を置くかを決める③何個発注するかを決める。在庫のリスクが大きい発注は最後に渡します。伸びる人は、最初の段階から、ほかの人がどうやっているかを観察して、自分が作るときに活かしています。

Q8. 任せると、過剰在庫になりませんか?

なることはあります。ビックカメラも一部で過剰在庫が出て、在庫を助言する部署を作りました。私の店では、任せる順番(発注は最後)そのものを支えにしています。また、値引き・廃棄を予算として持ち、浮いた分をチャレンジに回すと、外していい枠が先に決まるので、試すことが怖くなくなります。

Q9. 売場づくりの成果を、スタッフの評価に入れてもいいですか?

ありだと思います。ただし、翌年に前年と比べてもっと売れ、もっと良い売場に、と求めるのは良くないと考えています。前年比を課した瞬間に、考える楽しさがノルマに変わるからです。本人が自分から「もっと売るぞ」と思うのは良いことですが、店が課すものではありません。

Q10. この記事の情報の出典は?

ビックカメラの取り組みは2026年9月21日の日本経済新聞と、同社の売場コンテストを伝えたBCN+R(2025年3月7日)、AI発注はファミリーマートの発表(2025年7月)、気温は気象庁の「2026年8月の天候」に基づきます。レジ前の和菓子の話、スタッフへの任せ方、本部の推奨の受け止め方は、私の店での実感です。


まとめ:何を、どこに、どれだけ——考える時間を、手放さない

ビックカメラは、売場を100の専門店に分け、商品の選定から発注・在庫まで販売員に任せました。発注の権限は本部の承認なしで販売員へ。立川のシール売場は4倍以上になり、一方で過剰在庫が出て、在庫を助言する部署を作った。任せる、膨らむ、支える。コンビニは、もともと毎日この形で動いています。AIは作業を減らしても、判断は店に残る。店が考えるのは、何を、どこに、どれだけの場所で、どれだけの量置くか。うちでは8月の終わりにレジ前へ和菓子を出し、プロテインと団子を一緒に買う若い男性に気づいて、売れ行きは1.5倍以上になりました。ヒントは、自分の筋トレでした。外れるのは、「どこで」を先に決めたとき。順番は、何を→どこに→どれだけ。本部の推奨はとりあえずやりますが、自分で考えた売場とは砂糖と塩くらい別物です。スタッフには、棚1本の展開から、置き場所、発注へと段階で任せ、伸びる人は最初から周りを見ている。評価に入れるのはいいけれど、前年比は課さない。そして、やりがいより楽を選ぶ人が多いのも本当です。だから、考えることが好きな人を見つけて、棚を1本渡す。考える時間がいちばん楽しいのは、この仕事のいちばんの報酬です。

この記事の要点

  1. ビックカメラは売場を100に分け、商品選定・陳列・発注・在庫を販売員に。発注権限は本部の承認不要に(報道)
  2. 成果は立川のシール売場4倍以上、課題は過剰在庫→在庫を助言する店舗支援室。社長は「まだ慎重すぎる」
  3. コンビニはもともと個店経営。AIは作業を減らし、判断は店に残る
  4. 小売の4つの問い=何を・どこに・どれだけの場所・どれだけの量。考える時間が、いちばん楽しい
  5. レジ前の和菓子が1.5倍以上。プロテインと団子を一緒に買う若い男性=欲しいは思い込みの外にある
  6. ヒントはどこからでも来る。今回は自分のダイエットと筋トレ
  7. 「どこで」を先に決めると無理やりになり、売れない。順番は何を→どこに→どれだけ
  8. 本部の推奨はとりあえずやる。でも自分で考えた売場とは砂糖と塩くらい別物
  9. 任せ方は段階で(並べる→置き場所→発注)。伸びる人は最初から見ている。評価に前年比は課さない
  10. やりがい<楽の人が多い。だから、考えることが好きな人を見つけて、棚を渡す

次のアクション

  • [ ] 今の売場を棚1本ずつ、4つの問い(何を・どこに・どれだけの場所・量)で書き出してみる
  • [ ] 最近の売場替えが「この棚が空くから何か置く」になっていなかったか振り返る
  • [ ] レジ前と入口の棚に、いま何を置いているかを確認する
  • [ ] 自分の暮らしの変化(食生活・趣味)から、売場のヒントを1つ探す
  • [ ] スタッフに棚1本の展開を任せ、ほかの人の売場を見ているかを観察する
  • [ ] 値引き・廃棄の予算のうち、チャレンジに回せる枠を決める
  • [ ] 売場を任せた人に、前年比ではなく「自分で決めた目標」を聞いてみる

このブログ内の関連記事

売場を考える——何を、どこに、どれだけ

任せる・育てる

外れと、支え

参考|公式情報


考える時間に、決まりはありません。

筋トレの帰りに、ふと気づく。お客様の会話で、ふと思いつく。スタッフの並べ方を見て、ふと真似したくなる。

本部の推奨は、とりあえずやる。でも、自分で考えた棚は、別物です。砂糖と塩くらい。

楽を選ぶ人が多い時代に、考えることが好きな人が、少しだけいる。その人に、棚を1本渡す。それが、この仕事のいちばんの楽しさを、次の人に渡すやり方だと思っています。

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経営者
はじめまして、はなぱぱです。 コンビニ経営に携わって13年。 店舗での経験や経営者としての苦労、従業員教育の工夫などをまとめています。 経営者や店舗責任者はもちろん、従業員の方にもわかりやすく役立つ情報を発信していきます。
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